歴史上の人物や出来事を描いたおすすめ映画33選

歴史上の有名な出来事を題材にした映画4選

八甲田山

新田次郎の「八甲田山死の彷徨」という小説を映画化した1977年公開の作品です。高倉健と北大路欣也を主演に迎え、公開当時は「天は我々を見放した」という台詞が流行語になるほどの大ヒット作になりました。撮影監督であった木村大作監修のもとで2019年に4Kリマスター版が発売されています。

八甲田雪中行軍遭難事件は、青森県八甲田山で陸軍が行軍演習中に悪天候に見舞われて彷徨い、200名近い死者を出した世界的にも稀な山岳遭難事故でした。日露戦争を想定した訓練だったこともあり、本当に戦時なら悪天候でも中止できないという兵士の真面目さが裏目に出たとも言えます。

映画は、これを実際に八甲田山で撮影したことにも驚きますが、ロケ撮影だったからこそ画の迫力があり、悲劇性が増したことも確かです。

硫黄島からの手紙 ※R13+

クリント・イーストウッド監督による2006年公開の映画です。第二次世界大戦の中でも硫黄島の戦いに焦点を当て、日本軍を指揮した栗林忠道陸軍大将を中心にした日本兵の果敢に闘う姿を描いています。「父親たちの星条旗」というアメリカ側の視点から描かれた作品も作られ、両側面からこの戦いを捉えるという興味深い企画でした。

戦争を称賛しているわけでも、勝敗に拘っているわけでもなく、今生きている私たちはこうした兵士たちの歴史の上にいることを感じて欲しいという思いで制作されたといいます。

第二次世界大戦については歴史の授業で細かい戦いまで学ぶことは少なく、ましてや硫黄島のことなど聞いたこともない人もいるはずです。ぜひそうした人たちに観てもらい、戦争のことはもちろん、今自分が彼らに生かされていることを感じて欲しいです。

レッドクリフ Part I & II

三国志で有名な赤壁の戦いを描いた、ジョン・ウー監督による2009年公開の映画です。中国の地理的環境を踏まえた上で、スケールの大きい赤壁の戦いをリアルに感じるには、映像で見るのが一番早いと思います。そういう意味で、これだけ予算をかけて豪華な俳優陣で作られた映画は一見の価値があります。

赤壁の戦いで面白いのは、ユニークな戦法がたくさん出てくるところです。三国志の中でも赤壁の戦いだけを取り上げたことで、そこを重点的に描いて魅せてくれるため、三国志を全く知らなくても、興味を持つきっかけになる作品になるでしょう。

清洲会議

清洲会議とは、本能寺の変で織田信長が亡くなってのち、豊臣秀吉と柴田勝家が織田家の家督相続問題にかこつけて自らの覇権争いをした会議のことです。三谷幸喜監督はこの会議の様子を、集められた織田家の家臣や家族の思惑を描きながら楽しいエンターテイメント作品に仕上げました。

結局、豊臣秀吉が行った事前の根回しが功を奏した会議だったわけで、会議自体は茶番に近いものでした。しかし、だからこそ言葉巧みな会話劇が可笑しくて羽柴秀吉役に大泉洋をキャスティングしたのでしょうし、他の役者陣も舞台のような台詞合戦が繰り広げられていて、とても良かったと思います。

勉強になる映画

小・中学生におすすめの映画3選

武士の家計簿

幕末を描いた映画というのはどうしても戦争や政治の駆け引きがメインになりがちですが、それは一部の武士の話です。江戸時代末期の藩がどのように家臣を治めていたのか、下級武士たちはどのように生活をやりくりしていたのか、そういった血の通った話は知る機会が少ないものです。そういう意味でも幕末を考える、興味深いアプローチになる映画と言えます。

原作は歴史学者の磯田道史による教養書ですが、それを森田芳光監督が映画化することで、わかりやすく楽しい作品になりました。また、主人公の猪山直之という加賀藩の御算用者を、堺雅人が自分の頭で考えて行動する立派な幕末の武士として演じ、算盤を弾いている姿が凛々しく、頼もしく感じたのも印象的でした。

殿、利息でござる!

歴史家磯田道史の著書「無私の日本人」の中の一遍「穀田屋十三郎」を、中村義洋監督が映像化した作品です。藩に金を貸して、利息をもらおうという発想は小説のようですが実話というから驚きます。さらに、自らの財産を投げ打って皆を救おうとする姿には、小中学生も考えるところがあるのではないでしょうか?

また、江戸時代の金銭感覚や村社会の身分制度を知ることができる、勉強になる映画といえます。主演の阿部サダヲを始め、瑛太や妻夫木聡、竹内結子など、大真面目に演技をしているのにそれがなぜか可笑しく、小中学生でも飽きずに見ていられる作品でしょう。

「アルキメデスの大戦」

三田紀房の同名漫画を原作としたこの映画はフィクションです。しかし、戦艦大和のCG再現など山崎貴監督の手腕が存分に発揮され、文字ではわかりづらい「戦艦の大きさ」や「砲撃による衝撃」などを映像で伝えており、戦争を知らない世代にはわかりやすい映画になっています。

そして何よりこの映画の素晴らしいところは、なぜ戦争をしたくないと思っている人が、戦争をする方向に向かっていくのかを示唆してくれている点です。これを知っておくと、未来は変わるかもしれません。最後の菅田将暉の涙が全てを物語っていると感じました。

大人におすすめの教養が学べる映画3選

紙屋悦子の青春

戦争をテーマにした映画をライフワークのように撮り続けた黒木和雄監督の遺作となった、2006年公開のこの作品は、銃弾も飛んで来ない、誰も死なないという意味で異色です。

しかしあの戦争では、自らの思いを断ち切る人、その思いを託される人、受け入れようと努力する人が世の中にはたくさんいたと思います。そんなことに思いを馳せると、戦争の悲劇性がまた違った意味で感じられる気がします。静かな映画ですが、成熟した大人にこそ伝わってくる切なさと崇高さをぜひ感じて欲しいです。

ホテル・ルワンダ

アフリカのルワンダで、1994年に起きた実話を映画化した作品です。当時、民族間の争いが大虐殺を招いて、100日の間に100万人もの人が殺されるという信じがたい状況を見かねた一人のホテルマンが、1200人をホテルに匿って命を救ったというストーリーです。

民族間の対立問題は今も世界で起きています。日本にいるとあまり実感が沸かない人も多いかもしれませんが、これが現実です。映画は見やすいように多少エンターテイメントを意識した脚本になっていますので、まずは鑑賞して欲しいです。そしてこの背景にある問題を考える機会をぜひ作って欲しいと思います。

野火 ※PG12

2014年、塚本晋也が監督・脚本・主演で制作した第二次世界大戦におけるフィリピン戦の話です。原作は読売文学賞を受賞した大岡昇平による代表的な戦争作品で、人間の極限状態を描いた重いテーマであるため、正直言って観るのは覚悟が必要です。

しかし、フィリピン戦では50万人もの人が亡くなっていることは事実で、その多くが餓死者だったと言われています。それは目を背けてはならない事実であり、次の世代へ戦争の悲劇を引き継ぐためにも、大人にこそ観て欲しい映画だと思っています。

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