李香蘭(山口淑子)とはどんな人?生涯・年表まとめ【名言や功績も紹介】

1974〜2014年 – 54〜94歳「最期まで精力的に生きる」

大鷹淑子(1981年)

参議院議員を務める

初登院する大鷹淑子

淑子に政治家としての素質を見出したのは田中角栄元首相でした。1974年、自由民主党から参議院議員選挙に「大鷹淑子」の名前で立候補して初当選します。その後3期18年の議員生活を送りました。環境政務次官などを務め、1993年には勲二等宝冠章を受章しています。

金正日主席と大鷹淑子

1975年、淑子は参議院議員時代に朝鮮へ訪問した際、金正日主席に声をかけられます。淑子が「蘇州夜曲」を歌うと大いに喜び、抗日運動をしているときに李香蘭の「支那の夜」を見たことを懐かしそうに話したそうです。

抗日運動の先頭に立っていた人が、日中戦争の国策映画とされる「支那の夜」をお忍びで見ていたことにも驚きますが、それほどまでにこの作品がそういった政治的意図を飛び越え、娯楽映画として楽しまれていたという証でしょう。

晩年の日々

山口淑子死去のニュースは号外で報道されました。

2001年、肺炎のため夫・大鷹弘が他界します。しかし淑子は独り身になってからも精力的に活動を続け、若い頃から抱き続けた好奇心は冷めることがありませんでした。2014年9月7日、淑子は心不全のため、その波乱に満ちた生涯を閉じました。享年94歳でした。

李香蘭の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

李香蘭 私の半生

題名の通り、山口淑子が李香蘭として生きた時代を中心に語っている自伝です。山口淑子から見た中国における昭和史を見るのは、歴史の勉強とはまた違った意味で興味深く、生々しいものでした。

また、本書の素晴らしいところは、山口淑子本人だけではなく、藤原作弥という作家の視点を取り入れることで、客観的な自伝となっていることです。その点において本書は伝記本としても高い評価を得ています。

「李香蘭」を生きて

本書は山口淑子単独執筆の自伝です。この本には山口淑子のフィルモグラフィーとディスコグラフィーが載っています。まとまった資料は意外に少ないため、とても便利です。

おすすめのミュージカル

李香蘭

劇団四季によるミュージカル「李香蘭」は、1991年の初演以来、何度も再演を重ねている劇団四季の人気演目の一つです。劇団四季による「昭和三部作」の一つとしても知られています。劇団四季は「ライオンキング」など海外の作品を上演するイメージがあるかもしれませんが、名作と言われるオリジナル作品もあります。本作はその代表的なものです。

筆者はこの作品を初めて観劇したのは十代の頃でした。日本史もお芝居も好きだった筆者はすぐにこの作品の虜になりました。終演後もミュージカルナンバーが頭を離れず、CDを購入し何度も聴いた覚えがあります。それは今でも歌えるほどで、そのメロディラインは李香蘭の苦悩の人生とともに強烈な記憶として残っています。

おすすめドラマ

流転の王妃 – 最後の皇弟 –

2003年にテレビ朝日開局45周年記念ドラマとして放送された大型テレビドラマです。視聴率も良かっただけではなく、エランドール賞など数々の賞に輝いた名作です。葉加瀬太郎が担当した音楽も素晴らしく、サウンドトラックも好評でした。

愛新覚羅溥儀の弟・溥傑とその妻・浩の物語ですが、李香蘭も登場します。李香蘭を演じる天海祐希が美しい歌声を披露するシーンは、その美貌とともに目が離せない名シーンでした。

李香蘭

自伝「李香蘭 私の履歴書」を原作に、2007年にテレビ東京系列で放送されたこのドラマは、李香蘭を上戸彩が演じています。上戸彩の外見が李香蘭にどことなく似ていることからも評判が良く、今でもファンが多い名作です。

関連外部リンク

李香蘭についてのまとめ

戦争は時として芸術家をプロパガンダに利用します。芸術家も社会の風潮に飲み込まれ、あたかもその芸術活動が正当であるかのような錯覚を持ちます。しかし終戦を迎えると、芸術家は自分の活動が戦争への後押しになっていたことに気づきます。それは深い深い心の傷になるのです。そして心の血を流すことが当然であると自分を責め続け、深いトンネルの中に入ってしまうのです。

2020年のNHK朝の連続テレビ小説「エール」でも、主人公の古山裕一や佐藤久志がそのトンネルに入っていた時期が描かれました。山口淑子もずっと心の傷を抱えていた一人だと思います。だからこそ、戦後になって彼女が新たな道を切り開いて生きていった姿を見ると、心から嬉しくなります。

しかも彼女は晩年、李香蘭として歌手や女優としてデビューする前に抱いていた、「政治家の秘書か新聞記者」という夢に近い仕事をする、ワイドショーの司会者や、政治家になったのです。今までの人生があたかもその序章であったかのように。この力強い生き方を、ぜひ多くの人に知ってもらいたいと思います。

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