華やかすぎる女性遍歴
王妃以外にも愛人を多く持つ国王は大勢いますが、ルイ14世も歴代国王に負けないくらいの「華やかな」女性遍歴を持ち主です。
ルイ14世は20歳ごろから数多くの女性と浮名を流していきました。その中でもルイ14世はマリー・マンチーニという女性を本気で好きになり彼女を王妃にしようとします。
しかし、フランス・スペイン戦争(三十年戦争にフランスが関与して起きたスペインとの戦争)の終戦条約であるピレネー条約によってスペイン王フェリペ2世の娘マリー・テレーズ・ドートリッシュとの結婚を余儀なくされました。
2人の間には6人の子どもができましたが夫婦仲は決して良好ではなく、ルイ14世は結婚後も数多くの愛妾を侍らせ続けたのです。
ルイ14世は彼女たちのために観劇を催したり宮殿を作らせるなど度重なる散財を繰り返します。派手な女性関係は王妃の死後に教養あるマントノン侯爵夫人と秘密結婚をするまで続きました。
ルイ14世の功績
功績1「フランスの代表的な建築物であるヴェルサイユ宮殿の建立」
ルイ14世は世界的に有名なフランスの「ヴェルサイユ宮殿」を建立したことでも知られています。
ヴェルサイユ宮殿はフランス北部にあるヴェルサイユの地に建てられた美しい宮殿です。ルイ14世の父ルイ13世が建設した狩猟小屋を改築し、約20年の歳月をかけて作られました。工事は3回に分けられ、数万人もの人々が宮殿の建設に携わったといいます。
ヴェルサイユ宮殿の建立には2つの目的があり、1つはルイ14世自身が自分の理想的な宮殿を建立したかったからだといわれています。彼は事あるごとに建設現場へ訪れて進捗を確認し、その度に自分の理想と違う箇所があれば指摘して思う通りになるまでやり直させました。
もう1つの目的は専制的な統治(支配者が独裁的に人々や政治を治めること)をするためです。ルイ14世は臣下や貴族を宮殿に住まわせ様々な宴会を催しましたが、それは同時に自分の思い通りに彼らを動かすことにつながりました。
ヴェルサイユ宮殿に住む臣下や貴族たちはルイ14世が定めた厳しい礼儀作法に従って生活し、国王の恩恵にあずかろうとお互いに競い合うようになります。その結果、貴族たちは本来自分たちが治めるべき領地から遠ざかりました。こうして、ルイ14世は臣下や貴族たちの力を集結させて独裁的な国政を始めたのです。
功績2「他国を侵略し海外領土を広げる」
ルイ14世は23歳という若さで宰相を置かずに自ら国政を動かすことを決め、フランスの領土拡大を狙った外交政策を積極的に行います。
彼は最初にスペイン領である南ネーデルラント*を侵略すべく、行動を起こしました。ピレネー条約(フランス・スペイン戦争の終戦条約)にあった王妃マリー・テレーズの結婚持参金が支払われていないことを理由に南ネーデルラントの一部割譲を求めて1667年に戦争を始めたのです。
これは後に「帰属戦争」と呼ばれるようになります。帰属戦争にはルイ14世率いるブルボン家と敵対するハプスブルク家も関係していました。スペインの財産がハプスブルク家に渡ることを恐れたことも戦争が起こった理由の一つです。
ルイ14世は自ら戦前に立って戦い、領土分割を密約させましたが、イギリス・オランダ・スウェーデンの3カ国がフランスを牽制したため領土を数カ所併合しただけにとどまりました。そして、その後スペインを支援した報復という形で1672年オランダ侵略戦争を開始したのです。
戦争は陸地と海での戦いとなり、最終的にはフランスが優勢となりオランダの独立を認める代わりに南ネーデルラントを獲得することとなります。その後もルイ14世は侵略戦争を続け、ドイツの継承問題をめぐるファルツ戦争やスペイン王家の継承問題をめぐってスペイン継承戦争にも介入しました。
功績3「絶対王政のもと実力主義の人事採用を行った」
ルイ14世の国政は対外戦争が中心ではありましたが、フランス国内における政策を疎かにしていたわけではありません。フランス社会発展のために当時としては画期的な実力主義の人事採用を行ったのです。
それまでのフランスでは政治のトップに国王がおり、国王を支える形で宰相という地位が存在していました。そして、国の最高機関には王族や有力貴族のみが参加していたのです。
ルイ14世はこのような伝統的な枠組みを壊して、新たな政府組織を作り上げました。国のトップが国王であることはそのままにして宰相という地位を無くし少数の出席者から成る「最高国務会議」を開いたのです。
そして、この国政を左右する重要な会議には王族や有力貴族ではなく実力のある者たちを階級に関係なく重要な役職に登用しました。
いずれも市民階級や中流階級の人々でしたが、有能な者たちばかりだったためフランスの商業や産業は活発になっていきます。こうしてルイ14世が実施した「実力主義の人事採用」はフランスに大いなる利益をもたらしました。