福沢諭吉の名言20選!発言に込められた意図や背景も解説

退かなければ進む

おおよそ世間の事物、進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。進まず退かずして潴滞(ちょたい)する者はあるべからざるの理なり。

これも「学問のすゝめ」にある文章です。「進歩しなければ必ず退歩するものだが、退いていなければ必ず進歩しているものである。進歩も退歩もしないというような停滞をすることはない」と述べています。

こんなに勉強を頑張っているのに、学力が向上しているように思えないこともありますよね?しかし、一生懸命勉強しているなら、学力が下がることはないのです。学生を勇気づけてくれるアドバイスですね。

人との交わりを恐れてはいけない

人生活発の気力は、物に接せざれば生じ難し。

人間の交際について述べた「学問のすゝめ」の一節です。「人間が生き生きと過ごすための気力は、物事に接していないと生まれにくいものだ」という意味です。

人間は本来関わることを好むものですが、人との交際を避けようとする人もいます。そういう人は、世間と隔絶することがかっこいいと思っているように見えますが、それは単に心が弱くて人と接する勇気がないからだと福沢諭吉は書いています。

人を受け入れることを拒めば、相手もまた受け入れなくなり、互いに歪み合うだけでそれはただの禍でしかないという福沢諭吉の主張は、人間関係だけではなく外交関係でも言える話ですね。

学問は取捨選択する力を養うもの

信疑の際につき必ず取捨の明めいなかるべからず。けだし学問の要はこの明智を明らかにするにあるものならん。

「学問のすゝめ」の一節です。西洋の文明は、因習に囚われることなく、疑ってかかるところから発展したわけで、疑問に思うことで真理に辿り着くことができます。しかし何でも疑えば良いということでもありません。

「信じるべきものと疑うべきものを判断する力が必要で、そのために学問をしているのだ」と福沢諭吉は述べているのです。

生活することだけに満足してはならない

蟻の門人となるなかれ。一身の衣食住を得てこれに満足すべきものとせば、人間の渡世はただ生まれて死するのみ。

「蟻の門人となってはいけません。自分の着るもの、食事、住まいを得てそれだけに満足するのであれば、人間はただ生まれて死ぬのみになってしまいます」という意味で、「学問のすゝめ」に書かれています。

ただ生物として「生きる」ことだけに満足せず、世の中に貢献しようという志を持って生きなさいということですね。生活することはとても大事なことですが、それに加えて、世の中のために役立つことを成そうという志を抱いて行動をすることが、この世に生を受けた人間としての責務であるということでしょう。

自由と我儘は違う

自主・任意・自由ノ字ハ、我儘放盪ニテ、国法ヲモ恐レズトノ義ニ非ラズ、総テ其国ニ居リ、人ト交テ、気兼ネ遠慮ナク、自分丈ケ存分ノコトヲナスベシトノ趣意ナリ、英語ニ之ヲ「フリードム」又は「リベルチ」ト云フ、未ダ的当ノ訳字アラズ

「西洋事情」という、福沢諭吉が幕末以降に西洋の事物を紹介した書物に書かれた一節です。「『自由』の言葉の意味は、法律を気にせず勝手気ままに行動することではない、誰かに遠慮することなく自分の意見を言ったり行ったりするという意味だ」と書かれています。

この本が出版されてから、すでに150年近く経っていますが、いまだに「自由」の意味を履き違える人も多いように感じます。福沢諭吉が「自由」という訳語をあてた初心を、もう一度振り返ってみるのも良いでしょう。

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5 COMMENTS

かなり昔に

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」が名言というわけではないと思います。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといへりといへり」とあるように
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言われている、と書いただけであって
福沢先生の真意ではないのではないでしょうか。

「人はみな平等」とは言っていないかと。
身分の差があることは認めており、その差を是正するために学問の重要性を説いたのではなかったかと思います。
(記憶違いだったら失礼しました)
京堂

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