田中正造とはどんな人?生涯・年表まとめ【足尾銅山事件の活動や名言、死因まで紹介】

1913年 – 73歳「田中正造死去」

田中正造の葬儀の様子

胃がんで死去

1913年7月、正造は自分の命が長くない事を悟り、古参の支援者らのもとへ挨拶回りに出かけます。8月に吾妻村の庭田清四郎家でついに正造は倒れ、病に付す事になります。

正造の妻カツは当時、姉の元に身を寄せていましたが、正造の知らせを聞きすぐに駆けつけて献身的な看病をしました。正造は9月4日に妻や支援者に見守られて73歳の生涯を終えたのです。

正造が遺したもの

臨終の時に無一文だった正造ですが、葬儀では数万人もの参列者が集まる等、多くの人望を得ていました。正造が埋葬されたのは惣宗寺ですが、分骨を含め全国に6箇所の墓がある等、全国に正造の思いは受け継がれていきます。

1917年には谷中村の残留民は藤岡町に移住。彼らの闘いは終わりを迎えました。ただその後も反対運動は続き、1974年5月11日に古河鉱業(かつての古河財閥)は鉱毒事件の責任を認め、被害者達に15億5000万円を支払いました。

なお正造が明治天皇に上奏しようとした直訴状は113年の時を経て、2013年に昭仁上皇に伝えられます。正造の思いは未来に引き継がれて行ったのです。

田中正造の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

鉱毒に消えた谷中村―田中正造と足尾鉱毒事件の一〇〇年

当時の足尾銅山鉱毒事件の詳細な記録、そして現在の足尾銅山について詳しく学べます。新聞の連載記事を書にしたものなので、非常に読みやすい一冊です。

特筆すべきは当時の関係者の子孫へのインタビューです。公害問題は現在にも続く根深い問題である事が分かります。

辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件

田中正造と鉱毒事件の被害者達を主人公にした歴史小説。特筆すべきは正造死後の「第二部 騒動」です。鉱毒事件をめぐり対峙する村民同士の闘いは、圧巻の一言です。

真の文明は人を殺さず: 田中正造の言葉に学ぶ明日の日本

この本は田中正造の生涯、思想、生き方と東日本大震災について絡めた本です。現在に生きる私達も様々な環境問題に直面しています。正造の思想や名言は、現在にも通ずる部分があるのです。

是非正造の教えに触れて欲しいですね。

おすすめの動画

田中正造 知ってるつもり?!修正版

1992年5月17日に放送された「知ってるつもり?!」です。足尾銅山の被害、現状について当時の映像を踏まえて解説しており、凄惨さが良く分かります。

番組自体は古いものの、正造の功績は色褪せません。是非観て欲しい動画です。

科学の遺産と未来 (3)災いを活かす【前編】公害を乗り越える 栃木・足尾銅山

先程の動画が足尾銅山鉱毒事件の被害者側の視点あったのに対して、こちらは古河財閥が公害に対してどのような対策をとったのかを詳しく紹介しています。

科学技術の発達、意識の変化により足尾銅山の環境は改善しつつありますが、まだまだ元どおりというわけにはいきません。公害問題は何百年にわたって大きな被害をもたらす事を、この動画を通じて知って欲しいです。

おすすめの映画

赤貧洗うがごとき―田中正造と野に叫ぶ人々―

谷中村が廃村となり100年が経った事を契機に制作されたドキュメンタリー映画です。正造だけでなく、共に立ち上がった人々やその人間模様を詳細に調査しています。

当時の政官財癒着の実態、マスコミが果たした役割等、足尾銅山鉱毒事件を様々な視点で記しており、資料的価値も高い内容になっています。

襤褸の旗

1974年に制作され、名匠吉村公三郎の遺作です。田中正造役の三國連太郎の鬼気迫る演技や、若き日の西田敏行等、非常に見所のある作品です。

村から強制退去させられる場面では三國はアドリブで足元の土を食べたそうです。正造が憑依したかのようと評されました。残念ながらVHSであり、DVD化はされていません。いつかDVDされる事を望みますね。

その時歴史が動いた (16)

NHKによる歴史教養番組であり、2002年に田中正造の生涯が放送されました。当作品では環境問題について考えるきっかけを与えてくれます。ぜひ子供にも見てほしい内容ですね。

ちなみに当DVDでは、菅原道真・大塩平八郎等の5つの作品が収録されています。そちらもおススメです。

おすすめドラマ

足尾から来た女

谷中村で鉱毒被害に遭いながらも、懸命に生き抜く新田サチという一人の女性の生き方を描いた作品です。柄本明演じる田中正造を始め、与謝野晶子や石川啄木、福田英子等の実在の人物も登場します。

作品中の正造はサチに勉強の大切さを説き、上京するきっかけを作ります。前半における物語のキーマン的存在です。こちらDVD化はされていませんが、プライムビデオて視聴可能です。

関連外部リンク

田中正造についてのまとめ

今回は田中正造の生涯について紹介しました。人の為、環境の為、自分の全てを犠牲にする。正造の高潔で赤貧を貫いたその生き様は、私には到底真似できるものではありません。

足尾銅山鉱毒事件は日本の公害問題の原点ですが、戦後も、そして現在に至るまで公害問題は続いています。正造の言う通り日本はまだ「真の文明」には程遠いのかもしれません。

今回の記事を通じて、正造の生き方や公害問題に興味を持っていただけたら幸いです。

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