三十年戦争とは?原因や経緯、戦地、勝敗など分かりやすく解説

グスタフ2世アドルフ

グスタフ2世アドルフ
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スウェーデン王で、反ハプスブルクの立場を取りプロテスタントを支援。そのために1624年にフランスが主導していた反ハプスブルク同盟に加盟。次いで1628年にデンマーク王クリスチャン4世と同盟し、1631年にはフランスと軍事同盟を結ぶことにより30年戦争に参戦しました。

三十年戦争ではバイエルンに侵攻するものの、ヴァレンシュタイン率いる皇帝軍に阻まれ敗退。政治的に大きな打撃を受けてしまいます。グスタフ2世アドルフは、再度ヴァレンシュタインに攻撃をしかけ、リュッツェンの戦いに挑み銃弾を受け戦死しました。

グスタフ二世アドルフの死を描いた画
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結局グスタフ2世アドルフの死により、スウェーデン軍は三十年戦争の主導権を奪われてしまいますが、宰相の指導で優れた将軍を輩出し30年戦争を乗り切っています。グスタフ2世アドルフの死の影響で、三十年戦争はいっそう拗れることとなりました。

アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタイン

三十年戦争期のボヘミアの傭兵隊長です。元々はボヘミアの下級貴族出身ですが。傭兵としてハプスブルク家に仕え、妻の遺産を元手に傭兵部隊を築きました。そして三十年戦争では連戦連勝し、反乱鎮圧を元でプロテスタントから没収した土地を買いあさり、ボヘミアの大貴族までのし上がりました。

そして1625年には私設軍隊を宮廷軍に加えてもらい、宮廷軍総司令官にまでのし上がっています。ヴァレンシュタインは多くの戦果をあげ、一時期はドイツからデンマークを撤退させています。しかし元々下級貴族のヴァレンシュタインの出世を快く思わない貴族たちの反対で地位を罷免され、一時期軍を解散し領地に戻ってしまいました。

暗殺されるヴァレンシュタイン
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しかしハプスブルク家率いる皇帝軍の旗色が悪くなると、再度ヴァレンシュタインに復帰をフェルディナント2世が依頼し復職しています。しかし自ら作った軍ではなく皇帝軍を指揮していたヴァレンシュタインは戦功に精彩を欠き、1632年のリュッツェンの戦いで敗退。結局1634年に自らの居城で暗殺されてしまいました。

暗殺の理由ははっきりわかっていませんが、一説によるとグスタフ2世アドルフがいなくなったために用済みとなり皇帝に危険視されたからともいわれています。彼の後任にはフェルディナント2世の嫡男が就任し、三十年戦争を続行しました。

ヴァレンシュタインとはどんな人?生涯・年表まとめ【功績や暗殺された理由も簡単に紹介】

30年戦争を題材にした作品

最後に30年戦争の内容をよく知れる動画や映画などの作品をご紹介します。文献などで調べるのは気が進まないという方や、当時の雰囲気や経緯をもっと深く知りたいという方は漫画や映画から勉強を初めてみましょう。

30年戦争に関する動画【5分で見る世界史 三十年戦争とウエストファリア条約】

この動画は三十年戦争の原因と経緯が4つのパートに分かれていて、1つの動画の長さは約5分程度とかなり短いので、手短に戦争の経緯を知りたい方におすすめの動画です。また、この動画はアニメ調になっていて、当時の時代背景なども踏まえてわかりやすく解説されているので、中世ヨーロッパの歴史に関する知識が少ない方でもとっつきやすい内容となっています。

30年戦争を題材にした映画【アラトリステ】

アラトリステはスペインの人気長編小説を映画化したもので、アメリカの有名俳優であるヴィゴ・モーテンセンが主演を務めています。この映画は30年戦争当時のスペインを舞台としていて、傭兵として生きる主人公アラトリステの半生を描いた作品です。そのため、作中の時間軸が飛び飛びになっていて、スペインの歴史がわからないとストーリーを追いきれないという部分が難点となっています。

しかし、当時のスペインの状況や戦う兵士たちの暮らし、戦場の様子などを傭兵であるアラトリステの視点から見ることができるので、30年戦争についてより深く知りたい方にはおすすめの映画です。

30年戦争を題材にした漫画【イサック】

イサックは講談社のアフタヌーンで連載されている青年漫画で、30年戦争の中でも序盤のベーメン・プファルツ戦争が舞台になっています。この物語はスペインの将軍ㇲピノラが登場してプファルツ遠征で城攻めを行っているところから始まり、日本人である主人公イサックが傭兵としてプロテスタント側に味方して戦うことになるというストーリです。そのため、史実とは異なる点もありますが、漫画なので楽しく読めるというのが魅力的なポイントですね。

また、当時の騎士や傭兵たちの使っていた武器や甲冑なども細かく描かれているので、中世ヨーロッパではどんな戦い方をしていたのか気になる方にもおすすめです。

30年戦争に関するまとめ

いかがでしたでしょうか。今回は中世ヨーロッパのドイツを中心にして起こった30年戦争についてご紹介しました。

30年戦争は日本史との関りがほとんど無いので、学校の授業等では勉強する機会が少ないですが、この出来事がきっかけでヨーロッパの宗教や政治に対する体制が大きく変化したので世界史の中でもかなり重要な出来事と言えます。そのため、戦争の流れだけでも知っておけば、より世界史に対する理解が深まるのではないでしょうか。

また、30年戦争は期間が長く、参戦した国も多いので事実関係が分かりにくくなってしまいやすいですが、当時の国土の広がりと一緒に歴史を辿っていくと各国の動きや参戦の動機がよくわかるので、おすすめです。

長々とこの記事にお付き合い頂きありがとうございます。この記事をきっかけにより多くの人が中世ヨーロッパの歴史に興味を持ってくだされば幸いです。

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