1185年 – 26歳「頼朝との不和」
鎌倉入りを拒否される
平氏討伐の立役者となった義経ですが、この頃から次第に頼朝との関係が悪化。それを示すように、頼朝によって鎌倉入りを拒否されるという事態が起こってしまいます。
義経は兄のこのような態度に、叛意がないことを示す”腰越状(こしごえじょう)”を送るなどしましたが、頼朝の態度は変化なし。更にこの頃には、戦中の義経の傍若無人な振る舞いに対する不満などが御家人から噴出し、次第に義経は一門の内部で孤立を深めていくことになりました。
任官により怒りを買う
一門の中で孤立していく義経でしたが、彼が戦中の英雄であることに変わりはありません。そのため義経はこの時期、後白河院によって院御厩司に任命されることになりました。この役職は平氏が独占していた役職であり、非常に伝統あるものだったそうです。
しかしここで激怒したのは兄である頼朝。草薙剣を取り返せず、御家人たちからも不満の声が多く上がり、挙句の果てに自分に無断で高い役職を得た義経に対し、頼朝はついに大激怒。これにより兄弟は恨み合う間柄となってしまい、互いに相手を討伐しようとする間柄に成り果ててしまいました。
1187年 – 28歳「最期の地、奥州へ」
全てを失う都落ち
一度は妥当頼朝のために兵を挙げるまでに至った義経でしたが、思ったような人数が集まらずに断念。むしろこれによって孤立を深めた義経は、逆に朝敵として都を追い落とされることになってしまいました。
そうして都落ちすることになった義経は、最初は九州を目指しましたが船が難破して失敗。そこから地位の解任、討伐命令の布告などの不幸が重なり、吉野に身を隠していた際も静御前が捕縛されたり、義父が謀殺されたりするなど、味方がどんどん減っていく状況に陥ってしまいました。
奥州へ
京都にも鎌倉にも戻れなくなった義経は奥州平泉へ。この頃になると朝廷は完全に頼朝派に転じており、義経は名前すら勝手に改名される始末だったと言います。
数少ない配下や妻と子とともに奥州にたどり着いた義経は、幼い頃の恩人でもある藤原秀衡(ふじわらのひでひら)に匿われ、再起を目指すことになりました。
1189年 – 30歳「裏切りの末、悲劇の死を迎える」
藤原氏の変心
義経を快く匿い、頼朝に対抗する旗印として共闘関係を結んでくれた藤原秀衡でしたが、なんと彼は義経の奥州入り後すぐに病没してしまいます。
これによって奥州藤原氏の当主となった藤原泰衡(ふじわらのやすひら)は、頼朝からの圧力を受けて変心。これによって奥州藤原氏すら信用できない状況になった義経は、京都への無理な脱走を図るほどに追い詰められていきました。
衣川館にて自害
そして1189年6月、藤原泰衡の軍勢が衣川館の義経一行を襲撃。弁慶をはじめとする忠臣たちは次々と討たれ、義経も衣川館に籠ったまま、一切抵抗することなく妻子とともに自害を果たしました。
享年は30歳。義経を討った奥州藤原氏も、ほどなくして頼朝に攻められて滅亡するなど、欧州全体が頼朝に翻弄された末の、悲劇的な死だったと言えるでしょう。
源義経の関連作品
おすすめ書籍・本・漫画
義経
歴史小説の大家である司馬遼太郎が義経を描く作品です。資料を重視する司馬氏らしく、重みのある物語が展開されて行きます。
下巻のラストは賛否両論ですが、義経の生涯に創作が多いということを知っていれば割と納得のいくラストでしょう。小説として義経に触れたいなら、まずはこれをお勧めします。
遮那王 義経
歴史に描かれる義経ではなく、漫画として義経の”If”を楽しめる作品です。『信長協奏曲』のような荒唐無稽な設定からスタートするため、あくまでエンタメとして義経を楽しみたい方にはぴったりでしょう。
少々中だるみする部分はありますが、シナリオが綺麗に少年漫画としてまとまっているのが最大の長所。歴史エンタメ好きの方にお勧めの作品です。
源平武将伝 源義経 (コミック版日本の歴史)
いわゆる『漫画で分かる日本史』シリーズの一冊です。そのわかりやすさや手に取りやすさは、最早説明する必要もないでしょう。
初学者向きのため情報は少なめですが、その分シナリオとして分かりやすく義経について学ぶことができます。お子様などにもお勧めできる一冊です。
おすすめドラマ
大河ドラマ 義経
タイトルからわかる通り、源義経を主役に据えた大河ドラマです。
心情描写が細やかであることから、細部に対する没入感が高く、脇を固める俳優陣の演技力の高さが何より特徴的。演出も割合現代劇に近いため、時代劇が苦手な方にもお勧めできる作品となっています。
源義経についてのまとめ
織田信長や坂本龍馬と並ぶほどに有名な英雄、源義経。「人気である」ということは知っていても、幼い頃の記録や頼朝との決別の原因など、知らない部分も多々ある人物だったのではないでしょうか?
実のところ筆者自身も、書きながら調べて初めて知った部分も多々あり、改めて義経という人物の奥深さと人気を知らしめられる結果となりました。
英雄と呼ばれることを成し遂げておきながら、割と人間臭い性格の悪さや短慮で墓穴を掘り、結果的に悲劇に突き進むことになった義経。たんなる”英雄”としても魅力的ではありますが、むしろ筆者としては人間味のある実像があった方が、より魅力的に見える人物であるように思います。
それではこの記事にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。この記事が皆様にとって、何かしらの学びとなっていれば光栄に思います。