良寛とはどんな人?生涯・年表まとめ【名言や代表作品、功績やエピソードも紹介】

1817年 – 59歳「年齢を考慮し、乙子神社へ移住」

国上寺五合庵から乙子神社へ

乙子草庵

国上寺五合庵は山の中腹に位置していましたが、還暦を目前に控えた良寛には山の上り下りが身体に堪えるようになってきました。そのため、60歳を目前にして山の麓にある乙子神社へ移住することになりました。

乙子神社に移った後も生活スタイルは変わらず、托鉢しながら人と交流し、神社に戻ったあとは詩歌や漢詩作りに勤しむという毎日を送ります。良寛の書はますます評判を買うようになっていくのでした。

万葉集研究に注釈を施して欲しいとの依頼を受ける

万葉集 原本

ある日、良寛と詩歌を読み合うほど仲の良かった阿部定珍という人物から万葉集の朱注を入れて欲しいとの依頼を受けることになります。かねてより万葉集に興味を持っていた良寛は二つ返事で受け入れます。

加藤千蔭という人物が訳した「万葉集略解」を手元に置きながら、万葉集に注釈を加えていくことになりました。約1年をかけて注釈を入れることに成功したとともに、自身の和歌の研究にも役立ったということで良寛は大変満足したそうです。

1825年 – 67歳「豪雪をきっかけに街の民家へ移住、良き理解者となる貞心尼との出会い」

越後地方の豪雪に苦労し、街へ移住することに

新潟の豪雪 イメージ

良寛が乙子神社で過ごしていた1825年に、越後地方が豪雪となりました。雪かきや道路の整備などで苦労した良寛はこれを機に街へと出ることを決心します。良寛の弟子の遍澄という人物が地蔵堂の主になることが決まり、これを頼りに良寛は島崎(現在の新潟県三島郡和島村)の木村元右衛門宅に居候させてもらうことになりました。

良寛は家族の団欒を乱すことに遠慮して、木村家の裏屋で生活をすることになります。街へ移ってきたことで、移動は楽になった反面、街の賑わいに慣れなかった良寛は夏の間だけ、照明寺の密蔵院で生活するというスタイルを確立することになりました。

晩年の伴侶である貞心尼と出会う

新潟県柏崎にある貞心尼像

良寛が70歳の時に、木村家の裏屋に29歳の貞心尼が訪れてきます。貞心尼はその時、離婚したばかりでありましたが、良寛とともに衣食をともにすることを望んでやってきたのです。和歌の得意な貞心尼は良寛と心を通わせるために歌を一首作り、それを良寛に読んでもらうことによって2人の交流が始まるようになるのでした。

40歳以上も年の離れた2人でしたが、和歌という共通の趣味によって意気投合し、徐々に親密な関係となっていくのでした。のちに、2人の和歌のやりとりが歌集として世に出るところとなり、その関係性がだんだんと深まっていく様子がその内容から読み取れるようになっていました。

1831年 – 73歳「直腸癌により帰らぬ人に」

文政の大地震の際に「自然随順」を説く

良寛の手紙

1828年に越後の三条で大地震が起こりました。この時、良寛は周囲の安否を気遣って、手紙を方々に出しています。その中には「災難に逢ふ時節には災難に逢ふがよく候。死ぬ時節には死ぬがよく候。是はこれ災難をのがるる妙法にて候。」という内容も書かれていました。

これは全ての出来事は自然に任せるのが良いという「自然随順」という考え方で、老子や荘子の考えから来ています。自然災害は人の世の堕落を戒めるためにあるという思想が良寛にはあったのです。

直腸癌を患い、病床に伏すように

良寛の墓がある隆泉寺

1830年、良寛が72歳の時に腹痛や下痢を頻繁に訴えるようになりました。後から検査してみると直腸癌を患っていたことが判明したのです。この頃からは病床に伏すようになり、年末には危篤に陥るようにもなりました。

1831年1月6日、病状は回復することなく、良寛は静かに息を引き取ったのでした。良寛が交流の輪を広げた親しい人たちが見守る中での臨終だったのです。墓地は隆泉寺境内にある木村家の墓の中に設けられました。

良寛の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

良寛

良寛の生涯を描いた本です。寺に留まらず、妻子を持たず、托鉢僧としての生涯を全うした大愚良寛。その生き様や宗教に対する姿勢を著者独自の視点から解説した濃い内容の書籍となっています。毎日芸術賞を受賞した話題作なので、良寛について詳しく知りたい方にはおすすめです。

良寛 旅と人生

良寛が生涯に渡って作り上げた和歌・漢詩・俳句を厳選して掲載した書籍です。現代語訳にわかりやすく訳し、解説も追加されているため、読みやすい内容となっています。現代でも評判の高い良寛の作品を味わってみたい方にはおすすめの一冊です。

ヘタな人生論より良寛の生き方

托鉢僧として乞食同然に生活していたにも関わらず、厚い人望を手に入れ、後世に語り継がれるようになった良寛の生涯について詳しく記された書籍です。現代でも参考になるその生き方は今でも多くの人の共感を得ています。良寛の生き様に触れてみたい方にはおすすめの一冊です。

おすすめ映画

良寛さん

良寛の生涯をアニメによって再現した映像作品です。声優には小林幸子、菅原文太など豪華なキャストが起用されています。1時間強で観られる作品となっているので、本を読むのが苦手な方や子供と一緒に楽しみたい方などにはおすすめの作品となっています。

良寛についてのまとめ

今回は良寛についての記事をまとめさせていただきました。

良寛は子供と親しげに遊んでいるイメージが強いですが、その印象に違わない、親しみやすく、非常に人望のある人物でした。良寛の残した書の数々は今でも人々の心に感動を与えていますが、それはひとえに彼の人柄がにじみ出ているからではないでしょうか。

この記事をきっかけにさらに良寛に興味を持っていただけると幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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