1955年 – 68歳「ロンシャンの礼拝堂、国立西洋美術館の竣工」
「ロンシャンの礼拝堂」竣工
1952年、レジオン・ドヌール勲章のさらに上の階級である「コマンドゥール」がルコルビュジエに与えられます。
1955年にはルコルビュジエの代表作の一つ「ロンシャンの礼拝堂」が完成しました。今までは機能性や合理性を追い求めた建築を行ってきましたが、「ロンシャンの礼拝堂」はその流れをくつがえし、流線型に富んだ形状となっています。
「国立西洋美術館」の完成
ルコルビュジエは1955年に東京・上野を訪れ、「国立西洋美術館」の建築計画を立てます。建物自体はそこから4年をかけて、1959年に完成することとなりました。館内には、印象派を中心とする19世紀から20世紀にかけての絵画や彫刻が「松方コレクション」として展示されることになります。
国立西洋美術館は2016年に「ルコルビュジエの建築作品ー近代建築運動への顕著な貢献ー」の作品の一つとして世界文化遺産に登録されることになりました。
1965年 – 78歳「ルコルビュジエ死去・死因は海水浴中の心臓発作」
レジオン・ドヌール勲章の最高勲章を授かる
ルコルビュジエは1963年にレジオン・ドヌール勲章グラン・トフィシエ(2等)、1964年にグラン・クロワ(1等)を受章します。この時に勲章を授けたのは、当時フランス文科相を務めていたアンドレ・マルロー(「王道」や「人間の条件」などを書いた小説家でもある)でした。
ルコルビュジエは自分のこれまでに建設してきた建造物や絵画などの作品を公的に保管することをアンドレ・マルローに打診し、後年、認められています。
ルコルビュジエが海水浴中に亡くなる・死因は心臓発作
1965年8月27日、南フランスのロクブリュヌ=カップ=マルタンで海水浴をしている最中に突然、心臓発作を起こし、そのまま帰らぬ人となりました。享年78歳でした。墓地はカップ=マルタンに設けられました。
1968年にはルコルビュジエ財団が設立され、彼の希望通り、作品群の保存や管理が行われるようになりました。管理事務所はルコルビュジエが両親のために建設した「ジャンヌレ邸」に置かれています。
ルコルビュジエの関連作品
おすすめ書籍・本・漫画
伽藍が白かったとき
ルコルビュジエがアメリカを訪れた際に、その地域の建築や芸術を見て感じたことをつづったエッセイ集です。ニューヨークのマンハッタンの摩天楼を見て衝撃を受け、それを元に自身の考える都市についての構想を記している書籍です。スケッチを用いて説明されているので理解しやすい構成となっています。
小さな家-1923
ルコルビュジエが両親のために作った「ジャンヌレ邸」について、自身で撮った写真やスケッチを用いながら解説されている本です。設計は実にシンプルながら、生活がしやすいようにこだわりを持って作られていることがよくわかります。
ル・コルビュジエの勇気ある住宅
日本を代表する建築家である安藤忠雄が、ルコルビュジエの建築について独自の観点から、その創作の原点に迫っています。サヴォア邸やユニテ・ダビタシオンなどをカラーの図版とともに解説しており、建築家ならではの視点から切り込んでいるため、興味深く読み進めることのできる書籍です。
おすすめの作品集
もっと知りたいル・コルビュジエ 生涯と作品
ルコルビュジエが生涯に手がけた作品をカラーで紹介しているため、目でも楽しめる一冊となっています。外観、内装、平面図まで載せてあるので、実物を見るだけでもわからないような詳細な部分まで知ることができます。100ページほどの書籍なので、サクッと読めると思います。
ル・コルビュジエ図面集 vol.1 住宅I (LE CORBUSIER PLANS impressions)
ルコルビュジエの建築物の図面集です。ルコルビュジエ研究の第一人者であるティム・ベントンが建物の図面の解説から設計の背景までを記しています。収録されているのは「ベゾー邸」、「マンドロ邸」などです。シリーズ物でvol.8まで刊行されています。
おすすめの作品
ル・コルビュジエ 「エスプリ・ヌーヴォー館の静物」額装アート作品
ルコルビュジエが1924年に描いた「エスプリ・ヌーヴォー館の静物」のレプリカです。家のインテリアとして飾りやすいように4種類の寸法から選ぶことができます。ファインアート紙を使用したジクレープリントで仕上がっています。
LC4シェーズロング黒革(イタリア製)
ルコルビュジエのデザインした椅子で、「世界最高デザインの休息椅子」の異名を持ちます。本革(イタリア製厚手セミアニリン黒革)を使用しており、骨組みはステンレスでできています。イタリアのスティールライン社製でヨーロッパを中心に人気の商品です。
おすすめ映画
ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ
1920年代から活躍してきた近代建築の巨匠ルコルビュジエと、家具デザイナーとして名が知れていたアイリーン・グレイの物語です。ルコルビュジエがアイリーンの作品に大きな影響を受けたことが伺い知れます。アイリーンを主体として描かれており、客観的に見たルコルビュジエの姿を垣間見ることができます。
ル・コルビュジエの家
この映画はルコルビュジエの物語ではなく、椅子のデザイナーのお話です。アルゼンチンのブエノスアイレスに住んでいる椅子デザイナーのレオナルドが、ルコルビュジエの設計した家に住んでいるという設定です。建物にルコルビュジエの信念が反映されているため、家を見るだけでも価値があります。
ルコルビュジエについてのまとめ
ルコルビュジエは時計職人の家に産まれながら、視力が悪いことを理由に建築家を目指すようになります。その選択が功を奏し、近代建築の三大巨匠として名を連ねるようになるのでした。日本にも親しみが深く、東京上野にある「国立西洋美術館」はルコルビュジエが設計を手がけ、2016年に世界文化遺産に登録されています。
最期は心臓発作で突然亡くなってしまいますが、彼が建築の世界に与えた影響は計り知れず、今もその信念は受け継がれています。
今回はルコルビュジエについて紹介しました。この記事でさらに興味を持っていただけたら幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。