「テッドバンディとはどんな人なの?」
「テッドバンディの犯行はどのようなものだったの?」
「テッドバンディの犯行動機や生い立ちって?」
テッドバンディとは、アメリカの連続殺人鬼です。1ヶ月以上にわたり、一定の期間をおきながら殺人を繰り返す連続殺人鬼に対して使われる「シリアルキラー」の語源ともなった人物です。
彼は1974年〜1978年の約4年間で30名以上の女性を殺害したことで逮捕、死刑判決を受け、1989年1月にアメリカ合衆国フロリダ州の刑務所にて、死刑が執行されました。
しかし彼の犯行は全てが解明されたわけではなく、実際に判明している以上の被害者がいたのではないか言われています。事実、テッドバンディの告白によって発見された遺体や、事件も存在するのです。
彼は、イケメンでIQ160以上を誇る優秀な人物であり、それまでの「連続殺人鬼」という恐ろしいイメージを覆しました。そして驚くことに、テッドバンディには犯行時期を通して長く交際していた女性がおり、後に彼女の手記をもとに作成された映画も公開されました。
今回は、歴代の犯罪に興味を持ち、テッドバンディという人物の生い立ちや犯行の詳細について深堀りした著者が、「史上最悪の連続殺人鬼」についてご紹介します。
彼の許されざる犯罪に至った経緯や暗い過去に触れるとともに、話題になった映画のあらすじについてもお話します。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
テッドバンディとはどんな人物か
名前 | セオドア・ロバート・バンディ |
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誕生日 | 1946年11月24日 |
没日 | 1989年1月24日 |
生地 | アメリカ合衆国 バーモント州バーリントン |
没地 | フロリダ州立刑務所 |
死因 | 電気椅子による死刑執行 |
配偶者 | なし |
埋葬場所 | ワシントン州カスケード山脈 |
テッドバンディの生涯
テッドバンディは1946年、アメリカ合衆国バーモント州にて、母ルイーズの私生児として誕生しました。母は当時は私生児に対する差別の目があったことから、自身の父母、つまりテッドバンディの祖父母の養子として育てることにしたのです。
テッドバンディは、高校時代までを大人しい生徒として過ごしました。成績は優秀で、大学はピュージェットサウンド大学を経て、ワシントン大学へ転学を果たします。しかし失恋をきっかけに学業不振に陥り中退すると、選挙活動のスタッフとして働き、周囲からの人気も獲得していきました。
後に彼は「シリアルキラー」として覚醒し、1974年〜1978年の間に7つの州で殺人を繰り返し、逮捕されます。雄弁な彼は人々を魅了しましたが、テッドバンディの語った犯行の詳細は極めて残忍なものであり、最高裁までで計3度もの死刑判決を受けるに至りました。
そして1989年1月24日、野次馬が刑務所前に集まる中、彼の死刑は執行されました。
テッドバンディの心の闇
祖父母の養子として育てられたテッドバンディは、祖父母を父母、母を年の離れた姉だと信じて疑いませんでした。祖父は、祖母や動物に対する加虐行動のある人物でしたが、テッドバンディには優しく接していました。それ故に、テッドバンディは祖父に対して愛情を抱いていました。
しかし10歳のとき、従兄弟が家族の真実をバラしてしまいます。テッドバンディは騙されていた事実にショックを覚え、さらには「私生児」というコンプレックスを抱えるようになったのです。同時に、騙していた母を憎むようになりました。
成績優秀な反面、小学校では凶暴な面も見られ、度々通知表に心配事として書かれるほどでした。そして高校生になると、ガールフレンドに対して奥手な一方、夜には女性の部屋を覗くことで欲を満たす、異常な性癖を覚えるようになるのです。
この頃のテッドバンディは、私生児というコンプレックスから、次第に自身の理想の姿を思い描き演じることで、精神を保とうとしていました。現実と空想の区別が徐々に崩れ、彼の心の闇は、精神の崩壊を促す結果となりました。
テッドバンディの凶行のきっかけは失恋?
テッドバンディの凶行のきっかけは、ひとりの女性と言われています。彼女の名前は、ステファニー・ブルックス。1965年、ワシントン大学の在学中に出会った2人は恋に落ちました。裕福な家庭で育ち、美しく聡明であるステファニーは、まさにテッドバンディの理想とする人物だったのです。
しかし、交際はあまり長続きしませんでした。なぜなら、テッドバンディは自身が作り上げた理想像を演じていただけ。ステファニーは次第にテッドバンディの幼稚で冴えないところに気付き、別れを告げて去っていってしまったのです。
テッドバンディは失恋のショックで学業にも支障をきたし、大学を中退。この出来事がきっかけで、彼の精神は完全におかしくなってしまいました。しかし1973年に2人は再会します。今度は魅力的になったテッドバンディに対し、ステファニーが惹かれました。2人はまもなく婚約しますが、テッドバンディは復讐心から、ぱったりと姿を消し、久しぶりに連絡が取れ慌てる彼女に対して、「何のことかわからない」と電話を切ったのです。
テッドバンディの犯行が始まったのは、まさにこの時期でした。