テッドバンディに殺されなかった女性、リズ
テッドバンディの逮捕後、残忍な犯行だけではなく、付き合いの長い恋人がいたことも世間を驚かせました。恋人の名はエリザベス・クリプファー(通称:リズ)。彼女はシングルマザーで娘がおり、テッドバンディの犯行期間にも交際が続いていました。
リズはテッドバンディに殺されなかった女性として、注目を浴びたのです。
犯行の最中も長い付き合いがあった
テッドバンディとリズとの出会いは、ワシントン大学時代にまで遡ります。当時リズはワシントン大学の職員として勤務しており、出会った2人は交際に発展しました。
彼女はイケメンで優しいテッドバンディを愛していましたが、時折見せる不穏な雰囲気には気がついていたようです。事実、連続殺人犯として警察が容疑者の似顔絵を発表した際には、リズは通報しています。そして、テッドバンディが外出していた先で事件の報道が出ると疑惑は増し、計3回も通報を入れているのです。
しかし驚くことに、彼女はテッドバンディとの交際を続け、裁判の判決が出るまでの間も同棲していました。
リズの手記と現在
リズは、1981年に「幻の王子様:テッドバンディとの生活」という手記を出版しています。映画「テッドバンディ」も、この手記を元に作成されました。
手記の中には、テッドバンディとの出会いから別れに加えて、彼との思い出の数々が記されています。また、テッドバンディへの疑惑、それでも「やはり愛している」という葛藤もリアルに感じ取れる内容になっています。
リズがテッドバンディの犯行を知っていたのか?という点は度々議論が出ていますが、手記を見るに「イエスともノーとも言えない」といった感想です。しかし、彼の不自然な所有物や言動によって、リズ自身も疑念を抱いていたのは事実なのです。
彼女は手記の発表後、ほとんど表舞台には姿を現しておらず、現在は娘と静かに暮らしているようです。ただし、映画の撮影時には挨拶に訪れています。
テッドバンディの恐ろしい名言
私はあらゆる事に罪の意識を抱かない
「家庭での共感を得て育たなかった子どもは、人に対する罪の意識を感じられなくなる」という専門家の見解があります。テッドバンディは、幼い頃に自身の出生の秘密を隠していた母に対して憎しみの感情を抱き、罪の意識に鈍感になってしまったのでしょうか。
僕は人間の生と死を支配したかった。地球上から人間一人減ったからといってどうだというんだい?
テッドバンディの狂気を感じられる名言です。人間・女性への支配欲が産んだ悲劇だったのでしょうか。
ジムとフレッド、私の家族や友達に私の愛を与えてほしい。
テッドバンディが死刑執行直前に発した言葉です。電気椅子に縛り付けられたテッドバンディは、「最後の言葉はあるか」と尋ねられ、上記の通り答えました。ジムとフレッドとは、最後についた弁護士と牧師の名です。
テッドバンディの年表
1946年 – 0歳「母の私生児として誕生、祖父母の養子として育つ」
テッドバンディは1946年11月24日、アメリカ合衆国バーモント州バーリントンにて母の私生児として誕生します。出生時の名はセオドア・ロバート・カウエルと言いました。
母は若き未婚の母
母のルイーズは21歳の時に、未婚でテッドバンディを出産しました。父は現在でもわかっておらず、世間体を気にした家族は、祖父母の養子として育てることにします。
本来、父親のわからぬ子を生むことは許されませんでしたが、宗教的な観点から堕胎することができなかったのです。テッドバンディは祖父母を父母として、母を年の離れた姉として教えられ、育つことになりました。その間に母ルイーズは再婚し、「バンディ姓」になっています。
父同然の祖父は虐待気質
テッドバンディは特に祖父に可愛がられて育ちました。彼もそんな祖父を愛していたようです。しかし、祖父は「虐待気質」の持ち主でした。
気性が荒く、祖母や動物に対して暴力を振るうような人物であり、研究者の多くが「テッドバンディの凶暴性は祖父譲り」という意見を述べているほどです。
1956年 – 10歳「自身の出生の秘密を知り、コンプレックスに」
自身の出生の事実を知らずに育ったテッドバンディですが、思いもよらない出来事で、真実を知ることになります。
従兄弟が真実を暴露
テッドバンディが11歳のとき、突然従兄弟に「お前は父無し子だ」と告げられます。彼ははじめ信じられずにいましたが、従兄弟はテッドバンディの出生証明書を持ち出して見せました。
テッドバンディはこの事実にショックを受け、出生の事実を隠していた母や、顔も知らない父への激しい憎悪の感情に苛まれました。そしてこの出来事が、彼の人生において最大のコンプレックスとして影を落とすのです。
学校ではおとなしい反面、突然キレだす問題児
小学校時代のテッドバンディは、普段はおとなしくあまり目立たない生徒でした。しかし、ふとした瞬間にキレだすと歯止めが効かなくなり、通知表にも度々書かれるほどでした。
さらに家族ぐるみで親交のあった女性は、「彼が罠を仕掛け、大怪我をした子どももいる」という発言もしています。女性に対して、はじめて怪我を負わせた出来事なのかもしれません。