大鳥圭介とはどんな人?生涯・年表まとめ【功績や土方歳三との関係も紹介】

大鳥圭介の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

南柯紀行・北国戦争概略衝鉾隊之記

戊辰戦争で戦った大鳥圭介と今井信郎、小杉雅之進の記録が載っています。筆者が初めて大鳥圭介に興味を持ったきっかけが「南柯紀行」でした。真面目な話もあるのですが、所々に挟まれる圭介のぼやきのような内容が、読みながら吹き出しそうになることもしばしばでした。

待ち合わせ場所に行ったら相手が寝ていたとか、おにぎりがもらえて嬉しかったとか、厠を汚したのは誰かと口論になり、掃除を譲り合って大騒ぎだったとか、この人は本当に旧幕府軍の偉い人だったのかと言いたくなるほどです。文語で書かれていますが、大鳥圭介の愛すべき人柄がよく表れています。

維新と戦った男 大鳥圭介

大鳥圭介が主人公の、数少ない小説のうちの一冊です。波乱万丈の一生だったので、その全体像を掴むには小説がおすすめです。元は「死んでたまるか」という題名小説で、その通り不屈の精神を描いています。戊辰戦争で敗者だった圭介が、明治政府でも爪痕を残すことができたのは、その精神力があったからでしょう。

司馬遼太郎の土方歳三を描いた小説「燃えよ剣」に出てくる大鳥圭介は、鼻持ちならない奴ですが、この大鳥圭介はあくまで土方歳三を輝かせるための脇役です。史実にない創作が多く含まれています。大鳥圭介という人間の魅力を感じたいなら、「燃えよ剣」の大鳥圭介に違和感を感じたなら、この小説がおすすめです。

明治5・6年ー大鳥圭介の英・米産業視察日記

大鳥圭介がイギリスとアメリカを視察した際に書き残した日記です。欧米の進んだ技術を書き留めているというより、それがどうやったら出来るのかにスポットを当てています。圭介自身のメモ書きのようなものです。そのため科学的素養がないと理解できない部分も多いのが正直なところです。

しかしこの本は、圭介の好奇心と熱意が詰まっていて、どれもこれも本気で自分で実践しようとしたことが伝わってきます。それを感じただけでも読んだ甲斐がありました。また、表紙にデザインされている圭介の直筆の英語が素敵です。この洋行における彼の覚悟が見えるようです。

Nothing is so easy as the discovery of yesterday; Nothing is so difficult as the discovery of tomorrow.

おすすめの動画

けいすけじゃ

大鳥圭介の没後100周年記念事業として、大鳥圭介の出身地である上郡町が制作したアニメです。まちおこしのために作られたようですが、大鳥圭介の半生がとてもわかりやすく、楽しい作品です。何より、制作に携わった人たちの、大鳥圭介と上郡町に対する愛情の深さを感じます。

地元では小学校にアニメのDVDを配ったとのことですが、郷土を学ぶツールとしては素晴らしいと思います。日本史にあまり馴染みのない、大鳥圭介と聞いても誰だかわからないという人にもぜひ見て欲しいです。

上郡町(「日本昔話in上郡町」 本編:歴史・空撮・智頭線)

上郡町に関わる英雄として大鳥圭介が取り上げられています。上郡町にある大鳥圭介関連の史跡も紹介されているので、大鳥圭介を更に身近に感じられる動画です。

なお、一緒に取り上げられている赤松円心は室町幕府誕生を支えた武将で、曽孫にあたる満祐は室町幕府第6代将軍足利義教を謀殺した嘉吉の変で知られています。この子孫である赤松喬二に、大鳥圭介の娘いなが嫁いでいます。ちなみに赤松喬二の姉、登志子は森鴎外の妻です。

おすすめの映画

燃えよ剣

司馬遼太郎原作の「燃えよ剣」を映画化した本作は、アクションも演技も定評のある岡田准一が土方歳三を演じることで話題になっている作品です。予告編を見る限り、五稜郭の戦いも描いているため、大鳥圭介も登場すると思われます。

映画『燃えよ剣』公式サイト

おすすめドラマ

新選組!! 土方歳三最期の一日

2004年放送のNHK大河ドラマ「新選組!!」の後日譚として制作された本作では、箱館戦争での土方歳三を描いています。一般的によく言われているような、大鳥圭介は尽く土方歳三と対立する軍人として登場していましたが、大鳥圭介役が吹越満だったこともあり、憎めない圭介像で新鮮な印象を受けました。

五稜郭

年末時代劇スペシャルとして1988年に放送された本作では、榎本武揚を主人公に、主として箱館戦争が描かれました。あまり知られていませんが、明治政府とは別に蝦夷共和国が北海道に作られたことや、宮古湾海戦というアボルタージュを行った戦闘があったりと、箱館戦争はドラマ要素を多く含む題材と言っていいでしょう。

製作費約10億円という、今では考えられないほど贅沢な時代劇ドラマです。蝦夷共和国の一員として大鳥圭介も登場しています。

関連外部リンク

大鳥圭介についてのまとめ

絵の具、石鹸、ゴム製品、鏡、食肉保存、防腐剤、化織、ウイスキー。これらは全て大鳥圭介が欧米視察で観察し、研究し、作り方や方法まで学び日本に紹介したものです。

幕末に舎密学など理系の知識も学んでいた圭介は、専門性の広い人でした。そして生来のチャレンジ精神、常に先を見て考えられる視野の大きさを持っていたので、日本の近代化に必要な知識は全て持ち帰るぐらいの覚悟を持って欧米を周り、知識を吸収していたのだと思います。

大鳥圭介は近代の種を蒔き続けた人です。今の私たちの文明生活のどこかには、必ず大鳥圭介の蒔いた種が結実したものがある訳で、これは本当にすごいことだと言わざるを得ません。

先人たちの努力があって今の私たちの生活があるということを認識し、感謝する気持ちを持つことが、歴史を学ぶ意味の一つであると思っています。大鳥圭介の生涯は、まさにそれを実感するものです。この記事を通して少しでも同じ思いを抱く人がいてくれたなら、とても嬉しく思います。

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