庵野秀明とは、日本のアニメーター・映画監督です。彼は平成を代表するアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の監督として知られ、その他にも多くのアニメ映画や実写映画の制作に携わり、活躍の場を広げています。
現代において、アニメ文化は日本が世界に誇る技術の1つとして挙げられますが、その歴史を語る上で庵野秀明の存在を欠かすことはできません。
また、彼は奇抜で独特な映像表現や、人間の内面を抉るような心理描写を得意としており、アニメの中に実写映像を挟むなど大胆な演出を盛り込むことがあるのが特徴です。そのようなエキセントリックな作風が、1990年代のアニメ界に革命を起こすきっかけとなったのかもしれません。
この記事では、そのような彼の人物像や経歴、功績について紹介していきます。また、庵野秀明にまつわる名言や逸話についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
庵野秀明とはどんな人物か
名前 | 庵野秀明 |
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別名義 | あんの ひであき、 アンノ ヒデアキ、 空母そ・そ・そ・そ |
誕生日 | 1960年5月22日 |
生地 | 山口県宇部市 |
配偶者 | 安野モヨコ |
学歴 | 大阪芸術大学芸術学部 映像計画学科中退 |
庵野秀明の生涯をハイライト
まずは庵野秀明の生涯を簡単に解説しましょう。
山口県宇部市で生まれ、幼い頃より絵を描くことが大好きだった庵野秀明は、中学高校は美術部に所属しており、大学は大阪芸術大学芸術学部へ進学しました。その後、自主制作アニメに没頭していた彼は、大学を中退して上京する決意をします。
就職活動の結果、彼は宮崎駿監督の下でアニメーターとして働くことが決まりました。そして、様々なアニメ作品の制作に関わりながら経験を積み、1984年に仲間と共に株式会社ガイナックスを設立。1990年には、初のテレビシリーズである「ふしぎの海のナディア」の総監督を務めました。
そして、1995年に彼の代表作として第一に挙げられることが多いSFアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の放送が開始します。その結果、独特な世界観やストーリーが話題となり、様々な賞を受賞するに至りました。しかし、彼はこの作品の終了後に燃え尽きてしまい、深刻な鬱状態に陥ってしまったのです。
その後、仲間や友人の支えによって精神状態は回復し、活動を再開します。そして、実写映画や新たなテレビアニメシリーズの監督を務めた後に、漫画家の安野モヨコと結婚。2006年には、株式会社カラーと映像制作のためのスタジオカラーを設立し、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの制作を開始したのです。
それ以降、彼は新劇場版シリーズの制作を続けながら、特撮作品である「ゴジラ」や「ウルトラマン」のリブート映画を手掛けていきます。そして、多くの若者の心を掴み、世代を超える人気アニメとなった「エヴァンゲリオン」シリーズは2021年に完結を迎えたのです。
子供の頃に「ウルトラマン」や「宇宙戦艦ヤマト」の影響を受けた
少年時代、庵野秀明は「ウルトラマン」や「宇宙戦艦ヤマト」などの往年の名作を見て育ち、それらの作品の影響を強く受けました。また、彼は漫画も大好きであり、特に少女漫画を好んで読み漁っていたようです。
彼が6歳の頃、円谷プロダクション制作の特撮ドラマ「ウルトラQ」が始まり、その半年後に始まった「ウルトラマン」は大ヒットを記録しました。当時、まだ幼かった庵野秀明は、壮大な空想特撮の世界にのめり込んでいったのです。
そして、彼が14歳の多感な時期を迎えた頃に、SFアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の放送が始まりました。この作品との出会いは、人生を変えるほどの衝撃があったと彼は語っています。
爆発・メカ・心理描写の天才と評される
独特の作風で人気がある庵野秀明は、爆発シーンやメカの造形、人間の内面を抉り出すような心理描写を得意としており、天才と評されることもあります。また、電柱や信号、道路標識などの風景を短いカットで挿入するシーンが多く見られるのも特徴の1つです。
この3つの得意分野は、前述した「ウルトラマン」や「宇宙戦艦ヤマト」にもよく見られる特徴であり、これらの名作が彼の創作に大きな影響を与えていることは間違いありません。しかし、独自の風景描写などを用いることで、彼は独自の世界観を表現することに成功しているのです。
また、アニメを制作する際、彼自身が作画を担当することもあり、その場合には得意分野である建築物や機械、ロボット、爆発シーンを中心的に描いています。一方で、人物の作画は苦手と公言しており、現在ではアニメキャラクターを描く機会はあまりないようです。