「百年戦争ってどんな戦争?」
「ジャンヌ・ダルクが活躍した戦争とは聞いたけど…」
「なんで100年もそもそも戦争したんだろう?」
そんな疑問がでてきませんか?百年戦争は簡単にいうと、フランスとイギリスが領土と王位継承をめぐって約100年間戦った争いです。非常に有名な戦いであり、世界史でも必ず覚えないといけない事柄ですが実際にどのような戦争だったのかは、実はあまり知られていない戦争です。
この記事では百年戦争の背景や戦い、その後の影響まで解説をしていきます。非常に複雑な事情が絡み合った戦争ですが、ポイントを押さえて解説するので是非参考にしてください。
この記事を書いた人
フリーランスライター
フリーランスライター、高田里美(たかださとみ)。大学は日本語・日本文学科を専攻。同時にドイツ史に興味を持ち、語学学校に通いながら研究に励む。ドイツ史研究歴は約20年で、過去に読んだヨーロッパ史の専門書は100冊以上。日本語教師、会社員を経て結婚し、現在は歴史研究を続けながらWebライターとして活躍中。
百年戦争とは何か?
百年戦争は、1337年~1453年までのイギリス王とフランス王のフランス領内で行われた戦争です。1337年にイギリスのエドワード3世がフランス国王へ挑戦状を送ったことを発端とし、1453年のボルドー陥落までを指します。途中疫病の流行などがあり休戦状態の時期がありましたが、決着がつくのに100年以上を有した中世ヨーロッパを代表する戦争となりました。
百年戦争の原因
そもそも百年戦争は何故起きたのでしょうか?それは、イングランド王エドワード3世が「領土を拡大したい」「新兵器を試したい」という動機が大きいといえるでしょう。その為にフランスの王位継承権が自身にもあると主張し、宣戦布告をしたのです。フランス側としては非常に迷惑な内容でした。
一度エドワード3世が王位継承権の主張をしフランス側は拒否をしていますが、「それならば実力行使で」と始まったのが百年戦争です。新兵器を発明していたエドワード3世の自信も、後押ししたと考えられています。
百年戦争が勃発した背景
イングランド王エドワード3世は、何故王位継承権を主張したのか?当然そういった疑問が出てきますが、そのことを説明するには、まず歴史を300年程さかのぼらないといけません。長くなりますが、できるだけ要点を纏めて解説していきます。
イングランド王国がフランスに領土を持っていた
まず戦争を始めたイングランドのエドワード3世の祖父エドワード1世は、フランス国内のノルマンディーとイングランドを統合し、両方の領土を有していました。エドワード1世は、フランス王の臣下であるノルマンディー公でしたが、当時イングランドにいた勢力を追い出して、イングランドの土地とノルマンディを治めていたのです。
フランス王国から見たら、イングランド王家は臣下でした。しかし息子のエドワード2世がフランス王女と婚姻したことなども影響し、フランス領内でのイングランド王家の影響は高まっていきました。この時代はイングランド国の王ですが、「心はフランス人」といった状態でした。
フランス王位継承問題
当時のフランス王シャルル4世が崩御したときに、シャルル4世には男子の王位継承者がいませんでした。この時、イングランド王・エドワード3世の母が、フランス王シャルル4世の妹イザベラだったために自分こそがフランス王になるべきだと主張したのです。
シャルル4世にはフィリップという従妹がおり、1328年にフィリップ6世として即位しエドワード3世も一度は了承したものの、エドワード3世に対して領土を没収すると宣言されたことが決定打となり、1337年に百年戦争が始まることとなったのです。
イングランドとフランスの「王位継承権」の違い
百年戦争に発展した背景には、イングランドとフランスの王位継承の権利の違いがありました。イングランドでは「父方、母方どちらでも継承可能」なのですが、フランスは「女性は王位継承権を所有しないので母方からの男子の継承権は認められない」なのです。イングランド人の王を拒んだフランス貴族が、その理由によりエドワード3世の主張を拒んだ経緯があります。
イングランドの新兵器
領地目的で王位に着きたい目的とは別に、イングランド側は戦争をしたい理由がありました。それは、「新兵器を試したかった」といわれています。その為に戦争を言い渡されるフランスもとばっちりもいいところですが、エドワード3世は好戦的で知られていたといいます。
この頃イングランドの伝統武器ロングボウが改良され、エドワード3世は戦闘で試してみたかったのです。ロングボウの威力は凄まじく、鎧を突き破る威力だったといいます。この武器によりフランス軍は多くの被害者を出すことになりました。
勝者は?百年戦争の結末
百年戦争の序盤は新兵器「ロングボウ」の活躍もあり、イングランドが優勢でした。イングランドは最初の「クレシーの戦い」や、黒死病の流行後に再開された「アジャンクールの戦い」に勝利しています。一度は「フランス王」の権利を奪うまでに至りました。
しかし後半に英雄「ジャンヌ・ダルク」が登場し、フランスは大逆転をし勝利を収めます。最後の「カスティヨンの戦い」では、フランスも新兵器「大砲」を投入し、イングランドを破っています。これによりフランスはイングランドから大部分の国土を取り返し、フランスの勝利で長い戦争は終わったのです。