ブリットポップの名盤
1992年 – 『スウェード』スウェード
スウェードのデビューアルバムで、1992に発売されると全英アルバムチャート1位を獲得した作品です。このアルバムでスウェードは痛烈な印象を残し、一気にトップ・アーティストへと登りつめます。
本作には、発売されるやいなやインディーズチャート1位を獲得し、世間を驚かせたデビューシングル『ザ・ドラウナーズ』や、ブリット・アワードで過激なステージ・パフォーマンスを披露した『アニマル・ナイトレイト』が収録されています。
近親相姦や同性愛、殺人といったタブーが歌詞中に散りばめられ、それらが耽美で妖艶なメロディや、歌うようなギターと見事な化学反応を起こしています。スウェードの毒性が表現された作品であり、このアルバムを聴けば彼らのの虜になること間違いありません。
1994年 – 『パーク・ライフ』ブラー
1994年に発売されたブラーの3rdアルバムです。全英1位を獲得し、その後も90週にわたってチャート40位圏内に残り続けるという偉業を成し遂げた作品です。
本作には、ブラーの人気を不動のものにした先述の『ガールズ・アンド・ボーイズ』や、イギリス的なユーモアに溢れた作品『パークライフ』が収録されています。1曲ごとに変わる曲調の変化が楽しく、アルバムを全て聴き終わるまで新鮮な驚きを与え続けてれます。
一見ポップで軽快なサウンドの中に、皮肉のこもった歌詞ややひねくれたメロディが織り交ぜらており、「これぞまさにブリットポップ!」と思わせてくれる作品です。
本作は1995年のブリット・アワードでベストアルバム賞など4部門の受賞に輝いており、90年代ブリットポップ・ムーブメントの勃興の発端となったアルバムとも言えるでしょう。
1994年 – 『デフィニトリー・メイビー』オアシス
1994年に発売された、オアシスのデビューアルバムです。デビューアルバムにして全英チャートで1位を記録し、時代の寵児オアシスの存在感を示した作品となりました。
全英に衝撃を与えたデビューシングル『スーパーソニック』や、ギャラガー兄弟が母親に捧げた名曲『リヴ・フォーエバー』、労働階級の人々の感情を代弁した『シガレッツ・アンド・アルコール』など、オアシスを代表する楽曲が数多く収録されています。
「生きることへの肯定」や「自分が自分であることの必要性」を、シンプルでダイナミックなメロディに乗せ、荒々しくもまっすぐに訴えかけてくる本作。時代を経た今でも聴く人の胸を打つこと間違いありません。
また、オアシスは本アルバム1曲目の『ロックンロール・スター』で「今夜、俺はロックンロールスターだ」と堂々宣言しています。デビュー作でありながら、将来伝説のバンドになることを確信していたメンバーの溢れる自信と勢いが感じられる作品です。
1995年 – 『アイ・シュド・ココ』スーパーグラス
1995年発売のスーパーグラスのデビュー作であり、彼らの出世作となった作品です。今作は全英チャート1位を3週間独占し、全英で50万枚、全世界で100万枚のヒットを記録しました。
本作には、パンキッシュで若さ溢れるデビュー作『コウト・バイ・ザ・ファズ』や、バンドで初のトップ10入りを果たした楽曲『レニー』、バンド最大のヒット曲『オールライト』等が収録されています。
荒っぽくて疾走感のあるポップ・サウンドが魅力のスーパーグラスですが、アルバム中盤ではイギリスらしいギターロックを鳴らし、聴く人を圧倒します。全曲聴き終えると爽快な気分にさせてくれる一作です。
1997年 – 『アーバン・ヒムス』ザ・ヴァーヴ
1997年に発売されたザ・ヴァーヴの3rdアルバムです。初登場で全英No.1を獲得した後、12週にわたって1位を独占した本作は、「英国ロックの決定盤」とも言われています。
本アルバムには、バンドの評価を一気に押し上げた前述の『ビター・スウィート・シンフォニー』や、全英No.1を獲得した『ドラッグス・ドント・ワーク』、ボーカルのリチャード・アシュクロフトの優しい歌声が生かされた名曲『ソネット』等が収録されています。
作品を通して奏でられる優雅で広がりのあるサウンドは、聴く人を心地よい空気で包みこみます。本アルバムはメロディ重視の楽曲が多く、リチャードのソングライターとしての才能が発揮された作品でもあります。
このアルバムは翌年のブリッド・アワードで年間ベストアルバムを受賞しますが、人気絶頂期だったにも関わらず、ボーカルのリチャードとギターのニックの確執が原因となりバンドは解散します。
ブリットポップについて知れる関連作品
映画『LIVE FOREVER』
ブリットポップ•ムーブメント渦中のイギリスを振り返るドキュメンタリー映画です。劇中ではムーブメントの立役者であるオアシスやブラー、パルプのメンバーがインタビューに応じています。
ブリットポップの成り立ちや、当時の時代背景、ブラーとオアシスの対立について触れられており、当時お祭り騒ぎだったイギリス国内の様子をリアルに感じることができる作品です。
本『ブリットポップ・ディスクガイド』
ブリットポップの軌跡を辿った本です。
ブリットポップ・ブームの中心にいたバンドへの秘蔵インタビューや、バンド・カタログ、アルバムの概要やレビューも掲載されています。この一冊でブリットポップの全様が分かる内容となっています。
ブリットポップに関するまとめ
以上、今回はブリットポップの歴史やその特徴、代表的なバンドや名曲・名盤についてご紹介しました。
ブリットポップは、メディアや政治が作り上げた商業主義的なムーブメントであるとして、ネガティブに評価されることも少なくありません。しかしながら、この時代に後世に残る多くの素晴らしいミュージシャンが誕生したことは紛れもない事実です。
まだブリットポップを聴いたことがないという方は、本記事を参考にぜひお気に入りのバンドを探してみてはいかがでしょうか。