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元禄文化とは?特徴から代表する人物・作品、化政文化との違いまで解説

日本陶芸史に名を残す「野々村仁清」

狩野派風の月梅図を描いた野々村仁清の代表作の一つ「色絵月梅図茶壺」
出典:トーハク

野々村仁清は天才と呼ばれる陶工です。高いろくろ技術を持っていたため、陶器の姿が大変美しいだけではなく、色絵付けを大成させ、京焼(今でいう清水焼)に大きな影響を及ぼしました。洗練された優雅な作風は多くの人に絶賛され、今も残る作品はほとんど国宝や重要文化財に指定されています。

浮世絵を登場させた「菱川師宣」

菱川師宣の代表作「見返り美人図」
出典:wikipedia

庶民が気軽に手に取れる浮世絵を芸術作品の地位に押し上げたのは菱川師宣です。版画浮世絵は墨刷り一色ではあるものの、大量生産されて安くで買えたため、人気を博します。絵の具を使った肉筆の美人画は特に多くの人に愛され、菱川師宣の描く美人こそ江戸の女性だと言われるほどでした。

菱川師宣とはどんな人?生涯・年表まとめ【作品や功績、浮世絵の確立までの経緯なども紹介】

江戸幕府根幹の思想を生み出した「藤原惺窩」

藤原惺窩(1561〜1619)
出典:文化遺産オンライン

播磨出身の儒学者である藤原惺窩(せいか)は、鎌倉時代の歌人である藤原定家の子孫です。封建社会を維持していくための教学として、幕府や藩に重んじられた朱子学を学び、近世朱子学の祖とも言われます。特に藤原惺窩の一派は、京都で発展したために「京学」と呼ばれています。徳川家康に儒者として仕えた林羅山の師としても有名です。

神道と朱子学を結びつけた「山崎闇斎」

山崎闇斎(1618〜1682)
出典:wikipedia

山崎闇斎(あんさい)は、朱子学の一派である崎門(きもん)学派の創始者であり、垂加神道を唱えたことで知られています。土佐に起こった朱子学の一派である南学(海南学派)を学んだ後、会津藩主保科正之に招かれて重用されます。そこで出会った吉川惟足(これたり)に神道を学んだことから垂加神道を生み出したのです。

山崎闇斎を合祀した社がある下御霊神社
出典:京都観光Navi

朱子学と神道を融合させた垂加神道は、道徳性が高いのが特徴です。神の道と天皇の徳が一体であることを説いたため、幕末に尊王論の根拠とされました。崎門学派からは多くの優秀な門下生を輩出しました。幕末の有名な尊攘派志士である梅田雲浜もその一人です。

日本の陽明学の祖である「中江藤樹」

中江藤樹(1608〜1648)
出典:wikipedia

近江出身の儒学者である中江藤樹(とうじゅ)は、日本の陽明学の祖と言われます。もともと朱子学を学んでいましたが、陽明学の教えである「知行合一」という認識と実践の合一を説くことで、社会の矛盾を改めようとしました。この陽明学が、幕末において志士たちに多大な影響を及ぼし、彼らを倒幕運動へと駆り立てていくことになります。

陽明学とは?朱子学との違いも分かりやすく解説【名言や本も紹介】

独自の儒学を築いた古学派の「山鹿素行」「伊藤仁斎」「荻生徂徠」

山鹿素行(1622〜1685)
出典:文化遺産オンライン

儒学を始めた孔子や孟子の原典に立ち返り、今の幕藩体制に合う儒学を作ろうとしたのが、古学派と呼ばれる儒学者たちです。

京都にあった伊藤仁斎の塾「古義堂」
出典:文化遺産オンライン

武士道の確立に尽力した山鹿素行は聖学、個人の倫理を突き詰めようとした伊藤仁斎(じんさい)は堀川学派(古義学派)、道徳から離れて政治や社会の治め方を考え、政策を提言する学問の基礎を築いた荻生徂徠(おぎゅうそらい)は古文辞学派(蘐園学派)と、3つの流派があります。

社会の安定のため歴史学を確立させた「新井白石」「徳川光圀」

新井白石(1657〜1725)
出典:国立国会図書館

幕藩制社会における武士の役割を考えさせるため、歴史を考証する歴史学が確立したのも元禄時代です。6代将軍徳川家宣の元で正徳の治を行った新井白石は、「読史(とくし)余論」で徳川政権の正当性を説きました。

全部で397巻にも及ぶ「大日本史」
出典:wikipedia

水戸藩2代藩主徳川光圀は、100代の天皇の治世をまとめる「大日本史」の編纂を始めます。「大日本史」は明治時代にようやく完成するという大事業でした。「水戸学」とも呼ばれる尊王論が貫かれた歴史書であるため、幕末の志士たちが倒幕運動へと進んでいく思想的根拠となっていきます。

水戸黄門のモデル!徳川光圀とはどんな人?【性格や名言、死因、逸話について紹介】

役立つ学問である実学を修めた「貝原益軒」「渋川春海」「関孝和」

貝原益軒(1630〜1714)
出典:wikipedia

元禄時代に盛んになった朱子学は合理的な考え方をする学問であったことから、現実的な思考や実証的な姿勢に重きをおく学問が発達しました。

天体観測に使う天球儀の一種である渾天儀(こんてんぎ)
出典:文化遺産オンライン

動植物や鉱物の薬効を研究する「本草学」で知られる貝原益軒、日本独自の数学である「和算」を西欧数学の水準まで高めた関孝和、「暦学」で平安時代以来使用していた暦を一新した天文学者の渋川春海(安井算哲)は特に有名です。

元禄文化と化政文化の覚え方

どちらの文化も、出てくる人物が多くて覚えるのが大変ですよね。ここでは、元禄文化と化政文化に登場する特に重要な人物を、語呂合わせで覚える方法を紹介します。

元禄文化の語呂合わせ

菱川師宣の自画像
出典:wikipedia

元禄文化を語る上で欠かせない5人、近松門左衛門・井原西鶴菱川師宣・尾形光琳・松尾芭蕉の覚え方です。

「元禄は、近(近松門左衛門)い(井原西鶴)日(菱川師宣)を(尾形光琳)待つ(松尾芭蕉)」

化政文化の語呂合わせ

葛飾北斎の自画像
出典: 和樂web

化政文化は特に有名な7人の人物名をおさえておきたいですね。浮世絵師の喜多川歌麿、俳人で画家の与謝蕪村、滑稽本作者の十返舎(じっぺんしゃ)一九、浮世絵師の歌川広重と葛飾北斎、東洲斎写楽、そして俳人の小林一茶です。

「火星(化政文化)に来た(喜多川歌麿)よ(与謝蕪村)、じゅ(十返舎一九)うた(歌川広重)ん買っ(葛飾北斎)と(東洲斎写楽)こ(小林一茶)」

元禄文化の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

「雁金屋草紙」

尾形光琳と乾山兄弟の実家である呉服屋の雁金屋を舞台にした小説です。第一回時代小説大賞を受賞しました。尾形光琳は芸術家としては超一流ですが、人間的にはお金持ちのおぼっちゃまで、女性関係も派手な、波乱万丈の人生を送っています。小説ではあるものの、そんな尾形光琳の人間性を垣間見られる作品です。

おすすめの映画

「天地明察」

2010年に本屋大賞を受賞した冲方(うぶかた)丁の小説「天地明察」の映像化作品です。主人公の天文学者である安井算哲(渋川春海)を岡田准一が演じています。日本独自の太陰暦を生み出すまでに大変な苦労があったとはいえ、どこか楽しげな様子が見ていて面白く、堅苦しくない、良い意味で時代劇らしくない映画です。

おすすめドラマ

「ちかえもん」

近松門左衛門の「曽根崎心中」が生まれるまでを描いた2016年放映のNHKドラマです。脚本を担当した藤本有紀は、この作品で第34回向田邦子賞を受賞しました。作品を生み出すまでにスランプで引きこもってしまう情けない近松門左衛門を、松尾スズキが愛嬌たっぷりに演じています。脇役も個性豊かで、最後まで目が離せないドラマでした。

関連外部リンク

元禄文化についてのまとめ

元禄文化では、江戸幕府を維持していくために多くの学問が発達しましたが、皮肉なことにその一部が幕末において倒幕運動の中心的思想となっていきます。陽明学や垂加神道、水戸学は、元禄時代では道理と政治は別物として捉え、幕府に批判的なものではありませんでした。しかし幕末において、幕藩体制を否定するために多くの志士たちが心の拠り所としたのがこれらの思想でした。

このように、元禄文化は歴史を突き動かした、大きなパワーを持った文化でした。それは学問に限ったことではなく、芸術は時代を超えて引き継がれていくものが数多く生まれました。尾形光琳が確立した琳派は、今も世界中のデザイナーにインパクトを与えています。初代市川團十郎の歌舞伎芸は継承され続け、近いうちに第十三代市川團十郎が誕生する予定です。

元禄文化は今も展覧会や舞台芸術で触れる機会が多い文化です。この記事をきっかけに、元禄文化に興味を持って、楽しむ機会が増えるようになったら嬉しいです。

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