テッドバンディは逮捕後、自ら弁護を行った
テッドバンディは犯行をスタートさせると、月に1〜数人を殺害してまわりました。しかし暴行を受けても助かった女性がいたこと、目撃情報がいくつも報告されたことから、警察は犯人の特徴をある程度把握していました。
とある小さなきっかけで違和感に気づいたトンプソン刑事は、テッドバンディを殺人の疑いで裁判にかけました。テッドバンディは脱獄と殺人を繰り返しましたが、最終的に逮捕。
しかし優秀なテッドバンディは弁護士を雇わず、自らを弁護して見せたのです。彼は自信たっぷりに無実を訴え、自身を殺人犯だと主張する警察やマスコミを批判しました。そして彼をひと目見ようと、多くの女性が傍聴席に詰めかけました。
三度の死刑判決、そして死刑執行
テッドバンディははじめ、女性の誘拐未遂事件で裁判にかけられました。陪審員の判決は懲役1年以上15年以下。しかし警察は、さまざまな殺人事件の裁判も準備していました。するとテッドバンディは移送先の刑務所から脱獄し、またも殺人・暴行の犯罪を犯します。
逮捕と脱獄、殺人を繰り返したテッドバンディは、ついに裁判で死刑を言い渡されます。控訴するも判決は変わらず、「極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣」として、合計3度もの死刑判決が下されたのです。
テッドバンディは死刑執行が近づくと、自らの犯行を自供し始めました。その中には遺体の発見すらされていない事件もありました。自供を引っ張ることで死刑執行の延期を目論みましたが、最終的に彼の希望は叶わず、1989年1月24日に電気椅子による死刑は執行されたのです。
映画「テッドバンディ」での描かれ方
2019年に公開された映画「テッドバンディ」は、彼が長年交際していたリズの手記をもとに、ジョー・バリンジャー監督がメガホンをとり作成された犯罪映画です。
テッドバンディを演じたのはイケメン俳優、ザック・エフロン。映画の冒頭は1969年、シアトルにあるバーから始まります。テッドバンディは、リリー・コリンズ演じるシングルマザー、リズと出会い恋に落ちます。リズの娘モリーと3人で幸せな家庭生活を営み、ハンサムで優しいテッドバンディはよい男性そのものです。
しかし警察に職務質問をされたテッドバンディが、ある事件の疑いをかけられ逮捕されたことから幸福な生活は終わりを迎えます。彼の犯罪への関与に気付きながらも愛し続けたリズ。映画ではモリーの相手をしながら朝ごはんを作る姿も描かれており、視聴者側も「彼が本当に残忍なシリアルキラーなの?」と疑いたくなるほどです。
テッドバンディの犯行
テッドバンディの犯行の始まりは、厳密に言えば特定されていません。判明している始めの事件は、1974年1月に起こったカレン・スパークスの事件です。
彼は1974年から4年間かけて、わかっているだけでも30名以上の女性を殺害、他にも多くの女性を暴行しました。
テッドバンディの犯行の詳細を、3つの時期にわけて解説します。
一部に残忍な表現が含まれていますので、ご了承の上読み進めるか、犯行の章を飛ばしてください。
1974年〜1975年、最初の逮捕まで
1974年1月4日、テッドバンディ初の被害者とされるカレン・スパークスは、当時17歳。ワシントン大学の学生だった彼女は、深夜アパートの自室で眠っていました。
テッドバンディは0時過ぎに部屋へ侵入し、カレンが寝ていたベッドフレームを破壊。取り出した鉄の棒を彼女に振り下ろし、カレンの意識がなくなるまで何度も殴りつけたのです。その後、鉄の棒で性的暴行を加えました。
カレンは一命を取り留めたものの、内臓を損傷し、障害を負うことになりました。
テッドバンディは1975年8月に最初の逮捕をされるまでに、わかっているだけでも15人の女性を誘拐して殺害しています。殺害方法は、多くが強姦後に絞殺または刺殺、撲殺でした。
脱獄後の犯行
テッドバンディは、逮捕後の1977年に2度の脱獄に成功しています。1度目は脱獄して2日後に捕まったものの、2度目の脱走時には6人もの女性を死傷させました。
そして驚くことに、6人のうちの4人は同じ大学の学生で、学生寮に侵入したテッドバンディは一晩で4人を襲ったのです。ストッキングでの絞殺、性的暴行のほか、刃物で切りつけるや顎を砕くなどして立ち去りました。
そして移動の道中にも1人に重傷を負わせ、最後の被害者キンバリー・ダイアン・リーチを殺害したのです。彼女は行方不明になってから1ヶ月後に、豚舎で一部ミイラ化した無残な姿で見つかりました。
逮捕、被害者の特徴は黒い長髪の女性
1978年2月、テッドバンディは職務質問をされた際、盗難車に乗っていたことから逮捕されました。逮捕した警官は、彼が指名手配中の連続殺人犯とは知らぬまま移送しましたが、去り際に「いっそのこと殺してくれればよかった」という言葉を耳にしています。
そしてテッドバンディの被害者には、皆同じ特徴がありました。それは「黒い長髪で、前髪をセンター分けした女性」という点でした。この特徴は、以前失恋したステファニー・ブルックスに酷似しており、彼の性的嗜好やステファニーへの憎悪があったことなどが指摘されています。
テッドバンディの事件には、正式な被害者数や、本当の犯行理由などについては解明されていない部分も多くあり、今なお人々の関心を集めています。