シェイクスピアの名言20選!発言に込められた意図や背景も解説

最悪な時は最悪ではない

1608年の「リア王」の表紙

The worst is not So long as we can say, “This is the worst.”

「『どん底だ』と言えているうちは、まだどん底ではない」という意味で、「リア王」に出てきます。まさに人生の「どん底」に近いエドガーが、盲目になった父に対して言います。原文では、もっと落ちるかもしれないから、今はどん底ではないといった話の流れなのですが、どこか励ましのようにも感じます。

「最悪だよ」と言える余裕があるならまだ大丈夫なのです。私たちもピンチの時にこそ思い出したい名言ですね。

大事なのは今

「テンペスト」第1幕第1場

There, sir, stop: Let us not burthen our remembrance with A heaviness that’s gone.

シェイクスピア単独執筆の最後の作品と言われる「テンペスト(The Tempest)」に出てくる名言です。「お互いの思い出に、過ぎ去った悲しみの重荷を負わせるのはよしましょう」という意味です。過去の遺恨から争っていたアロンゾーとプロスペローが和解する場面で出てきます。

過去のことに囚われすぎて、関係がこじれてしまうことがありますよね。しかし、それでは未来は生まれません。過去ではなく今を生きるために、こんな言葉をさらりと言える人間になりたいものです。

失敗してももう一回チャレンジしよう

このセリフを言ったアントニオとゴンザロ

Do not, for one repulse, forego the purpose that you resolved to effect.

「成し遂げんとした志を、ただ一回の敗北によって捨ててはいけない」という意味の一節は「テンペスト」に出てきます。諦めてはいけない、というシェイクスピアの力強い声が聞こえてきそうなセリフです。

「テンペスト」はシェイクスピアが最後の作品にしようと思って執筆したのか、これでもか!というほどたくさんのメッセージを詰め込んでいます。人生訓はもちろん、うっとりしてしまうような愛の言葉も多いです。

不幸を思うのは不幸を呼ぶだけ

愛し合うオセロとデズデモーナ

To mourn a mischief that is past and gone is the next way to draw new mischief on.

四大悲劇の一つ「オセロー(Othello)」に出てくるセリフです。「過ぎた不幸を嘆くのは、新しい不幸を招く近道だ」という意味で、公爵がデズデモーナの父であるブラバンショーにいう言葉です。ブラバンショーはオセローと娘の交際に反対していました。しかし公爵は「避けがたい不幸も、これを忍べば、やがて笑うことができる」と前向きになれる言葉をかけるのです。

不幸なことが起きれば、気持ちを引きずってしまうのは、ある意味仕方のないことです。しかし周りの人がこうした言葉をかけてあげることで、気持ちの整理をすることもできるはずです。

明けない夜はない

「マクベス」劇のポスター(1884年)

The night is long that never finds the day.

「どんなに長い夜も必ず明ける」という一節は四大悲劇の一つ「マクベス(Macbeth)」に出てきます。マクベスに父を殺されたマルカムが、マクベスに復讐をしようと決意を語っている場面です。マクベスを殺さないと夜は明けないけれども、その日は必ずくると言っています。

コロナ禍でよく聞くフレーズですが、原典がシェイクスピアだと知っている人は少ないかもしれません。この言葉だけが人生訓として一人歩きし、今では苦難の中で明るい未来を信じるフレーズとして使われています。

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