グリゴリー・ラスプーチンとはどんな人?生涯・年表まとめ【死因も紹介】

1916年 – 47歳「怪僧ラスプーチンの死」

ケーキとワインと銃弾、そして靴によってラスプーチンの命運は絶たれることになった。

暗殺前夜

1916年11月ごろになると、議員や貴族たちは結託して、様々な手段でラスプーチンを政治から遠ざけようとするようになりました。

しかしそのような買収の動きは、ラスプーチンを盲目的に指示するアレクサンドラ皇后によって阻止されてしまい、結果的に貴族たちは結託してラスプーチンの暗殺を実行することを決定します。

ラスプーチン自身も、このような暗殺の動きを半ば察知していたらしく、彼はこの頃「自分はもうすぐ殺される」と外出を控えるようになったほか、娘の口座に自身の財産を移すなどの死に支度めいた行動が増えていたことが記録されています。

暗殺決行

ラスプーチン暗殺の実質的な実行犯であるフェリックス・ユスポフ

1916年12月17日、ラスプーチンは貴族であるフェリックス・ユスポフに、邸宅へと呼び出されて歓待を受けることになります。そしてこの呼び出しこそが、ラスプーチン暗殺計画の始まりでした。

美人で有名なユスポフの妻と会うことを餌に呼び出されたラスプーチンは、まず青酸カリが混入したプチフールと紅茶を与えられ、デザートワインを泥酔するまで飲まされますが、何故か彼は毒によって苦しむ様子もなく生存。

リボルバー拳銃の弾丸を至近距離から受けても、ラスプーチンは死なずに逃げ出そうとしたとか。

しかし泥酔したラスプーチンは酩酊状態に陥り、その隙をついてユスポフはラスプーチンの背中に向けて二度発砲。これによって心臓と肺を貫かれたラスプーチンは、床に倒れ込みました。

しかしそれでもラスプーチンはまた死なず、それどころか逃げようとしたと伝わっています。そしていよいよ焦った暗殺犯たちは、逃げるラスプーチンに向けてさらに発砲。静脈から背骨に欠けて貫通する重傷を負い、ラスプーチンはとうとう倒れ伏しました。

しかし彼はまだ死んでいなかったようで、ユスポフはまだ起き上がって逃げようとする彼を靴で何度も殴打し、トドメに額を打ち抜くことでようやく暗殺を終えたとされています。

死体の行方と暗殺事件の顛末

川から引き揚げられたラスプーチンの遺体。死後硬直が写真でも見て取れる。

常軌を逸した生命力を発揮したラスプーチンの遺体は、簀巻きにされて冬の川に投げ入れられる事で処理されたと記録されています。死体が見つかったのは事件発生の三日後であり、発見された死体は死後硬直で伸びきっていたそうです。

この暗殺事件に関しては、実行犯がロシア有数の貴族であるユスポフであり、多くの議員や貴族が実質的な共犯であったため、ろくな捜査も成されずに迷宮入りとして処理されたと言われています。

また、その一応の捜査資料もソビエト連邦の成立によって破棄されてしまったため、ラスプーチンの死の詳細や真実については、現在も想像するしか知る余地がない状態となっているようです。

ラスプーチンの死、その後…

このイパチェフ館でロマノフ王家が虐殺されたことで、ロシアの一つの時代が終わりを迎えた。

ラスプーチンの死後、彼とその信望者であるアレクサンドラ皇后によって不安定化した政情は、ラスプーチンを重用していたニコライ2世へ牙を剥くこととなります。

そして1917年2月には二月革命が勃発。一部の兵士すら暴徒に加わったこの事件は皇室の権威の零落を示すには十分すぎる事件となり、これが引き金となってニコライ2世は退位を決定。これによってロマノフ朝ロシア帝国は崩壊することとなりました。

その後ロマノフ家の者たちは監禁生活を強いられた末に、1918年にイパチェフ館にて惨殺。この残虐な事件によってロマノフ朝の血筋は断絶し、ロシア帝国はソビエト連邦として新たに歩みだすことになったのです。

グリゴリー・ラスプーチンの関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

真説 ラスプーチン

ラスプーチンについての評伝です。「聖人」あるいは「怪人」としての評価に偏りがちなラスプーチンについての評伝の中では、おそらく最も中立的な視点を保っている書籍だと言えるでしょう。

訳の問題からか、かなり読みにくい部分も散見されますが、それでもラスプーチンという人物を知るには最も参考になる書籍としておすすめしたいと思います。

怪僧ラスプーチン―ロマノフ朝の最期

ラスプーチンに関する評伝…ということになっていますが、情報が古いため、現在では「ラスプーチンに関するイメージと風説について」という形で読める一冊です。

ラスプーチンについてだけでなく、彼の台頭と没落によって終焉を迎えることになったロマノフ王朝についても描かれているため、ラスプーチンについてだけでなく当時の謎に満ちたロシア帝国について知りたい方にお勧めの一冊となっています。

おすすめアニメ、ゲーム

Fate/Grand Order

スマホでフェイト!|Fate/Grand Order 公式サイト

多数の歴史や神話上の偉人がキャラクター化して登場する『Fate』シリーズのスマートフォン版です。スマホゲームとは思えない重厚なストーリー展開が特長となっているため、じっくりとプレイできるゲームが好きな方にお勧めの作品となっています。

本作におけるラスプーチンは、シナリオの第二部で登場。Fateシリーズにおける人気キャラ、言峰綺礼に憑依してプレイヤーと敵対する勢力の幹部として暗躍する、謎めいた魅力あるキャラクターとして登場しています。

DRIFTERS

歴史上の登場人物が多数登場する漫画作品のアニメ版です。この作品においても、ラスプーチンは敵方の勢力として登場します。

本作のラスプーチンは、怪人というよりは祈祷僧の一面が強調されて描かれているほか、史実とはかけ離れた外見イメージもとても特徴的です。興味がある方はぜひご覧になってください。

グリゴリー・ラスプーチンについてのまとめ

ある人からは「奇跡を起こす聖人」、ある人からは「ロマノフ王朝を滅びに導いた怪人」と、人や立場によって非常に評価が分かれるグリゴリー・ラスプーチンという人物。

けっして英雄視ができる人物ではありませんが、割合現代に近い人物であるにも関わらず正確な記録が非常に少ないことや、それを後押しする奇々怪々なエピソードなど、歴史を学ぶのではなく”楽しむ”事に関して考えるならば、非常に興味深い人物であるように感じました。

どんな事柄であれ立場によって評価軸が変わることは当たり前ではありますが、ラスプーチンに対する評価は特に二極化が激しくなっています。皆様も是非、自分で様々な情報を調査し「ラスプーチンはどういった人物か」という自分なりの評価をしてみて頂ければ幸いです。

それでは、この記事にお付き合いいただき誠にありがとうございました。この記事が皆様にとって、多少なりと学びになっていれば何より光栄でございます。

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