ルソーってどんな人物?【思想や文学作品、人物像まで詳しく解説】

ルソーの功績

功績1「現代の民主主義にもつながる著書『社会契約論』を執筆」

社会契約論』は民主主義の原点!

上記でも述べたように、ルソーといえば『社会契約論』の著者として有名です。ルソーは「社会契約説」を17世紀の哲学者であるトマス・ホッブズやジョン・ロックから受け継ぎました。

そして彼独自の視点で社会契約説を説いた『社会契約論』は当時のフランス社会に大きな影響を与え、絶対王政から民主主義への変化に対する重要性を示したのです。

ルソーの『社会契約論』はフランスやヨーロッパだけでなく日本語にも翻訳されており、日本の民主主義にも影響を与えました。また、『社会契約論』の内容は現代の民主主義にもつながるとして現代哲学者の研究対象にもなっています。

功績2「文学作品『エミール』から近代教育の基盤を築く」

どんな時代も子供は国の宝物

ルソーの有名な著書は『社会契約論』だけではありません。文学作品『エミール』もその一つです。『エミール』は近代教育学の古典として知られており、子どもの自由や人格を尊重してそれぞれの子どもの発達に沿った教育をすべきだと述べています。

また、一見難しい内容のように思えますが、小説のように読みやすく描かれてています。ルソーは主人公エミールの半生を通じて「個性の尊重と自由を中心とした教育観」を論じて近代教育の基礎を築きました。

当時としては素晴らしく画期的な教育論でしたが、『エミール』の中では当時の社会情勢や宗教思想を批判する内容が書かれていました。その結果、ルソーは亡命生活を送ることになったのです。

功績3「ドイツや日本の思想家に影響を与えた 」

『社会契約論』や『エミール』など数々の名著や思想を展開したルソーは、多くの哲学者や思想家に影響を与えました。その中でも一番影響を受けたとされるのがドイツの哲学者イマヌエル・カント(ドイツ)です。

カントはある日ルソーの文学作品『エミール』を一日中読み続けてしまい周りを大騒ぎさせたという逸話があるほど、ルソーを高く評価・尊敬していました。他にもイギリスの哲学者やヨーロッパから遠く離れたロシアの作家や日本の思想家にも影響与えたとされています。

ルソーの名言

人間とは本質的に善いものであり、堕落しているのは社会のほうである。

著書『社会契約論』で述べているように、人間は自然状態では平和に善い生き物として暮らしていたのに文明化によって堕落したことを示しています。現実の社会問題にも通じる言葉ですね。

人は生まれながらにして自由であるのに、至る所で鉄鎖に繋がれている。

これは『社会契約論』の冒頭部分に書いてある言葉ですが、他のルソーの著書でも似たような文章があります。鉄鎖とは社会上で生じる義務のことを指しており、どんなに自由な国家であっても義務からは逃れられないことを表しているのです。これはフランス革命のスローガンにもなっています。

自由を放棄することは、人間としての性質を放棄することである。

ルソーは人間や社会の自由と平等を何よりも望んでいた人物です。文明化以前の人間は自由を謳歌していたのだから、自由を手放すことは人間の本質を手放すことであるとルソーは考えたのでしょう。

ルソーの人物相関図

ルソーの人物相関図
ルソーの相関図

ルソーにまつわる都市伝説・武勇伝

都市伝説・武勇伝1「あの有名な台詞はルソーがきっかけ!?」

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」という台詞を知っていますか?実はこの台詞、ルソーの自伝『告白』の第6巻に書かれている文章から広まりました。

とうとうある王女がこまったあげくに言ったという言葉を思いだした。百姓どもには食べるパンがございません、といわれて、「ではブリオッシュ(パン菓子)を食べるがいい」と答えたというその言葉である。

上記の文章から「ある王女」は当時のフランス王妃マリー・アントワネットであるとされ、彼女はフランス国民から批判を浴びることになります。当時のフランスは食糧難であり、国民は貧困に苦しみ主食のパンすら買えずにいました。そんな人々に対してパンよりも高価なお菓子を食べろという台詞はとても無知で傲慢なものです。

マリー・アントワネットは美しい容姿でしたが浪費家で無知な性格だったため、この台詞を言ったと噂されたのでしょう。しかし、ルソーがこの文章を書いた時、彼女はまだ9歳でオーストリア在住でした。そのため現在では間違いだと認められています。

マリー・アントワネットの名言「パンが無ければ…」の真相とは?人物像や時代背景とともに紹介

都市伝説・武勇伝2「実は露出狂で恋愛体質?」

偉大な哲学者にも弱点はある

哲学者や思想家として偉大な人物とされるルソーですが、そんな彼にも人には言えない秘密がありました。露出癖とマゾヒズム(屈辱感などに性的快感を覚えること)の性癖を持っていたのです。

幼少期の寄宿生活で牧師の妹に折檻されたことからマゾヒズムの性癖が生まれ、女の子の前で下半身を露出させて捕まったこともありました。また真面目な哲学者と言いづらく、恋愛体質な性格でもあったのです。

14歳も年上のヴァランス夫人と愛人関係になり、テレーズという女性との間に5人も子どもを作った後も複数の女性に恋愛感情を抱いていました。ルソーは人生において常に人間に恋をしていたのです。

都市伝説・武勇伝3「晩年は被害妄想に苦しむ」

苦しみに満ちた晩年のルソー

ルソーの生涯は決して順風満帆ではなく、常にお金に困っていました。他人に頼ることで生きており、迫害や亡命によって晩年は精神状態がひどく悪化してしまいます。毒殺や暗殺者がいるなどの被害妄想に苦しみ、怯えながらの暮らしをしていたのです。

「自分の思想によって国から迫害されている」と状況はルソーにとって恐怖そのものであり、研究を続けながらも彼の精神は徐々に追いつめられていきました。

最後には尿毒症で倒れ、66歳でこの世を去ります。皮肉なことにルソーの功績は彼の死後に認められ、生前に苦しんだ貧困や精神病は死後に報われることになりました。

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