1863年 – 24歳「晋作、奇兵隊を結成する」
下関戦争で、欧米の報復を受ける
長州藩は、攘夷をかかげ、関門海峡を通る欧米の軍艦に攻撃をしかけますが、結局報復にあい圧倒的な武力を見せつけられることになります。長州藩は、関門海峡の防衛を強化する対策を考えます。
この防衛を任せる責任者として、出家していた晋作に白羽の矢がたったのです。晋作は出家して2ケ月で、俗世に戻ることになり、藩の危機を救うべく立ち上がります。
奇兵隊を結成する
晋作は、吉田松陰の教えである、「身分の隔たりをなくし全ての人が世の中のために立ち上がる」という思想のもとに、武士や町民など身分にこだわらす、有志を募集し「奇兵隊」を結成します。
厳格な身分制がまだまだ根付いていた当時にしては革新的なことでした。晋作は、この奇兵隊の初代総督に就任したのですが、藩の正規軍との度重なる衝突を起こし、晋作は結成3ケ月で総督を解任されてしまいます。
1864年 – 25歳「日本からも欧米からも攻められる長州藩、そのとき晋作は…」
晋作、脱藩し投獄される
長州では、武力派と慎重派の2つの勢力が対立しており、慎重派だった晋作は、京都にいる武力派を説得するべく、藩に無許可で京都へ。これが脱藩の罪に問われ、投獄されてしまいます。
しかし、この頃の長州藩は、禁門の変で朝敵となり、第一次長州征伐として幕府は長州に軍を送ります。また下関では、イギリス・アメリカ・オランダ・フランスの四国連合艦隊による攻撃が仕掛けられていました。
このとき松下村塾の四天王として、たった一人生き残っていたのは高杉晋作。長州藩はこの藩滅亡の危機を救うため、晋作を呼び戻したのです。
このころの長州藩は、欧米からの報復のダメージがあり、幕府に従おうという保守派が、家老3人に責任を追わせ幕府に謝りをいれることで、実際は幕府との争いにはなりませんでした。
1864年 – 25歳「晋作、連合国と交渉する」
連合国との講和談判をまとめあげる
連合国艦隊との戦いに敗戦の色が濃くなり、長州藩は戦いをやめるよう講和することを決め、そのすべてを晋作に任せます。このとき通訳として同席したのは、伊藤博文でした。
晋作は、交渉の場で延々と古事記を読みあげるという突拍子もない態度をとって、欧米人を驚かせたといいます。そして、何度か話し合い、講和談判をまとめあげるのです。連合艦隊の要求である長州藩の領土を渡すことをかたく拒否しながら、攘夷はきっぱりやめると約束したのです。
晋作は、この交渉をまとめあげたことで、藩をのちに攘夷から討幕へと固めさせたキーマンといえる人物なのです。
1866年 – 26歳「第二次長州征伐、その時晋作は…」
晋作、クーデターを起こす
連合国との争いがなんとかおさまると、長州藩の中では、幕府に従おうとする恭順派が実権を握っていました。倒幕への強い信念を持っていた晋作は、藩に対してクーデターを起こします。
藩兵2,000人に対して、同じく藩に不満をもつ有志をつのり、晋作のもとに集まった兵は80人ほど。それでも晋作は、功山寺で挙兵し、なんとこの戦いに勝利しクーデター成功となり、長州藩を倒幕に統一させたのです。
幕府軍を撃破する
第二次長州征伐のころには、薩長同盟のおかげもあり、長州藩の武力もじゅうぶんに備わっていました。晋作は長州藩の海軍司令官として、次々に幕府軍を撃破し勝利します。
これで一気に幕府の権威はおち、のちに大政奉還へとつながるきっかけになりました。
1867年 – 27歳「晋作、大政奉還を見ずにこの世を去る」
晋作、肺結核で死去
長州藩を倒幕へと統一し、前線で幕府軍と戦い勝利した晋作ですが、このころには晋作の体は肺結核におかされていました。
1867年5月17日、療養先の下関で両親・妻・息子に見守られながら、27年という短い生涯を閉じました。大政奉還の7ヶ月前でした。
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高杉晋作についてのまとめ
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幕末と言えば、坂本龍馬や西郷隆盛などが脚光をあびることが多いですが、高杉晋作の強い志と行動力で幕府を撃墜したからこそ、維新へと進むことが出来たのではないでしょうか。
新時代の幕開けを目前にして亡くなってしまった高杉晋作。もっと取り上げて欲しいですよね。この記事を読んで、高杉晋作ファンが増えれば嬉しいです。
松下村塾は私塾であって寺子屋ではない
わーい