1956年 – 30歳「アーサー・ミラーと3度目の結婚」
マリリンの3度目の結婚相手となったアーサー・ミラーは、アメリカを代表する劇作家です。代表作の「セールスマンの死」は競争社会の問題、親子の断絶、家庭の崩壊などを描いており、現代の日本に置き換えても十分に通じる内容です。初演は1942年でしたが、その後アメリカでも日本でも繰り返し上演されています。
華やかなメジャーリーガーとの結婚に破れたマリリンは、落ち着いた劇作家との結婚なら上手くいくと考えたのかもしれません。
しかし、1956年の結婚の翌年から、マリリンは精神的に不安定になってしまいます。睡眠薬を飲みすぎることもあり、精神病院に入院したこともありました。この頃に境界性パーソナリティ障害と診断されています。
境界性パーソナリティ障害では、考え方や感情が不安定であるが故に、人とのコミュニケーションを上手く取ることができず、アルコールや薬物に依存する傾向が高くなると言われています。マリリンの特徴にピッタリだと思われますが、真偽の程は定かではありません。
また、マリリンは子宮内膜症だったとも言われています。これが原因の1つになったのか、同時期に流産も経験しています。
1961年 – 35歳「アーサー・ミラーと離婚、ケネディ兄弟との不倫」
離婚する前から不倫関係だった?
1959年頃からマリリンはジョン・F・ケネディと不倫関係にあったと言われています。ケネディは1961年にアメリカ大統領になっていますから、本当なら大スキャンダルです。
しかし、当時のマリリンの家政婦やケネディの妹の夫(俳優のピーター・ローフォード)など多数の人たちが2人の関係を証言しています。
また、マリリンは一時期ジョンの弟であるロバート・ケネディとも関係があったと言われていました。無鉄砲とも取れるマリリンの行動ですが、この時に公開された映画「荒馬と女」は評判が悪かった上に、共演したクラーク・ゲーブルが撮影終了後に急死してしまいます。
自らの精神的な病、身体の負担に加えてさまざまなことが重なり、マリリンはこのような無鉄砲な行動へと走ってしまったのかもしれません。
不倫の影響は大きかった…
2人の関係が終わった後で行われたのが、ケネディ大統領の45歳のバースデーパーティーでした。マリリンは敢えて身体の線があらわになるドレス姿で出席、「ハッピーバースデートゥーユー」を歌ったことはあまりにも有名です。
マリリンは2人の最後を自分らしく飾りたかったのでしょうか。
1962年 – 36歳「死去」
マリリンが使っていた睡眠薬
ケネディ大統領のバースデーパーティーからわずか3カ月後の1962年8月5日、マリリンは自宅の寝室で亡くなりました。死因は睡眠薬の大量摂取による中毒でした。
マリリンの睡眠薬はバルビタールといい、1903年から1930年頃まで使用されていました。それまでの臭素系睡眠薬はひどい味だったため、少し苦味があるだけのバルビタールは画期的な薬だと評価されたのです。
しかし、バルビタールには長い間使っていると効果が出にくくなるという欠点がありました。そのため、どうしても大量摂取をしてしまう危険があったのです。マリリンも自殺か他殺かという以前に睡眠薬の使いすぎが指摘されています。
葬儀
マリリンの葬儀は8月8日にウエストウッド教会で行われました。マスコミや映画関係者はシャットアウトされ、30名ほどが出席した小規模な葬儀でした。
葬儀を取り仕切ったのは元夫のジョー・ディマジオでした。彼は本当にマリリンのことを愛していた人たちだけで見送りたかったようです。葬儀の後、マリリンは故郷ロサンゼルスのウエストウッド・メモリアルパークに埋葬されました。
こじんまりとした小さな墓石ですが、今でも多くの人が訪れて、花を供えたり口紅をつけたりしています。そして墓石には本名ではなく、マリリンモンローの名前が刻まれていることからも、彼女は死んでなお女優を続けており、多くの人たちを魅了していることがわかります。
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マリリン・モンローとともに – 姉妹として、ライバルとして、親友として
マリリンが演技を学んだアクターズ・スタジオの主催者リー・ストラスバーグの娘であり、女優でもあるスーザン・ストラスバーグの著書です。マリリンと切磋琢磨する関係だったスーザンだからこそ書けた内容です。
映画が娯楽の花形だった時代が眩しく感じられるとともに、演技のために身をすり減らしていく彼女たちが痛ましく感じられます。
マリリン・モンロー魂のかけら
マリリンの死後50年が経って、初めて明かされる真実に驚きます。ハリウッドスターから連想する華やかな世界ではなく、厳しい現実の数々が記されているからです。
精神病院では閉鎖病棟に入れられたこと、映画会社との確執やトラブルの数々が赤裸々に記されていて、人間にとっての幸せはなんだろうと考えさせられます。この作品を読んでから見ると、マリリンの映画はまったく違って見えるのかもしれません。
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ナイアガラ
マリリンが夫を殺そうとする悪女を演じています。この作品でモンローウォークが生まれたのは有名な話ですが、確かにマリリンの歩くシーンは長いなと感じます。不安定な歩き方はなぜか、私たちの心を捉えて目が離せなくなるから不思議です。
不安定で儚げなものを守りたいという思いが、私たちが今もマリリンモンローに惹かれる理由なのかもしれません。
お熱いのがお好き
犯罪現場に居合わせたために、マフィアに殺害されそうになって逃亡する演奏者の男性2人が逃げ込んだのは女性だけの楽団でした。そこで2人がマリリン演じるシュガーに出会って恋をすることから、ドタバタコメディーが始まります。
古き良き時代のコメディーは、気楽に笑えますし、なんと言ってもコメディエンヌとしてのマリリンが可愛くて魅力たっぷりです。男性2人の女装のクォリティの低さは、マリリンの魅力を引き立てるためだと思える作品です。
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マリリンモンローについてのまとめ
マリリンモンローの人生について、細かくシーンごとに振り返って来ました。さまざまな事実から彼女の悩みや苦しみに思いが至ったという人も多いのではないでしょうか。
華やかな面だけではなく、悩み苦しんだ姿を知ったあとの方が、なぜかマリリンの魅力が増しているように感じられます。
そして決して私たちが忘れてはならないのは、彼女は女性として正当な扱いを受けたいといつも望み、そのために努力をして声を上げ続けていたことです。
誰もが自分にとって正当な評価と報酬を受ける権利があることを、マリリンは私たちに教えてくれました。
現在の世界中の女性たちの様子はマリリンにとってどう映るでしょうか。まだまだ野心が足りないと言われるのではないかと思います。