第二次世界大戦の原因やきっかけは?当時の各国の状況も詳しく紹介

3.「持たざる国」が窮地に立たされた事

日本では「昭和恐慌」と呼ばれ、特に農村部が大打撃を受けた
出典:SharewisPLESS

世界大恐慌においって領土や資源を“持っている国”は自国で経済立て直しを図ることが可能ですが、日本・ドイツ・イタリア等植民地を“持たざる国”は、ブロック経済を行えませんでした。

特にドイツは第一次世界大戦の敗戦のため巨額の負債を抱えており、その上世界恐慌でアメリカ資本が次々とドイツを撤退。一度持ち直し始めていた経済は再度転落してしまったのです。

イタリアの首相ムッソリーニが先駆けで、後にドイツや日本もファシズム国家といわれた
出典:Wikipedia

同じように日本やイタリアも植民地や資源を持たないために、自国で経済を立て直すことは出来ませんでした。そのためにこれらの国は、国の存続のために「軍国主義」へと向かうこととなります。軍の力で侵略することによって、領土や資源を得ようと考えるのです。軍国主義を「ファシズム」といいますが、日独伊を代表するファシズム国家は資源や領土を求めて戦争を仕掛けていくこととなりました。

4.ファシズム思想が急速に広まったこと

ムッソリーニとヒトラー
出典:Wikipedia

第一次世界大戦が終わった後頃から、徐々に「持たざる国」を中心に急速にファシズム思想が浸透していきました。このファシズム思想により、日・独・伊は急速に軍国主義への道へと突き進んでしまいます。

そもそもファシズムとは?

ファシズムのシンボル(イタリアのファシスト党のマーク)
出典:Wikipedia

そもそも「ファシズム」とは、簡単に言うと「個人の利益よりも国の利益を優先する」という考え方です。具体的には、

  • 個人の自由よりも国が勝つことを優先する
  • 個人の自由よりも国の植民地が増えることを優先する

という個人よりも「国」を大事にするというものでした。ファシズムの語源はイタリア語の「ファッショ(束)」という意味から来ています。つまり個人が「束となる」ことにより、より強い「国家」を作るという考え方が「持たざる国」を中心に芽吹いていったのです。

独裁者は国民の愛国心に訴えかけ戦争を先導していった
出典:マナペディア

国を優先するという考え方により、「自国ファースト」を掲げ他国の侵略も辞さない強硬姿勢が取られ、第二次世界大戦が始まる原因の一つとなってしまいました。

イタリアとドイツで独裁者が現れた

1942年に「国家総力戦」を演説するヒトラー、垂れ幕には「総力戦」と書かれている
出典:Wikipedia

こうした「ファシズム思想」を掲げ、大衆動員を積極的に行い、市民的自由や権利を無視しして国家利益を求めて、反対派を弾圧する独裁者が登場します。代表されるのがイタリアの「ファシスト党」のベニート・ムッソリーニと、「ナチ党」のアドルフ・ヒトラーです。この2国は自らが所属していた党以外を解散させ、「一党独裁体制」を作っています。

そして2国は世界恐慌からの不景気を回復するために、イタリアはエチオピアを攻撃。そしてドイツはポーランドへ侵攻していき、第二次世界大戦へと繋がっていったのです。

日本では「天皇制」を強く押し出した

日本も軍国主義へと突き進んでいくことになった
出典:Wikipedia

この時日本では、イタリアやドイツと違う形で思想が広がっています。日本は太平洋戦争の敗戦まで天皇制を強く押し出し、「立憲君主制」から天皇中心とした仕組みへシフトしていき、再編成されました。

そのような軍国主義は「日本ファシズム」と呼ばれ、国民の思想的にも軍国主義へと突き進んでいきます。そして1937年の盧溝橋事件(ろこうきょうじけん)をきっかけに日中戦争が起こると、資源を求めて南アジアを占領していき、第二次世界大戦に参戦していったのです。

5.国際連盟が上手く機能しなかったこと

1924年に撮影された国際連盟本部
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第一次世界大戦後に、世界の秩序を守るために「国際連盟」が発足しましたが、いまいち機能せずに終わってしまいました。「国際連盟が失敗だった」といわれる原因として挙げられている理由は3つです。

国際連盟が機能しなかった理由1:アメリカなどの有力国が参加していなかったから

モンロー宣言を行ったアメリカのモンロー大統領
出典:Wikipedia

そもそも提唱したアメリカが、最後まで国際連盟に加入していませんでした。理由はアメリカはヨーロッパの政治に干渉しない「モンロー主義」を掲げており、アメリカの世論が国際連盟の加入を望まなかったためです。

またソ連も、国際連盟に参加していませんでした。ソ連は1934年に加盟していたものの、1939年に除名されています。この巨大な2国がもし国際連盟に加入していたならば、また歴史が変わっていたのかもしれません。

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国際連盟が機能しなかった理由2:全会一致の法則を採用していたから

国際連盟総会を退場する松岡洋右外交官
出典:歴memo

国際連盟は何かを決めるときに、「加盟国全ての賛成を得る」必要がありました。当時、国際連盟には約60か国が参加していましたが、参加国全てが賛成しないと次に進むことができなかったのです。

結果として、何か提起しても全会一致しないと決まらないため多くの問題が解決せず、そして方針に沿わない国は次々と脱退していく事態となってしまいました。

国際連盟が機能しなかった理由3:軍事力が行使できなかったから

現在は平和維持活動のために国際連合は軍を指揮している
出典:Wikipedia

国際連盟は、指揮下の軍を持っていませんでした。そのためどこかの国が独裁政権を敷いたり、国際法に反したとしても、軍による制裁をくわえることができなかったのです。そしてあくまで問題国には、「口頭での注意勧告」を行うのみとなってしまっていました。これは特に一触即発だった当時の国家間では、大して抑止力にならなかったのです。

この反省から、現在ある「国際連合」では連合の指揮下にある軍を所持し、PKO(平和維持活動)を目的として活動しています。

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3 COMMENTS

匿名

とても分かりやすかったです!
できれば、戦後の日本について紹介してくれませんか?

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匿名

資本主義はいずれああなる、市場をもとめて拡張する。日本も三菱の経営のために海外拡張してた。そしてドイツを破ったのはソ連だった、まるで社会主義が資本主義より優越というイメージできた。だから世界の社会主義を封じるため、冷戦を進める米国の一部。日本も実際戦後は冷戦植民地となったわけだ。<ポツダム宣言>に戦後日本の新政府の成立のあと連合国名義で駐在する占領軍全部撤退と明記したが。ルーズベルト大統領は冷戦する気なく、ソ連の配慮してたと考える。しかし戦後まで生きられなかった。

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