是枝裕和
現在第一線で活躍する日本人監督の中で、特に国内外で評価が高いのが是枝裕和です。全ての作品で監督・脚本・編集を兼ねており、撮影の中で役者が自然に発するセリフを大事にし、子役には台本を渡さず、口頭で伝えて芝居を作っていく手法をとっています。
2004年に公開された「誰も知らない」は、第57回カンヌ国際映画祭で、主演の柳楽優弥が弱冠14歳で最優秀主演男優賞を受賞したことで大きな話題になりました。
「万引き家族」は2018年に公開され、第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞しました。
ポン・ジュノ
韓国の映画監督として有名なポン・ジュノは、様々なジャンルのオリジナル作品を生み出し、数多くの映画賞を受賞しています。脚本家を兼ねており、誰もがその世界に引き込まれるストーリー性は特に高く評価されています。娯楽性と社会性のバランスが取れた作風は、世界的に見ても唯一無二の作品です。
「パラサイト 半地下の家族」は2019年に公開され、第72回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したほか、第92回アカデミー賞、第77回ゴールデングローブ賞、第44回日本アカデミー賞を受賞しています。
ポール・トーマス・アンダーソン
寡作でありながらも世界三大映画祭で監督賞を受賞する経歴を持った、才能あるアメリカ人監督です。脚本も自分で執筆します。撮影では、コストのかかるフィルムカメラしか使わないために、製作のための資金調達も自ら行っています。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」は2008年に公開され、第58回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞したほか、第65回ゴールデングローブ賞と第80回アカデミー賞にもノミネートされました。
新海誠
繊細で美しい風景や人の心の機微をアニメで描き、新世代のアニメ監督と言われる新海誠は、国内ではもちろん、アメリカの雑誌で注目すべきアニメーターとして取り上げられるなど、世界的にも評価が高いです。
興行収入250億円の歴史的大ヒットとなった「君の名は。」は、2016年に公開されました。劇中で使われた、計算し尽くされたようなRADWIMPSの音楽も話題になりました。
デイミアン・チャゼル
アメリカ出身のチャゼルは、史上最年少でアカデミー賞監督賞を受賞しました。もともとジャズドラマーを目指していたこともあり、音楽を扱う作品が高く評価されていますが、夢を叶えるために犠牲を払う悲哀を描くストーリー性も、観客の心を惹きつけているようです。
「ラ・ラ・ランド」は2017年に公開されました。冒頭のミュージカルシーンはもちろん、ストーリーの見事な着地まで絶賛された今作は、第74回ゴールデングローブ賞と第89回アカデミー賞の各賞を総なめにして、大きな話題となりました。
有名な映画監督に関するまとめ
どの監督にも個性がありますが、影響を受けた映画監督の作品を見ると、さらにその監督についての理解も深まります。例えばジャン=リュック・ゴダールが溝口健二に私淑していたのは有名ですし、ウォン・カーウァイと是枝裕和は成瀬巳喜男の作品をリスペクトしています。スティーヴン・スピルバーグは、自身の映画制作に入る前には必ず黒澤明の作品を見ると公言しています。
どんな映画を観ようかと迷った際、もし好みの映画監督がいるのなら、その人が尊敬してやまない監督の作品を観てみるのもいいですね。きっと自分の映画の世界が広がりますよ。