ブリットポップとは?歴史や特徴、ファッション、名曲・名盤も詳しく紹介

スウェード

妖艶で背徳的な世界観を持つスウェード

ブラーに並んでブリットポップ・ブームの火付け役と言われるスウェード。デビッド・ボウイやザ・スミスの影響を受けた中性的で艶麗なルックスと、幻想的でダークな世界観を持つバンドです。

1992年のデビューシングル『ザ・ドラウナーズ』がヒットし、当時インディーバンドには異例だった全英中継番組への出演が決定。その退廃的な世界観やナルシシズムに溢れた歌声で人々を魅了します。

一方で、ステージ上での刺激的な演出や、マスコミに対する過激な発言が話題を呼びました。また、バンド内の不和やメンバーの難病発症により幾度となく存続を危ぶまれます。

2003年に一旦解散しますが、その後2010年に再結成を果たしライブやフェスへの出演を再開。2018年には、それまでのバンドの活動を追ったドキュメンタリー映画も制作されました。

なお、ブリットポップの先駆者として名高いスウェードですが、ボーカルのブレッド・アンダーソンは後のインタビューで「ブリットポップは嫌いだった。スウェードはその一部ではなかった」と語っています。

オアシス

言わずと知れた名バンドであるオアシス

オアシスは、1994年にデビューした国民的ロックバンドです。イギリスにとどまらず世界的な知名度を誇るオアシスは、ブリットポップ期のミュージシャンの中で最も成功したバンドと言っても過言ではないでしょう。

1991年にバンドを結成したオアシスは、その2年後にはレコード会社と契約し、翌年デビューアルバムが全英チャート1位を記録。驚異のスピードでイギリス中の注目を集めるロックバンドへと成長します。

バンドの中心は、ギターとソングライティングを担当する兄ノエル、ボーカルの弟リアムのギャラガー兄弟です。幼少期に父親から虐待を受けるなど決して良好とは言えない家庭環境で育ち、田舎の荒くれ者だった彼らは、やがて音楽の世界へその活路を見出していきました。

また、労働者階級出身だったギャラガー兄弟は、同じく労働者階級で世界的な成功を果たしたビートルズを尊敬していたそうです。同時期にチャートを賑わせていた中流階級出身のブラーに対し暴言を吐くなど、中流階級を嫌うような発言も多く見られました。

また、この兄弟は派手な喧嘩が有名で、レコーディング中に不機嫌になり大暴れしたリアムをノエルがバットで殴るという、とんでもない逸話も残されています。オアシス自体も、この2人の間の確執が原因で2009年に解散してしまいます。

オアシスの特徴は、キャッチーで単調なメロディラインと豪快で広がりのあるギターサウンドです。誰が聞いても分かりやすいオアシスの楽曲は普遍的な魅力を持ち、世代を超えて愛され続けています。

パルプ

個性的でUKらしさ満点のバンド、パルプ

パルプは、1978年に結成されたイギリスのロックバンドです。ブラーやオアシス、スウェードと並び、ブリットポップ・ブームの「顔」として一世を風靡しました。

そんなパルプですが、実は結成から10年以上の長い下積み期間があり、1990年代に入ってようやくスポットライトを浴びるようになった遅咲きのバンドでした。

皮肉でユーモアのある歌詞と、ひねくれたポップなサウンドが特徴のパルプ。また、バンドのフロントマンであるジャーヴィス・コッカーの個性的で艶やかな風貌も人気の理由でした。1995年に発表され大ブレイクした名曲『コモン・ピープル』は、ブリットポップ期を象徴する作品とも言われています。

ブリットポップの波に乗ったパルプは、その後もヒットシングルを連発。一気にスターダムを駆け上がります。しかし、ボーカルのジャーヴィスはその栄光と称賛に圧倒され、ドラッグや酒に溺れるようになります。

その後人気が低迷し、パルプは2002年に活動休止を発表。メンバーは結婚したり他のバンドのサポートに入るなど個々で活動していましたが、音楽への意欲が消えることはなく、2011年に再結成を果たしました。

スーパーグラス

若き才能に溢れた3人組スーパーグラス

スーパーグラスは、1993年に結成されたイギリスのオックスフォード出身のバンドです。オアシスやブラーを追いかけブリットポップ期にデビューしたバンドの1つで、アップテンポで疾走感あふれるポップ・サウンドが人気を博しました。

ブラーやレディオヘッドのオープニング・アクトを務めるなどして活動していたスーパーグラスでしたが、1995年に発売したデビューアルバム『アイ・シュド・ココ』が全英No.1を記録。その翌年にはブリット・アワードや音楽雑誌主宰のQアワーズ、NMEアワーズの3つの祭典において新人賞を獲得します。

その後、デビュー当初のパワフルなパンク・ロックサウンドから、グラム、フォークロックなどさまざまなジャンルの要素を取り入れ、作風を変化させていきます。発売したアルバムは次々にヒットし、名実ともに認められる実力派バンドとなりました。

他バンドに対する辛辣なコメントで有名なオアシスのリアム・ギャラガーにさえ、スーパーグラスを「(自分たち以外で唯一)まともなバンド」と言わしめたほどです。

メンバー内の音楽性の不一致を理由に、2010年惜しまれながら解散しますが、今も国内外の多くのアーティストに影響を与え続けています。

ザ・ヴァーヴ

儚く美しい旋律を表現するザ・ヴァーヴ

1989年に結成された5人組のロック・バンドです。

ザ・ヴァーヴの楽曲は美しく響くメロディラインと、浮遊感のあるサイケデリックなサウンドのものが多く、その真骨頂とも言える名曲『ビター・スウィート・シンフォニー』はブリット・アワード 最優秀ブリティッシュ・シングル賞を受賞しています。

また、本楽曲を収録した1997年に発売したア3rdルバム『アーバン・ヒムス』は全英チャート1位を14週連続で独占し、1990年代のブリティッシュ・ロックの決定盤と言われています。

ザ・ヴァーヴは、メンバー内の軋轢により、1995年、1997年、2009年と3度の解散をしています。2度目の解散においては、まさにバンドの絶頂期と言われた時期の突然の発表でした。

ちなみに、オアシスの2ndアルバム『モーニング・グローリー』に収録されている楽曲『キャスト・ノー・シャドウ』は、1度目の解散時精神的に追い詰められていたボーカルのリチャード・アシュクロフトを励ますため、仲の良かったオアシスのギャラガー兄弟が捧げた曲でした。

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