マルクス主義ってなに?
マルクス主義とは、社会主義思想の一つです。社会主義とは、財産と生産を国で管理し不平等をなくそうという思想のことです。個人が財産を持てない代わりに国が財産を管理して、国民に分配するという形式を指します。
ざっくり言うと、会社の利益は国のものになって、お給料が会社からではなく国から出るよってことですね。
資本主義社会では、富が経営者に集まり労働者は生活に必要な最低限の金銭を与えられるだけで両者の間には経済的な格差が生まれます。要するに、労働者はいつまで経ってもお金持ちになれず、経営者の富を増やすだけの存在になってしまうということです。
それはあまりにも悲惨だ、と考えたマルクスは富を経営者が独占するのではなく、社会で共有してこうした格差をなくそうと提案しました。経営者や労働者といった、階級のない平等な社会を目指したのがマルクス主義なのです。
マルクスの『資本論』とは?
マルクスの著書『資本論』とは、資本主義の問題点を挙げ批判したものです。後にマルクス経済学の古典として扱われるようになった書で、現代ではさまざまな議論がなされています。
資本主義の成り立ちから発展、滅亡までとマルクスが分析し構築した理論が主な内容です。『資本論』は多くの人々、特にレーニンなど社会主義者らに読まれ20世紀の国際政治に大きな影響を与えました。
多いときでは世界の半分が、社会主義国として成立していたほどです。
マルクスは共産主義者だった?
社会主義者として扱われるマルクスですが、厳密に言うと彼は共産主義者でした。共産主義は今では社会主義と同一視されますが、マルクスは共産主義を社会主義の次の段階であると位置付け、明確に区別しました。
社会主義は財産を国が管理していましたが、共産主義では誰も財産を管理しません。完全に平等な社会であり、出た利益をみんなで分け合います。
マルクスは共産主義を実現するには、まず労働者が革命を起こし勝利することが重要だと考えました。そして本や新聞などを通して、労働者たちの運動を支持したり革命活動に積極的に参加しました。
人が人らしくあれる平等な社会を目指したマルクス。そのために行動した彼は、名実共に共産主義者という立場がふさわしいでしょう。
マルクスは労働者を軽蔑していた?
労働者の立場にたった思想を展開したマルクスですが、実はその労働者を軽蔑していたという話があります。
政治的な批判をする一方、マルクスには慎重な部分がありました。そのため、公的な場では言いませんでしたが、プライベートな場面では「あいつら」「あの駄馬」などと罵っています。
とはいえ、マルクスの侮辱癖は有名なうえに、自身に最後まで協力してくれた労働者の死を悲しむこともありました。また「世界の格差をなくすのは労働者だ」と常々発言していることを考えると、なかなか重い腰を上げてくれない労働者たちにじれったい思いがあったのではないでしょうか。
マルクスが論じた世界史、唯物史観
唯物史観とは、マルクスが唱えた歴史の観点でより詳しく表すと「物質主義」です。歴史は物、つまり生産や消費によって紡がれているとマルクスは定義しました。
社会とは、生産力の発展(機械などによる生産の効率化)によって変わる生産関係が土台にあり、そこから法律や政治などが構築されます。そして革命とは、この生産関係が変わる節目で起こるとマルクスは言っています。
要するに、経済が社会を決めているというのが唯物史観です。そのため、経済の仕組みを変えない限り社会は変わらない、とマルクスは考えていました。
マルクスの功績
功績1「著書『資本論』で20世紀以降の政治や思想に大きな影響を与えた」
前述したように、マルクスは『資本論』で資本主義の問題点を明らかにし、20世紀以降の歴史に大きな影響を与えます。
『資本論』は簡単に説明すると、唯物史観と剰余価値の二つの理論で成り立っています。
ここで言う唯物史観とは、資本主義の世界はすべて商品で構成されているということです。商品とは、食糧や服、サービスなどお金で交換できるすべての物を指します。そして物の生産の仕組みが政治や宗教などを変化させると定義しました。
次に剰余価値とは労働者が生み出す、賃金のかからない価値のことです。労働者は労働力を支払う代わりに賃金を得ています。しかし、その賃金は労働者が支払った労働力に見合った金額ではありません。労働時間の内の数時間程度の賃金しか支払われていないのです。
労働者に支払われない分のお金は経営者の取り分になります。経営者はその取り分を使いさらにお金を得るために機械を購入して業務を効率化します。
すると今ほど人手がいらなくなるので労働者を解雇。失業者が増え消費が落ち込むため、いずれは恐慌が起こって資本主義が崩壊します。以上の資本主義の問題点を解決する方法として選ばれたのが、財産を社会全体で分け合う共産主義です。
特に第一次世界大戦後に起こったロシア革命の指導者レーニンはマルクスの『資本論』を参考にソビエト連邦を建国し政治を行いました。
世界恐慌で経済が冷え込む中、ソ連だけは順調に経済発展を遂げて第二次世界大戦でドイツとの戦争を勝ち抜きます。これにより、多くの社会主義国が生まれ世界の半分を占めました。『資本論』は一時期、聖書よりも読まれ現代まで影響を与えているのです。