1972年 – 54歳「首相として日本を牽引する」
日中国交正常化を実現
首相就任後の9月、中国を訪れた角栄は周恩来首相と毛沢東共産党主席に会見します。日中国交正常化への話し合いを進め、9月29日に実現することとなりました。 12月には第33回総選挙が行われ、自由民主党が過半数の議席を確保したため、第2次田中角栄内閣が発足しました。
1973年には第4次中東戦争の激化により、オイルショックが起こります。角栄はエネルギー源の輸入を中東以外の地域からも行うことを決め、対策を講じました。11月には省エネルギー政策も打ち出し、新潟県柏崎市に柏崎刈羽原子力発電所を創設することに対する資金を提供します。
田中金脈問題を受け、退陣となる
1973年末には物価上昇への政策の甘さを指摘され、支持率も20%を割るようになります。
1974年の10月には週刊誌に「田中金脈問題」について掲載され、いよいよ首相のポストが怪しくなっていくのでした。
11月には記者との会見や国会での「田中金脈問題」への追求が続いたため、総辞職を発表します。そして、12月には内閣総辞職が成立し、三木武夫内閣が発足するのでした。
1976年 – 58歳「ロッキード事件により逮捕」
ロッキード社と全日本空輸の収賄事件に関与したとして逮捕される
アメリカの航空機製造メーカーであるロッキード社と全日本空輸の間で5億円の収賄容疑が浮上し、角栄が関わっていることが明らかにされ、逮捕されました。首相経験者が逮捕されるのは芦田均の1948年昭和電工事件以来約30年ぶりのことでした。
その後、1976年12月の総選挙ではトップ当選を果たしますが、自民党自体は選挙に敗れたため、内閣総辞職が行われました。そして、福田赳夫内閣が発足するのです。
ロッキード事件の判決
その後、政府は大平内閣、鈴木善幸内閣、中曽根内閣と続いていきます。その全ての内閣を田中角栄は支持することになりました。
1983年にはロッキード事件の一審判決が行われ、東京地方裁判所から実刑判決を受けることになります。刑の内容は懲役4年、追徴金5億円でした。これを不服とし、角栄は東京高等裁判所へ控訴します。この年の総選挙では、実刑判決を下された後にも関わらず、人気を集め、後続に大差をつけての当選を果たしました。
1985年 – 67歳「脳梗塞で入院し、後遺症が残る」
脳梗塞を引き起こし、言語障害、行動障害が残る
1985年2月27日に突然倒れ、病院にて脳梗塞の診断を受けます。幸い一命は取り留めましたが、言語障害などの後遺症が残り、政治活動には多大な支障をきたすこととなりました。9月にはロッキード事件の控訴審が行われましたが、出席せずに終わります。
1987年7月、ロッキード事件の控訴審判決が下されましたが、一審と結果は変わらず、懲役4年、追徴金5億円の徴収でした。角栄は即刻、最高裁判所への上告を申し出ます。
政界からの引退と娘・眞紀子の初当選
1989年には総選挙への出馬を断念する旨を発表します。そして、1990年の1月に衆議院解散が起こり、それを機に政界を引退することになったのでした。最終的な国会議員の勤続年数は43年、当選回数は16回でした。
1993年には第40回総選挙に、娘の田中眞紀子が出馬します。角栄自身も応援演説に駆けつけ、見事に初当選を勝ち取るのでした。この回の総選挙では元田中派であった細川護熙が総理大臣となっています。
1993年 – 75歳「田中角栄の死去・死因は誤嚥性肺炎」
誤嚥性肺炎により帰らぬ人に
1993年の末、誤嚥性肺炎を引き起こし、慶應義塾大学病院で治療に当たりましたが、その甲斐もなく、帰らぬ人となってしまいます。墓地は新潟県柏崎市にある田中邸の中に設けられました。
ロッキード事件に関しては最高裁判所に上告されて以降、審理の途中であったので、公訴棄却となってしまいます。しかし、2年後の1995年にはロッキード社からの5億円の受け取りが確定したため、角栄の有罪が決まったのでした。
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田中角栄についてのまとめ
田中角栄は貧しい家庭の出身で、高等小学校までしか教育を受けることができませんでしたが、年を若くして大臣を務め、内閣総理大臣まで上りつめるなど輝かしい出世コースを歩みました。
一方でお金に関する事件に巻き込まれ、裁判沙汰になることもありましたが、没後30年経った今でも、彼の業績を讃える声は多くあります。
今回は田中角栄についてご紹介しました。この記事をきっかけにさらに興味を持っていただけたら幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。