あなたの人生はあなたが主役
All the world’s a stage And all the men and women merely players.
「お気に召すまま」の一節で「この世は舞台であり、人は皆役者なのだ」という意味です。大変有名な一節で、シェイクスピアが原典だと知らない人も多いかもしれません。原文には続きがあります。
They have their exits and their entrances; And one man in his time plays many parts,
「それぞれに登場と退場がある。人はその時々に合わせて色々な役を演じている」と書かれています。元々は、シェイクスピアの時代にあった世界劇場という理念からきているのですが、今ではこの名言だけが切り取られ、人生は私たちの演じ方次第で変わるものというニュアンスでも使われます。
今演じている役が嫌なら、別の役でまた人生に登場してもいいのでは?という前向きな意味にも読めますね。
時の流れの速さは人によって違う
Something as time runs by respective speed by the respective man.
「時というものは、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだよ」という意味で、これも「お気に召すまま」の一節です。このセリフについてはシェイクスピアが具体例を紹介しています。最も時間が長いのは、結婚の約束と式を挙げる日との間の時間で、断頭台に連れていかれる泥棒には駆け足で時間が過ぎるとのこと。
本来、私たちは平等に時間が与えられているものですが、私たちがその時間をどう過ごすかは、置かれている環境や経験、年齢によって異なってくるのです。この今という時間をどういう心持ちで過ごすかによって、今後の自分の時の流れの速さも変わってくるのかと思うと、気が引き締まります。
名前には意味がない
O Romeo, Romeo! Wherefore art thou Romeo?
「ああ、ロミオ、ロミオ!どうしてあなたはロミオなの?」という「ロミオとジュリエット」に出てくるこのセリフは、シェイクスピアをよく知らない人でも耳にする名言ですね。シェイクスピアは、名前は所詮記号であり、そこに価値を見出すべきではないといった趣旨のことを、他の物語でも書いています。
このセリフの後で、ジュリエットは続けます。
What’s in a name? That which we can call rose by any other word would smell as sweet,
「名前が何でしょう? 私たちがバラと呼んでいるあの花は、他の名前で呼ばれても、甘い香りは変わらない」という意味です。つまりジュリエットは、ロミオが「ロミオ」という名前でなくてもあなたを愛しますということですね。外見ではなく中身が大切という恋愛の本質を突いた名言です。
行動することが大事
Nothing will come of nothing.
四大悲劇の一つ「リア王(King Lear)」で有名なセリフです。「無からは何も生まれない」という意味です。物語の中でリア王は、国を分割して3人の娘に譲ろうとします。長女と次女は言葉巧みに父への愛を述べますが、末娘コーデリアだけは姉たちのようなうわべだけの愛は偽善だと思い、何も言いません。そこでリア王はこのように怒ったのです。
コーデリアが父リア王に対して真実の愛情を抱いていたとしても、言わなければ何も通じません。何か思っているなら、それを伝える努力をすべきなのです。コーデリアはそれを怠ったがために、のちに悲劇的な運命に見舞われることになります。
弱点は強みに変わる
Our means secure us, and our mere defects Prove our commodities.
これも「リア王」の一節です。「頼りになるものがあれば私たちは油断するが、単なる弱点でも役に立つこともあるのだ」という意味です。このセリフは両目がえぐられて盲目になってしまったグロスターのものです。視力を失って初めて、今まで見えていなかったものに気づくのです。
自分が欠点だと思っていることでも、人によってはそこが長所と感じることもあります。見方によってそれが自分の強みに変わるというのは、私たちを勇気づけてくれる発想です。