水魚の交わり
これも劉備と諸葛亮の関係から生まれたことわざです。召し抱えたばかりの諸葛亮はまだ若年にも関わらず、劉備はいつも諸葛亮に意見を求めていました。しかし、古参武将である関羽・張飛からすればその状況が面白くありません。あまりにも諸葛亮を頼りにしすぎているのを見かねた2人が、劉備に向かって「あの若造のどこがいいのだ?」と尋ねると、次のように答えたと言われています。
孤の孔明有るは、猶魚の水有るがごとし
自分を魚にたとえ、諸葛亮を水に例えたのです。ここから、「水魚の交わり」ということわざが生まれたのです。
苦肉の策
意外と知られていないのが「苦肉の策」が三国志演義由来だということです。
三国志演義の中でも最大の戦いである赤壁の戦いで、呉の軍師である周瑜(しゅうゆ)が、同じく呉の老臣である黄蓋(こうがい)を、曹操が送り込んだスパイの前でむち打ちにして仲違いを疑わさせた計略が「苦肉の策」。黄蓋は負傷したものの、この様子を見たスパイからの報告を受けた曹操は、「呉も大したことはない」と油断してしまうきっかけとなったのです。もちろんこれは計画のうち。まんまと乗っかってしまった曹操は、赤壁の戦いで大敗してしまいました。
死せる孔明、生ける仲達を走らす
孔明(こうめい)とは諸葛亮、仲達(ちゅうたつ)とは司馬懿のことを表します。この2人の関係性をよく表した名言です。
五丈原の戦いのさなか、星の動きで司馬懿は、諸葛亮が死んだことを判断し、一気に攻撃に出ました。実際このころには、「諸葛亮は虫に生である」というスパイからの報告も受けていました。しかし、いざ攻め入ってみると、そこには現代で言う車いすに乗った諸葛亮を先頭にした蜀軍の姿が。死んだはずだと思った人間が目の前にいて面食らった司馬懿は、慌てて撤退し、蜀軍も撤退しました。
その後、諸葛亮はすでに亡くなっており、陣の前に出てきたのは人形だと知った司馬懿は、顔を赤らめて悔しがったと言われています。死んでもなお、ライバルを恐怖に追いやった諸葛亮の、見事な計画と言えます。
三国志演義に関連する書籍・映画
三国志演義は、今もなお小説や映画がたくさん作られる人気の小説です。また、三国志演義そのものにつて説明を加えたものも少なくありません。ここでは、三国志演義に関連する書籍や映画をご紹介します。
三国志演義 1 (角川ソフィア文庫)
三国志演義の本編であり、NHK人形劇でも採用された立間祥介版の小説です。全部で4巻あり、非常に長く感じますが、人形劇の台本にもなった訳なだけに、すんなりと読めてしまいます。
三国志演義事典
三国志演義についての知識をより深堀したい人におすすめの一冊です。今回お話した三国志との違いや、名言・格言の解説はもちろん、詳細な地図や年表もついている愛蔵版の辞書です。
レッドクリフ PartI&II DVDツインパック
赤壁の戦いを描いたPartⅠと、その後を描いたPartⅡのハリウッド映画です。かなり脚色されている部分もありますが、三国志演義の特徴である人間模様はしっかりと表現された作品となっています。
三国志漫画おすすめ25選【おすすめから無料読み、エンタメ、ギャグ作品も】
三国志演義に関するまとめ
三国志演義について、その概要と、歴史書である三国志との違い、あらすじと名言についてお話してきました。歴史書ではないものの、その当時の人々の権力闘争や人間臭いシーン、ライバルとの戦い、そして騙し騙される数々のやり取りなど、挙げ始めれば枚挙にいとまがない、圧巻の小説です。
詳しくなくても、内容をまったく知らなくても、いつでも入れる三国志演義を、この機会にぜひ楽しんでもらえればと思います。同時に、興味の湧いた人は、歴史書の三国志も読んでみることをおすすめします。