アリストテレスの功績
功績1「論理学を体系化した」
アリストテレスは経験を重視していました。
そして、さまざまな経験から真実を見出すために論理学という独自の学問を体系化しました。アリストテレスが生み出した論理学は真理を追い求める道具として多くの人に長年利用されてきました。
彼の論理学は完成度が高く、現代でもほぼそのままの形で残っています。身近な例をあげるとスマホを動かすプログラミング言語に使われているのも、元を辿っていけばアリストテレスの論理学です。
アリストテレスの生み出した論理学の完成度について、18世紀のドイツの哲学者カントは
アリストテレス以来、論理学は進歩も退化もしなかった
と述べました。今からおおよそ2400年も前に生み出された論理学が、そのまま使われているなんて驚きですね。
功績2「あらゆる学問分野に影響を与えた」
これに関しては、前までのトピックで紹介してきたとおりです。現在存在する学問分野のほぼすべてに影響を与え、一説ではキリスト教に代表される一神教の世界観にも影響を与えたとされています。
現在の研究分野をザックリとみると「文系と理系」といった括りがあらゆる場所で見受けられますが、それらの学問のほぼ全てを研究し、生物学分野にすら「アリストテレスの提灯」という構造の名を残していることなどからも、彼の凄まじい探究心は読み取れると思います。
功績3「アレクサンドロス大王の「生涯の師」」
日本列島15個分にもわたる面積を征服した、マケドニア王国の大王・アレクサンドロス3世。実はアリストテレスは、幼い頃のアレクサンドロスと後の配下たちに様々な学問を教えた家庭教師でもありました。
アレクサンドロスはアリストテレスの事をたいそう尊敬していたらしく、「ピリッポス2世から生を受けたが、王として誇り高く生きることはアリストテレスから学んだ」などの言葉を残しているほか、遠征先からアリストテレスに、その土地土地の研究資料を送るなど、生涯にわたって交流を続けていた様子が明らかになっています。
アリストテレスと関係が深い人物
師匠の師匠「ソクラテス」
ソクラテスは「哲学の祖」と呼ばれた西洋最大の哲学者の1人です。
アリストテレスとソクラテスの関係は、一言で表すなら孫弟子と大師匠です。アリストテレスの師匠プラトンがソクラテスの弟子であるため、関係としてはそうなりますが、2人の間に直接的な交流はありませんでした。
というのもアリストテレスが生まれる前にソクラテスが亡くなっているからです。
直接的な交流こそありませんでしたが、ソクラテスを師として仰いでいたプラトンから哲学を学び、独自の理論を体系化しているためアリストテレスにとっては大先生に当たるのかもしれませんね。
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師匠「プラトン」
先述した通り、プラトンはアリストテレスの師匠で、彼の人生に最も影響を与えた人物です。プラトンは師匠のソクラテス、弟子のアリストテレスと共に西洋最大の哲学者の1人に数えられ、イデア論を説いた哲学者です。
アリストテレスはプラトンが創設したアカデメイアで20年間、学問に打ち込み自身の理論を構築していきます。師匠仲は良好で、アリストテレスは師匠のことを尊敬しており、プラトンもアリストテレスのことを高く評価していました。
とはいえ打ち立てた理論は正反対。プラトンの観念論に対し、アリストテレスは真逆の経験論を重視しました。
なぜ師匠に背くような理論を打ち立てたのか、はっきりとした理由は分かりませんが、おそらくアリストテレスはプラトンの直感的な理論についていけなかったのではという意見があります。
より詳しくお話しすると、プラトンのイデア論は「なぜイデアが存在するか」について説明されていなかったのです。アリストテレスはこの部分が納得できず、論理学を体系立てたのではないか、と言われています。
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アリストテレスの生徒アレクサンドロス大王
アレクサンドロス大王は古代ギリシャのマケドニア王国の王です。
アリストテレスとの関係は先生と生徒で、アリストテレスは彼にあらゆる学問を教えました。アレクサンドロス大王はアリストテレスのことを大変尊敬し、彼がアテナイへ戻ると「リュケイオン」の創設を助けたり、博物学の研究を手伝いました。
アリストテレスもアレクサンドロス大王からの要請で『王道論』や『植民論』を書いて送っています。この交流はアレクサンドロス大王が亡くなるまで続き、良好な関係を築いていました。
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アリストテレスの名言
すべての人間は生まれつき知ることを欲する
アリストテレスの言葉として、かなり有名な一説です。
「philosophy(哲学)」の語源となった言葉でもあり、アリストテレスという人物の思想が詰まった、これ以上ない言葉だと言えるでしょう。
すべての人間は政治的(ポリス的)動物である
これもアリストテレスの言葉として有名な一説です。
一件だけではよくわからない言葉ですが、「アリストテレスの政治学」を理解してから見ると、その本当の意味が理解できる、ある種の”指標”のような言葉でもあります。
幸せかどうかは、自分次第である
これ単体だと、ある意味普通の人生訓のようですが、アレクサンドロス大王のエピソードと合わせると面白い言葉です。
アレクサンドロス大王は、無欲な哲学者と接した後に「自分がアレクサンドロスでなければ、この無欲な哲学者として生きたい」と言ったのだとか。
この言葉を残したアリストテレスと、実際に「そうありたい」と口にしたアレクサンドロス。歴史の連続性を感じて少し面白くなる言葉ではないでしょうか。