渋沢栄一は日本を代表する実業家で、これまでに約500の企業を育て、600の公共事業に関わったと言われている人物です。新一万円札の肖像画に選ばれたり、NHK大河ドラマの主人公として扱われるなど話題にもなっていますね。
そんな渋沢はこれまでに数々の名言を残しており、それらはどれも今の私達の仕事や生活に生きる発言ばかりです。
そこでこの記事では、優れた実業家であった渋沢栄一が残した名言について、その発言に込められた背景や意味を含めて20選紹介したいと思います。
渋沢栄一はどんな人?何をした?功績や性格、逸話まで簡単に解説
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
渋沢栄一の名言20選と発言の意図や背景
1.論語とそろばんは両立する
私は日頃の経験を通じて、「論語と算盤とは一致すべきもの」という持論を持っている。講師が懸命に道徳を教えていた際、彼は経済についてもかなり注意を払っていたと思う。これは論語のあちこちに見られる。国を動かす政治家には政務費がいるのはもちろん、一般人も衣食住の費用はかかり、金銭と無関係ではいられない。また国を治めて国民の暮らしを安定させるには道徳が必要であるから、経済と道徳を調和させなくてはならないのである。
「論語とそろばんは両立する」は、渋沢栄一の一番の名言です。渋沢栄一はこの考えを基に、様々な会社を設立して人々を豊かにしていきました。
「論語とそろばん」は、「道徳と経済」と言い換えても良いでしょう。当時はまだ明治時代に入ったばかりで、江戸時代からの武士の理論が色濃く残る時代でした。「武士は食わねど高楊枝」といったように、金儲けは卑しく、清貧が素晴らしいという時代です。
渋沢栄一は、そのような時代において、「豊かでなければ道徳なんて大事にできないであろう」と考え、国が豊かになるように積極的に会社を設立していきました。
2.人は自主独立することにより人生の根本を成すのだ
人は全て自主独立すべきものである。自立の精神は人への思いやりと共に人生の根本を成すものである。
人の自立は人生の根本と説いています。確かに成人したのち、自立していくことこそ人生の第一歩を踏み出すものなのかもしれません。自分の足で立って、人生を踏みしめないといけないと教えてくれている言葉です。自立の精神と思いやりを兼ね備えることが出来たら、人生の礎は築けるということなのでしょう。
3.努力が実らないときは機を熟していないから耐えること
どんなに勉強し、勤勉であっても、上手くいかないこともある。これは機がまだ熟していないからであるから、ますます自らを鼓舞して耐えなければならない。
「気が熟していない」といいますが、結果がすぐについてこないことも、人生にはつきものです。耐え忍んでいかなければならないということなのでしょう。確かに結果がすぐについてくることは非常に稀ですので、上手くいかない時こそ自分を鼓舞して頑張りたいものです。
4.多くの人に幸福を与えるのが義務である
できるだけ多くの人に、できるだけ多くの幸福を与えるように行動するのが、我々の義務である。
出来るだけ多くの幸福を与えることが義務という精神があったからこそ、慈善活動に積極的に参加していたのではないでしょうか。渋沢が日本初の障がい者施設「滝乃川学園」の理事に就任したり、関東大震災の復興支援にも積極的に参加しています。
5.理想に従って生きることが素晴らしい
人は死ぬまで同じ事をするものではない。理想にしたがって生きるのが素晴らしいのだ。
理想に従って生きたからこそ、渋沢は大きな事業を残せたのでしょう。明治からの事業はもちろんのこと、江戸時代も農民でありながら一橋慶喜の家臣になり、そして幕臣としてフランスに赴いたりと向上心溢れる道を歩んでいったのです。
6.世間の信用を得るには人を信用することだ
事業には信用が第一である。世間の信用を得るには、世間を信用することだ。個人も同じである。自分が相手を疑いながら、自分を信用せよとは虫のいい話しだ。
事業には信用が第一なのはもちろんですが、自分も世間を信用することが大事と説いています。確かに自分が信用していないのに、相手に信用を求めるのは無理な話で、お互いが信用できる関係性を築きたいものです。