本居宣長とはどんな人?生涯・年表まとめ【古事記伝や源氏物語、名言や思想についても紹介】

1790〜1798年 – 61〜69歳「古事記伝の完成」

古事記伝の写本

古事記伝完成までの寄り道

古事記伝は徐々に関係に近づく中、宣長は1792年には紀伊藩に五人扶持で仕官として仕えたり、有職故実等をまとめた「玉勝間」の執筆を開始する等、更に活動の幅を広げています。

古事記伝の完成

とうとう1798年に古事記伝は完成。44巻という超大作の為、版本としての刊行は1822年までかかっています。宣長は冒頭の「天地初發之時…」の天地の部分をアマツチと訳しましたが、それに対し以下のように注釈を入れています。

名義は未だ思ひ得ず(読み方の結論はまだ出ていない)

どれだけ時間をかけても、宣長の探究心は衰える事はありませんでした。古事記伝の完成は宣長にとって終わりではなく、新たな考察への始まりだったのです。

1799〜1800年 – 69〜71歳「源氏物語玉の小櫛・うひ山ぶみ・地名字音転用例の執筆」

宣長の遺言書 絵で墓のデザインを記載していた

古事記伝完成後も熱意は衰えず

古事記伝完成後の宣長はすぐに「うひ山ぶみ」という国学の入門書を執筆しています。著書の中で宣長は「学問は持続させる事が大切であり、学び方はそれ程重要ではない」とも述べました。

更に1799年には浜田藩藩主・松平康定の要望により、源氏物語の注釈書「源氏物語玉の小櫛」を完成させます。1800年には「地名字音転用例」を完成させる等、その熱意は衰える事はありませんでした。

遺言書の作成

ただ宣長も自分の死期が近い事は悟っており、1800年7月には遺言書を作成。更に山室山に行き、墓地の場所を定めたとされます。

古事記伝執筆後もその手を止めなかったのは、命ある限り何かを残したいという思いがあったのかもしれませんね。

1801年 – 72歳「本居宣長死去」

本居宣長の墓
出典:松阪市観光協会

本居宣長死去

1801年9月18日に宣長は病を発症し、29日の朝に病没しました。宣長の遺言は相続の他、供養や墓のデザインまで詳細に記されており、それらに則って葬儀は行われました。

山室山にあった宣長の墓は、現在では1959年に妙楽寺という松阪市を一望出来る小高い山に移転されています。その地は生前の宣長が好んだ場所だったそうです。

宣長は現在でも松坂の地を見守っていると言えますね。

本居宣長の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

本居宣長『古事記伝』を読む 全4冊合本版

古事記研究の第一人者である神野志隆光氏が古事記伝を細部にわたり丁寧に解説した力作です。この4冊で古事記の世界観や古事記に秘められた思いが分かる事でしょう。

古事記伝の本はいくつかあるものの、この本が一番分かりやすく、個人的にはおススメです。

本居宣長

本居宣長の生涯をまとめた1冊。宣長が何故国学に目覚めたのか、古事記伝を完成させる事が出来たのか、そのルーツがわかる1冊です。

ただ宣長は多くの著作が存在する為、本書で全てを網羅する事は難しいと言えます。この本で宣長の思想や足跡を辿りつつ、他の著作を学ぶ事をオススメします。

日本人のこころの言葉 本居宣長

本書は宣長が遺した名言を多く解説しています。宣長の思想や、もののあはれに対する思いを汲み取って解説をしている為、ただの名言集には収まりません。宣長の生き方を学び、明日への糧にしたいと思える一冊です。

おすすめの動画

古事記 1 ~国生み~

古事記をアニメにしたもの。こちらは国生みが題材になっていますが、シリーズ化されています。アニメを通して観る事で楽しく、そして分かりやすく古事記を学ぶ事が出来ますね。

わかる歴史【平安時代】「もののあはれ」と「をかし」

源氏物語は「もののあはれ」の作品であり、枕草子は「をかし」の作品と言われています。両者の内容や違いは古典に詳しくないとピンとこないかもしれません。

こちらの動画は両者の感覚の違いや、その成り立ちについて分かりやすく学べます。宣長が愛した源氏物語の内容や意義について再確認しましょう。

「本居宣長の古事記伝」『ちょっと学べる!天理図書館の文学ナビ』(01)

宣長の功績について5分ほどでまとめた動画です。古事記の歴史的な背景や当時の状況等も踏まえつつ、宣長が日本に与えた影響について詳しく説明しています。初めて宣長について学ぶ人にオススメの動画です。

おすすめの映画

宣長を主人公にした映画やドラマは今のところは存在しません。国学という題材のとっつきにくさもありますし、30年以上に渡る研究過程を映像化する事は地味にならざるを得ないのかもしれません。

いつか宣長を主人公に添えて、古事記伝や源氏物語、国学の大成等をテーマにした作品が観たいですね。

関連外部リンク

本居宣長についてのまとめ

今回は本居宣長の生涯について解説しました。古事記伝やもののあはれの思想は、日本に脈々と受け継がれた精神を明らかにするものでした。国学は日本人が日本人である事を再認識する上で、非常に興味深い学問です。

教科書では「本居宣長が古事記伝を著した」と一行で書かれる内容も、完成に至るまでの過程はとてもドラマティックで様々な苦労があった事は間違いありません。もし古事記伝等を読む機会があれば、宣長の熱意を感じ取って貰いたいなと思います。

今回の記事を通じて、宣長の事に興味を持っていただけたら幸いです。

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4 COMMENTS

こうちゃ

学校の勉強で聞いたことはあっても、知らないことばっかでびっくりしました。

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