7:『Hi Ho Around The Campfire』
『Hi Ho Around The Campfire』とは、白雪姫に登場する7人の小人たちがキャンプファイヤーを囲んでいる様子を描いた絵です。小人それぞれの衣服や周りの木々、キャンプの炎などが非常にカラフルに描かれています。
「キャンプファイヤーを囲んだハイホー」という題名通り、不気味な題材が多いジョン・ゲイシーの絵の中でも比較的楽しげな作品です。本作品にはゲイシーによって「私と同じくらい絵を楽しんでください」と書いてあります。
文章から注文によって描いた絵だと分かりますが、33人の若い子どもたちを殺害した人物の言葉です。ゲイシーがどのように楽しんで絵を描いたのか考えると恐怖で身震いがします。
8:『Mickey Mouse』
『Mickey Mouse』とは、ウォルト・ディズニーが創作したことで有名なネズミのキャラクターです。ジョン・ゲイシーの絵では帽子を持ったミッキーが両手を広げて挨拶している様子が描かれています。
ジョン・ゲイシーは同じウォルト・ディズニーのキャラクターであるミニーマウスの絵も描きました。ミニーの絵には「あなたのために楽しんだのと同じように絵を楽しんで」と書かれているため、ミッキーの絵も誰かの注文で描いた絵かもしれません。
しかし、本作品もミニーマウスの絵も『Hi Ho Around The Campfire』と同じく子ども向けの題材です。子どもを何十人も殺害したゲイシーの絵だと分かれば、素直な気持ちで絵を楽しむことはできません。
9:『Honkers In The Sun』
『Honkers In The Sun』は、日向の雁(ガンという鳥)という意味であり、太陽で黄色く染まった空を飛ぶ鳥たちを描いた絵です。風景画でありながら、本作品もカラフルな色彩は他の作品と変わりません。
黒で描かれた鳥や木々を霞ませるほど強い黄色の色味が非常に印象的です。一見すると美しく見える風景画ですが、左下のゲイシーの気味の悪い濃い赤のサインから嫌でも連続殺人鬼の描いた絵だと分かります。
10:『Elvis』
『Elvis』は、ロックスターのエルビス・プレスリーの肖像画です。エルビスは1950年代から1970年代に活躍した歌手であり、当時のアメリカ社会における大スターでした。
ゲイシーが描いたエルビスの絵はマイクを片手に歌う姿であり、リーゼントヘアや襟を強調した衣装などエルビスの特徴をよく捉えています。しかし、背景があまりにも濃い赤色である点から、ゲイシーが殺人鬼であることを連想してしまうかもしれません。
11:『Ed GEIN』
『Ed GEIN』は、アメリカのシリアルキラーであるエド・ゲインの肖像画です。エド・ゲインは2人を殺害しただけでなく、墓場を荒らして死体を盗む残忍な犯行を行った連続殺人鬼として知られています。
本作品で描かれたエド・ゲインの目は閉じられており、故意か事故かは分からないものの顔には赤い絵の具が飛んでいます。血しぶきのようにも見える点から不気味に感じる人も多いでしょう。
12:『Christ』
『Christ』とは、神の子イエス・キリストの肖像画です。イバラで作られた冠を被ったイエス・キリストの絵が強い筆圧で描かれています。
イバラの冠はキリストが処刑される際に被っていたものであり、受難を表すものです。キリストの全体像ではなくイバラの冠が目立つように描かれている点から、ゲイシーの心の闇が見受けられます。
執筆お疲れさまでした。
美術って不思議なもので、特定の個人が描くことで価値が出る、なんてことが起きるのですよね。
ジョン・ゲイシーという凶悪犯が描いたから、皮肉なことに、この作品群は価値が出てしまったと言えますね。
一見するとカラフルなピエロの絵ですけどね。
ただ、そんな絵が、死刑囚が描いた作品ということで、人々の興味を集めてしまったと。
確かに、被害者や遺族の方々からすると、不快ですよね。
砂川さんへ
お読みいただき、ありがとうございます!いつもコメントをくださって嬉しいです。
確かに「ジョン・ゲイシーがシリアルキラーだった」ゆえに絵が有名になったことは否めないですね。描いてある絵も添えた文章もそれだけを見れば普通の画家の作品です。しかし、作者がジョン・ゲイシーで何をした犯罪者であるか知ったあとは全く見方が変わりますね。
本当に遺族の皆さんには耐えられないことと思います。
細部まで読んでくださってありがとうございます!