キャサリン・エドウッズ
前述のエリザベス・ストライドと同じ日、エリザベスの殺害から約1時間ほどの間に殺害されたとみられる被害者です。
彼女の遺体からは左の腎臓と子宮が持ち去られており、犯人のプロファイルとして医学関係者や精肉業者などが持ち上がることになりましたが、これもジャック・ザ・リッパーの逮捕につながることはありませんでした。
メアリー・ジェーン・ケリー
ジャック・ザ・リッパーの犯行が確実視される事件の内、最後の被害者とされる人物です。類を見ないほど残虐な方法で殺害され、遺体はほとんど原形をとどめていなかったと言われています。
しかし一方で、以前までの4人の被害者と比べて年齢が若いことなどから、ジャック・ザ・リッパーの犯行に似せた模倣犯の可能性がささやかれるなど、彼女の殺害にはとりわけ大きな謎が残されています。
ホワイトチャペル殺人事件の被害者
ジャック・ザ・リッパー事件と同時期にロンドンで起こっていた殺人事件が、ホワイトチャペル殺人事件です。この事件についても、ジャック・ザ・リッパーによる事件であると語られることがあります。
この事件も含めると、ジャック・ザ・リッパーによる被害者は18人に及ぶことになりますが、どれもジャック・ザ・リッパーによる犯行を立証する証拠がないため、この事件もまた迷宮入りとなってしまっています。
ジャック・ザ・リッパーの犯人候補
モンタギュー・ジョン・ドルイト
ロンドンで教師と弁護士をしていた男性です。事件が起こっていた当時から、犯行現場近くで彼に似た人物が度々目撃されていたらしく、有力な容疑者候補となっていました。
しかし最後の事件が終わってすぐに、テムズ川に飛び込んで自殺してしまったため詳細は不明であり、彼を犯人だとする証拠も信憑性に欠けるものが多いため、結果的に断定するには至っていません。
トマス・ニール・クリーム
アメリカ人の医師であり、”ランベスの毒殺魔”と呼ばれた連続殺人鬼です。売春婦を狙う手口の類似性や、死刑執行の直前に「I am Jack the…」と言い残したとされることから、ジャック・ザ・リッパーの犯人候補とされています。
しかし1888年の事件当時、彼はイリノイ州の刑務所に収監されていたことから犯行は不可能であり、その点で言えば間違いなくジャック・ザ・リッパーにはなりえない人物だと言えるでしょう。
ジェイムズ・メイブリック
事件が起きる三週間前に、主要な犯行現場の近くに家を借りたことで捜査線上に浮上した人物です。後に妻によって殺害され、その事件も”メイブリック事件”として有名な殺人事件となっています。
1991年にジャック・ザ・リッパーのものとされる日記が発見され、その執筆者として話題になりましたが、最終的には日記が偽造だったことがわかり、かれもまた犯人候補からは遠ざかっています。
ジェイコブ・リーヴィー
精肉業を営んでいたユダヤ人の男性です。4件目の殺人現場に残されていた落書きの内容や、精肉業という職種、地理的な条件などから、ジャック・ザ・リッパーの正体の有力候補とされています。
しかしメアリー・ジェーン・ケリーの殺害に関しては模倣犯の可能性が指摘されており、彼が犯人だとされることで、また新たな謎が浮かび上がる状況にもなっています。
ウォルター・シッカート
画家として生計を立てていたドイツ人男性です。2009年にミトコンドリアDNAを用いた調査が行われ、その結果として犯人候補に名前が浮上しました。
しかし、ミトコンドリアDNAでは犯人を確定的に識別することができず、しかも鑑定に使われたショールの正確性などには疑問が残る結果であるため、現在では”眉唾説”とされている風説だと言えるでしょう。