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シェイクスピアの名言20選!発言に込められた意図や背景も解説

「おお、ロミオ!なぜあなたはロミオなの?」
「ブルータス、お前もか!」

これらの名言で有名なシェイクスピアは、16〜17世紀を生きたイギリスの劇作家として有名です。数多くの名言を残したシェイクスピアですが、あなたはこれらのセリフの本当の意味をご存知でしょうか?

「ロミオとジュリエット」も「ハムレット」も、題名は知っているけれど実際には読んだことがないという人も多いでしょう。名言自体が人々に愛されているのは素敵なことですが、物語の中での使われ方を知ると、これらの言葉の魅力をより深く味わえるはずです。

この記事では、シェイクスピアのよく知られた名言を、その原文や原典とともに20選ご紹介します。発言に込められた意図や、シェイクスピアの名言を扱ったおすすめの書籍も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

シェイクスピアの名言と意図、背景

真に気高い生き方とは何か

「ハムレット」の石版

To be, or not to be: that is the question.

「生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ」というシェイクスピアの名言として最も有名なこのセリフは、シェイクスピアの四大悲劇の一つである「ハムレット」に登場します。

ハムレットは、正義で高貴な生き方を探し求めていました。ハムレットについては「優柔不断」「中二病にかかっている男」といった印象を持っている人も多いかもしれません。このセリフについても、自殺をすると神の裁きを受けるかもしれないので、怖いからできないといったハムレットの本音も見え隠れします。

しかしハムレットは最後に、できることは全てやって、あとは運命に任せようという、いわば「悟り」の境地にたどり着きます。このセリフはそこまでの通過点だと思うと、印象も変わってきますね。

清らかに生きよ

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作「オフィーリア」

Get thee to a nunnery!

これも「ハムレット」で有名な台詞です。一般的には「尼寺へ行け!」と訳されます。ハムレットが、愛するオフィーリアに投げかける残酷な言葉としてよく知られています。しかしこれは、オフィーリアに対するハムレットの最上の愛なのです。

ハムレットは、騙したり騙されたりという混沌とした世界に、清純なオフィーリアを置いておきたくなかったのです。彼女を守るためにあえて突き放そうとしたのでしょう。ハムレット自身にも言い聞かせるように、このセリフは3回も出てきます。真っ直ぐに生きようとする若い青年ならではの意思と行動に、つい涙してしまうセリフです。

全ては自分の考え方次第

後にトム・ストッパードによって作られた戯曲「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」

There is nothing either good or bad but thinking makes it so.

これも「ハムレット」の一節です。「ものの良し悪しは考え方ひとつで変わる」という意味です。旧友ローゼンクランツが王に言われてハムレットの本心を知ろうと問いかけるも、上手くかわされてしまうという場面で出てきます。

どんなことにも絶対的なものはなく、見方を変えれば印象も変わります。世の中にはさまざまな人がいるように、考え方も人によりけりなのは当然のことです。人と違うことに、とかく不安を覚えがちな私たちですが、自分の考え方を信じ、貫く意思が大切です。

感情はコントロールすべし

王妃ガートルード

The violence of the feelings even destroys the force as well as feeling.

これも「ハムレット」から。「喜怒哀楽の激しさは、その感情とともに実力までも滅ぼす」という意味です。劇中劇のシーンで、王が王妃に、王妃の自分に対する愛情も、自分が死ねばなくなるだろうという話をする中で出てきます。

あまりにも強い怒りに我を忘れたことはありませんか?あまりに嬉しくて、可笑しな行動をとった経験はありませんか?もちろん、感情が爆発することで、実力以上の力を発揮することもありますが、逆にそれによって大きな失敗を犯すこともあります。

大切なのは、自分の感情をコントロールすることです。必要な時は感情をオープンにしても良いですが、その感情のスイッチは自分で管理しなければなりません。感情を出すとよくない場面では、胸中の想いは押し留めて振る舞うことが肝要です。

心の籠らないことばは虚しいだけだ

ロシアの俳優によるクローディアスとガートルード

My words fly up, my thoughts remain below. Words without thoughts never to heaven go.

「ことばは宙に舞い、思いは地に残る。思いのこもらぬ祈りは天には届かぬ」という「ハムレット」の一節です。兄である王を殺し、王位と王妃を手に入れたクローディアスを、王の息子ハムレットは父を殺した張本人ではないかと疑うようになります。クローディアスは自分の行いに悔いる気持ちが芽生え、神の赦しを得ようと祈るというくだりです。

クローディアスは、自ら思います。罪を犯して得た王位や王妃はまだ手中にあるのに、赦しを乞いたいと祈りを捧げたところで神は赦してくれるのか?と。それでも祈らずにはいられないクローディアスを、私たちは愚かだと笑えるでしょうか?言霊について改めて考えさせられるとともに、魂の宿したことばを届けられるように、私たちも振る舞いたいものです。

運命は私たちの手の中にある

1623年発刊の「ジュリアス・シーザー」

It is not in the stars to hold our destiny but in ourselves.

歴史劇として知られる「ジュリアス・シーザー(The Tragedy of Julius Caesar)」の名言で、「運命は星が決めるのではない。我々の思いが決めるものだ」という意味です。シェイクスピアは、運命は個人の思いで変えられるというメッセージを様々な物語で訴えています。これもその一つですね。

ただこの名言、実は原文ではありません。「ジュリアス・シーザー」の物語内ではこう書かれています。

Men at some time are masters of their fates: The fault, dear Brutus, is not in our stars, But in ourselves, that we are underlings.

「人には時として運命の主人となる時がある。ブルータス、私たちが下役になった責任は、私たちの運命にあるわけではなく、私たち自身にあるのだ。」という意味です。シーザー暗殺を目論むキャシアスが、義兄で民衆にも慕われているブルータスを味方に引き入れようとする場面でのセリフです。

運命は自分で切り開くもの!というキャシアスの熱い言葉に、ブルータスは引きずられてしまったわけですね。ブルータスは悪い方向に自らの運命を向けてしまうのですが、私たちは良い方向へ運命を変えられるように行動しましょう。

人殺しに建前もない

ヴィンチェンツォ・カムッチーニ作「カエサルの死」

Let us be sacrificers, but not butchers.

「我々は生贄を捧げるものであり、屠殺者であってはならない」という意味で、「ジュリアス・シーザー」の一節です。シーザー暗殺の意義を話すブルータスの言葉で、理想主義者ブルータスは大義のためにシーザーを殺めるのだと言います。自らの行いを正当化しようとしているのです。

理想を掲げることは大事ですが、現実も見なければいけません。このセリフは、美しいレトリックでつい納得してしまいそうになりますが、現実に暗殺はどんなものであれ人殺しであり、正しいことではありません。

ブルータスは最後に自刃しますが、どんな理想の元であっても暗殺を行うということは、その代償も覚悟しなければならないと、シェイクスピアは教えてくれている気がします。

Et tu, Brute?

「ブルータス、お前もか?」という有名なフレーズもありますが、これはブルータスに殺される直前のシーザーのセリフです。シーザーにとっては、ブルータスの暗殺の建前など何も関係がなく、友情で結ばれていたと思っていたブルータスに裏切られたという思いで発した言葉でした。ブルータス自身が蒔いた種とはいえ、悲劇としか言いようがありません。

どんな事実も解釈次第

「夏の夜の夢」の表紙

men might also construe things after their fashion, Clean from the motive of the things themselves.

これも「ジュリアス・シーザー」の一節です。「人間はとかく自分本位に物事を解釈し、本来の意味とはまるで違ったものになることも珍しくない」という意味です。又聞きだと話が変わってしまう経験は誰にもありますよね。これは政治的な内容ですが、恋愛について述べたセリフでも同様のものがあります。

Love takes the meaning in love’s conference.

「夏の夜の夢(A Midsummer Night’s Dream)」の一節で、「恋人同士というのは、お互いの話を良いように解釈するものだ」という意味です。このセリフは、愛の言葉の意味は愛情で補うもの、つまり私たちは男女の一線を越えるべきだと暗に伝えています。

趣旨は同じでも、「ジュリアス・シーザー」のセリフとは一転、口説き文句になるあたりがシェイクスピアの凄いところです。

恋人と狂人は幻想のかたまり

「夏の夜の夢」の版画

Lovers and madmen have such seething brains. Such shaping fantasies, that apprehend More than cool reason ever comprehends.

「恋をしている人間と狂っている人間には、理性は通じない。だから彼らを理性で理解しようとしても無駄だ」という意味です。この一説も「夏の夜の夢」に出てきます。喜劇として知られる「夏の夜の夢」は、若者たちの結婚をめぐる恋の話なので、こうした恋愛にまつわる名言がたくさんあります。

物語の中ではさらに続けて、冷静な理性では理解できない存在として詩人(poet)も挙げられています。詩人とは芸術家のことです。つまりこの物語を書いているシェイクスピア自身も、想像力で出来ている恋人たちや狂人と同じだと書いているのです。恋をしている人を理性がないと貶めるのではなく、自分も同じというあたりもシェイクスピアの魅力ですね。

逆境こそ人を豊かにする

「お気に召すまま(As You Like It)」の第1頁

Sweet are the uses of adversity, Which, like the toad, ugly and venomous, Wears yet a precious jewel in his head.

「お気に召すまま(As You Like It)」という喜劇の一節です。「逆境が人に与えるものこそ美しい。それはガマガエルに似て醜く、毒を含んでいるが、その頭の中には宝石を抱えているのだ」という意味です。年老いた公爵が、宮廷にいるよりも森に住む方が危険が少なく、自然の声に耳を傾けることができて良いと話す場面です。

逆境の中で絶望するのではなく、逆境にいるからこそ見えるもの、感じられるものを享受し、自らの人間性を豊かにしようとするこの前向きな姿勢は、ぜひ学びたいものです。

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