エリーザベト(オーストリア皇后)とはどんな人?生涯や関連作品を紹介

自由奔放な性格だったエリーザベト

父のマクシミリオンの自由奔放さが影響したといわれる

エリーザベトの性格を端的に言うと、「自由奔放な自分勝手の我儘な女性」です。彼女は堅苦しい宮廷の生活が苦手で、うつ病となり療養生活を送ったり、夫と同行して外国を訪問する、病院を慰問するなど外に出てばかりで宮廷に寄り付かない人だったといいます。

こういった性格や行動は姑のゾフィー大公妃は当然快く思っておらず、600年以上に渡るハプスブルク家のしきたりを厳格に教育しますが、結局エリーザベトは生涯宮廷生活に馴染むことはありませんでした。

ゾフィー大公妃は厳しくエリーザベトを后妃として躾ようとした

ただし自由奔放な発想のために「君主制」に否定的な、進歩的な女性といわれることもあります。しかし君主制を否定していながらも、皇后としての責務は放棄しながらも特権だけ享受し続けて、皇后としての莫大な資産を使って旅行や買い物で浪費を続けています。

エリーザベトの贅沢は凄まじく、宝石・ドレス・名馬の購入や、美容費や城の建設など税金で贅沢の限りを尽くしていたといいます。そのため当時のベルギー大使夫人は「この女性は本当に狂っています。こんな皇后がいるのにオーストリアが共和制にならないのは、この国の国民がまだ寛大だからです」と評しています。

息子の衝撃的な情死

皇太子は祖母のもとで厳しい教育を受けたがいつしか自由主義的考えとなっていったという

エリーザベトの息子ルドルフ皇太子は、1889年に男爵令嬢マリー・フォン・ヴェッツェラと謎の死を遂げています。もともと皇太子は自由思想が強く、父帝に反抗して政治上の意見の不一致で険悪になっていました。そんな中での不審死だったのです。

銃声が聞こえてきたために執事が駆けつけてみると、ルドルフとマリーが血まみれで倒れていたといいます。傍らには拳銃が落ちていて、公式には「心臓発作」と公表されましたが、じきに「情死」としてヨーロッパ中に知れ渡ることとなりました。

マリー・フォン・ヴェッツェラ

皇太子の養育は姑のゾフィーが行っていたために、ほとんど接する機会が少なかったというエリーザベトは、皇太子の死によって「もっとあの子に何かしてあげれば良かった」と悔やんでいたといいます。

エリーザベトの死因

当初、王妃は刺されたことに気づいていなかったらしい

エリーザベトは1898年に、スイスのジュネーヴでイタリアの無政府主義者ルイジ・ルケーニによって暗殺されました。当時スイスは無政府主義者の活動が活発で、旅行前から懸念されていましたが、エリーザベトは無視して旅行に来ていたのです。

レマン湖に渡る船着き場へ行こうとするエリーザベトにぶつかり、鋭く研ぎ澄まされた短剣のようなやすりを心臓を刺され、まもなく崩御しました。犯人は「王族だったら誰でも良かった」と供述したそうです。享年60歳でした。

エリーザベトに関連する主なだった人物

ミュージカル「エリザベート」のポスター

ミュージカル「エリザベート」にも登場する、エリーザベトの周りの人物を簡単に紹介します。エリーザベトだけでなく、周りの個性あふれる人物たちがミュージカル向けで好まれたのかもしれません。

フランツ・ヨーゼフ1世

フランツ・ヨーゼフ1世

エリーザベトの夫でオーストリア・ハンガリー帝国の実質的な最後の皇帝です。元々はエリーザベトの姉とお見合いの予定でしたが、一緒にいたエリーザベトに一目ぼれをし母の反対を押し切って結婚しています。

フランツ・ヨーゼフ1世は、終生エリーザベトを愛し続け、妻の我儘にもお金を出し続けたそうです。そして執務室の机の前には彼女の肖像画が飾っていたといいます。ほとんどウィーンにいない妻でしたが、それでも愛していたのだとロマンス的に現在も語られています。

ゾフィー大公妃

ゾフィー大公妃

フランツ・ヨーゼフ1世の母でエリーザベトの姑です。ミュージカルで口うるさい姑のイメージがありますが、当時の価値観からいうとゾフィー大公妃の方が常識的でした。宮廷のしきたりが第一の考えで、エリーザベトに厳しい教育を施し事あるごとに対立したといいます。

しかしゾフィーの最期を看取ったのは、長年の確執があったエリーザベトであり、二人は最後にして和解したといわれています。

ルドルフ皇太子

ルドルフ皇太子

エリーザベトの息子でオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子でした。しかし母に似て自由主義的な思想を持ち、ウィーンの下町に遊びに行ったりと素行に問題がありました。

そんな中ルドルフ皇太子は親しくなった男爵令嬢と共に、自殺をしてしまいました。この出来事はエリーザベトに大きなショックを与え、彼女は皇太子の死後からずっと終生喪服を着続けていたといいます。

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