学者
アルキメデス
アルキメデスはヘレニズム時代を代表する数学者、物理学者、そして天文学者です。シチリア島シラクサに生まれ、アレクサンドリアに留学し、エラストネスが館長を務めるアレクサンドリア図書館やムセイオンで研究に励みました。「てこの原理」の証明や「アルキメデスの原理(浮体の原理)」を発見したことは有名です。
故郷シラクサに帰ったアルキメデスは、シラクサ王の援助を受け研究に励みます。前3世紀の終わりに起こった第2次ポエニ戦争でシラクサがローマに攻撃された際は、投石器など様々な武器を開発してシラクサを助けました。前212年、アルキメデスは、図形の計算に夢中になっていたところをローマ兵に殺されてしまいました。
エラトスネス
エラストネスは、前3世紀のヘレニズム時代の重要な人文学者であり自然科学者であり、レクサンドリア図書館の第3代館長として40年間務めました。ホメロスなど古典の研究や哲学でも活躍し、一つの分野に限定されず、万能人として活躍しました。
エラトステネスの一番の功績は、夏至の6月21日にナイル上流の現在のアスワンにある深い井戸の底に太陽の光が差し込むことに気づいたことをきっかけに、地球の外周の大きさを正確に導き出したことです。他にも、素数を見つけるための「エラトステネスのふるい」といわれる方法を考え出し、素数が無限にあることを証明しました。
ヒュパティア
ヒュパティアはアレクサンドリア出身の天文学者であり数学者であり教師で、アレクサンドリア図書館の館長テオンの娘です。ヒュパティアは新プラトン主義の哲学学校で教えており、エジプトの長官オレステスや街の高官たちも助言を求めていました。
女性でありながら教養と知性があるヒュパティアは、キリスト教徒の間で敵視されるようになります。415年、教室の壇上にいたところをアレクサンドリア総主教キュリロスの手下である修道士達に「魔女だ」と捕らえられ連れ去られたのち、虐殺されてしまいました。
アレクサンドリアの関連作品
おすすめ本・書籍
アレクサンドリア (ちくま学芸文庫)
イギリス作家E.M.フォースターが、仕事でアレクサンドリアに駐在していた際に見たアレクサンドリアが描かれています。作者の土地への関心と興味がメモ書きのように書かれています。学者が書いた歴史学の本とは一味違ったアレクサンドリアが味わえます。
アレクサンドリアの興亡
アレクサンドリアの歴史がとても分かりやすく書かれています。アレクサンドリアの歴史とともに、それぞれの時代でアレクサンドリアに縁があった人々についての記述もあり、面白く読めます。著者は一人ではなく、何人かで手分けして書いたようです。
学術都市アレクサンドリア
学術都市として栄えたアレクサンドリアで、どのような学者たちがどのような学問を学び、広めたのかが描かれています。アレクサンドリア図書館や隣接するムセイオン、そこで研究に時間を費やす学者たちについて、時代ごとに説明されています。
おすすめの映画
アレクサンドリア
370年にキリスト教徒に魔女として惨殺された、アレクサンドリアの哲学者であり数学者であり天文学者であるヒュパティアの物語です。破壊されるアレクサンドリア図書館から、必死に書物を持って逃げようとする様子や、自宅で研究に明け暮れるヒュパティアが、とても美しく描かれています。
アレキサンダー プレミアム・エディション
アレクサンドリアを建設した、アレクサンドロス大王の生涯を描いた映画です。英雄として描かれることが多いアレクサンドロス大王ですが、この映画では人間臭い、時にちょっと情けないアレクサンドロス大王が描かれています。当時を再現した戦闘シーンや衣装、背景なども素晴らしいです。
クレオパトラ
エリザベス・テイラー主演の映画です。50年も前の映画とは思えないほどのスケールと衣装、豪華なセット、そしてエリザベス・テイラーの美しいクレオパトラが楽しめます。クレオパトラが、政治的な思惑を抱きながらもカエサルやアントニウスと恋に落ち、子供をもうけ、エジプトを守ろうとする様子がよくわかります。
アレクサンドリアに関するまとめ
アレクサンドリアについてご紹介しました。アレクサンドリアは、古代は地中海の貿易都市として、そして学術都市として栄え、ギリシャ、ローマ、イスラムとそれぞれの支配の元でその時代ごとに繁栄してきました。アレクサンドリアに縁ある人々は、私たちが歴史の勉強で見聞きした名前ばかりです。
現在のアレクサンドリアは、エジプト第2の都市として、また世界有数の観光地として人気です。今回の記事がきっかけとなって、様々な文化や時代のエッセンスが混じりあう街アレクサンドリアに、一人でも多くの人が興味を持ってくれると嬉しいです。