「無期懲役は地獄って聞いたけど実際どうなの?」
「無期懲役囚はどんな生活をしてるんだろう?」
凶悪犯に言い渡される無期懲役。ドラマやニュースでも、耳にした事がある人も多くいますよね。
また、無期懲役下の生活は「地獄」と表現されるケースもあります。しかし、実際に無期懲役下の生活の実態を知らない人も多いはず。
そこで、今回は無期懲役が地獄と呼ばれる理由を服役中の有名な無期懲役犯も交えて紹介します。この記事を読めば、無期懲役の恐ろしさだけでなく、判決を受けた囚人生活の実態を理解できますよ。
この記事を書いた人
Webライター
Webライター、吉本大輝(よしもとだいき)。幕末の日本を描いた名作「風雲児たち」に夢中になり、日本史全般へ興味を持つ。日本史の研究歴は16年で、これまで80本以上の歴史にまつわる記事を執筆。現在は本業や育児の傍ら、週2冊のペースで歴史の本を読みつつ、歴史メディアのライターや歴史系YouTubeの構成者として活動中。
日本における無期懲役とは?
無期懲役は、名前の通り「期限がない刑罰」を指す言葉です。日本の刑法では、死刑の次に重い刑とされています。日本の有期刑は最長30年であり、無期懲役はそれよりも重い罪である事から、最低でも30年は刑に服さないと仮釈放の対象にはなりません。
法定刑に無期懲役がある主な刑として、殺人罪、強制わいせつ致死傷罪、強盗致死罪などが挙げられます。なお2020年年末時点で、無期懲役刑で刑務所に服役しているのは1744人。2010年から2020年の間に無期懲役が確定したのは、259名となっています。
無期懲役と終身刑の違い
終身刑は「死ぬまで服役する刑」の事です。無期懲役は「30年経てば仮釈放される可能性がある」ので、終身刑よりは法定刑上は軽い罪とされます。日本には終身刑が定められていないので、終身刑に該当する人達が、無期懲役刑に服す事になるのです。
また終身刑は死刑より軽い罪と思われがちですが、「その時が来れば一瞬で終わる死刑」と違い、死ぬまで刑期が続きます。その為、終身刑は死刑よりも重い罪と考える人もいるのです。
日本でも終身刑の導入がたびたび議論されています。ただ、「死刑と同様に人道上問題が大きい」、「(制度上は)社会復帰の可能性を残すべき」と主張する人も多く、終身刑の導入には至っていないのです。
無期懲役は僅かでも出所の可能性がありますが、終身刑はその希望さえ立ち消えます。その為、自暴自棄になり、真面目に反省しない囚人も増えるでしょう。終身刑の導入は、議論を今後も深めていく必要があります。
無期懲役と死刑を分ける判決基準
日本において、死刑の次に重い刑が無期懲役です。両者の分かれ目は「殺害した人数」、「更生の可能性の有無」、「被告人の状況」などが挙げられます。
殺害人数が1人だと無期懲役以下、3人なら死刑、2人がボーダーラインと言われます(永山基準)。ボーダーラインを分けるのが、加害者の更生の可能性です。加害者が更生し、社会復帰後に犯罪に手を染めないと判断されれば無期懲役の可能性があるのです。
また加害者の境遇、犯罪の動機なども加味されます。長年にわたり虐待を受けていたなど、加害者が犯罪を起こすだけの理由があれば、それが加味される可能性もあります。色んな判決を見れば、無期懲役と死刑の判決基準が見えてくるかもしれません。
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無期懲役が地獄と言われる7つの理由
地獄とも表現される無期懲役ですが、その理由については詳しく知らない人も多いかもしれません。その理由を大きく分けると以下の通りです。
- 最低でも30年は出られない
- 事実上の終身刑
- 懲罰を受けると刑期が伸びる
- 獄中では娯楽が制限されている
- 月収はわずか数百円
- プライバシーがない
- 仮に出所できても社会に馴染めない
なお、ここで解説する獄中生活の様子は有期刑の囚人にも該当します。無期懲役が地獄なのではなく、刑務所自体が地獄である事を忘れてはいけません。