「おお、ロミオ!なぜあなたはロミオなの?」
「ブルータス、お前もか!」
これらの名言で有名なシェイクスピアは、16〜17世紀を生きたイギリスの劇作家として有名です。数多くの名言を残したシェイクスピアですが、あなたはこれらのセリフの本当の意味をご存知でしょうか?
「ロミオとジュリエット」も「ハムレット」も、題名は知っているけれど実際には読んだことがないという人も多いでしょう。名言自体が人々に愛されているのは素敵なことですが、物語の中での使われ方を知ると、これらの言葉の魅力をより深く味わえるはずです。
この記事では、シェイクスピアのよく知られた名言を、その原文や原典とともに20選ご紹介します。発言に込められた意図や、シェイクスピアの名言を扱ったおすすめの書籍も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
シェイクスピアの名言と意図、背景
真に気高い生き方とは何か
To be, or not to be: that is the question.
「生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ」というシェイクスピアの名言として最も有名なこのセリフは、シェイクスピアの四大悲劇の一つである「ハムレット」に登場します。
ハムレットは、正義で高貴な生き方を探し求めていました。ハムレットについては「優柔不断」「中二病にかかっている男」といった印象を持っている人も多いかもしれません。このセリフについても、自殺をすると神の裁きを受けるかもしれないので、怖いからできないといったハムレットの本音も見え隠れします。
しかしハムレットは最後に、できることは全てやって、あとは運命に任せようという、いわば「悟り」の境地にたどり着きます。このセリフはそこまでの通過点だと思うと、印象も変わってきますね。
清らかに生きよ
Get thee to a nunnery!
これも「ハムレット」で有名な台詞です。一般的には「尼寺へ行け!」と訳されます。ハムレットが、愛するオフィーリアに投げかける残酷な言葉としてよく知られています。しかしこれは、オフィーリアに対するハムレットの最上の愛なのです。
ハムレットは、騙したり騙されたりという混沌とした世界に、清純なオフィーリアを置いておきたくなかったのです。彼女を守るためにあえて突き放そうとしたのでしょう。ハムレット自身にも言い聞かせるように、このセリフは3回も出てきます。真っ直ぐに生きようとする若い青年ならではの意思と行動に、つい涙してしまうセリフです。
全ては自分の考え方次第
There is nothing either good or bad but thinking makes it so.
これも「ハムレット」の一節です。「ものの良し悪しは考え方ひとつで変わる」という意味です。旧友ローゼンクランツが王に言われてハムレットの本心を知ろうと問いかけるも、上手くかわされてしまうという場面で出てきます。
どんなことにも絶対的なものはなく、見方を変えれば印象も変わります。世の中にはさまざまな人がいるように、考え方も人によりけりなのは当然のことです。人と違うことに、とかく不安を覚えがちな私たちですが、自分の考え方を信じ、貫く意思が大切です。
感情はコントロールすべし
The violence of the feelings even destroys the force as well as feeling.
これも「ハムレット」から。「喜怒哀楽の激しさは、その感情とともに実力までも滅ぼす」という意味です。劇中劇のシーンで、王が王妃に、王妃の自分に対する愛情も、自分が死ねばなくなるだろうという話をする中で出てきます。
あまりにも強い怒りに我を忘れたことはありませんか?あまりに嬉しくて、可笑しな行動をとった経験はありませんか?もちろん、感情が爆発することで、実力以上の力を発揮することもありますが、逆にそれによって大きな失敗を犯すこともあります。
大切なのは、自分の感情をコントロールすることです。必要な時は感情をオープンにしても良いですが、その感情のスイッチは自分で管理しなければなりません。感情を出すとよくない場面では、胸中の想いは押し留めて振る舞うことが肝要です。
心の籠らないことばは虚しいだけだ
My words fly up, my thoughts remain below. Words without thoughts never to heaven go.
「ことばは宙に舞い、思いは地に残る。思いのこもらぬ祈りは天には届かぬ」という「ハムレット」の一節です。兄である王を殺し、王位と王妃を手に入れたクローディアスを、王の息子ハムレットは父を殺した張本人ではないかと疑うようになります。クローディアスは自分の行いに悔いる気持ちが芽生え、神の赦しを得ようと祈るというくだりです。
クローディアスは、自ら思います。罪を犯して得た王位や王妃はまだ手中にあるのに、赦しを乞いたいと祈りを捧げたところで神は赦してくれるのか?と。それでも祈らずにはいられないクローディアスを、私たちは愚かだと笑えるでしょうか?言霊について改めて考えさせられるとともに、魂の宿したことばを届けられるように、私たちも振る舞いたいものです。