近衛文麿とはどんな人?生涯・年表まとめ【政策や戦争責任、スパイ説や死因も紹介】

1945年 – 54歳「青酸カリを服毒して自殺する」

近衛家の墓所

青酸カリを服毒して自殺する

12月6日にはGHQからの逮捕命令が近衛に伝えられます。近衛は出頭には応じず、最終日の12月16日に青酸カリを服毒して自殺したのです。

近衛の自殺直前の様子は、「近衛文麿の死因は?戦争責任を問われて自殺したって本当?」で述べた通りです。

近衛の遺書

近衛は前述した通り、死の前日に遺書を遺しています。内容の一部は以下の通りです。

僕は支那事変以来、多くの政治上過誤を犯した。之に対し深く責任を感じて居るが、所謂戦争犯罪人として、米国の法廷に於て、裁判を受けることは、堪へ難い事である。

近衛は日中戦争から帝国国策遂行要領に至るまで、様々な政治的失敗をしたものの、第二次近衛内閣の頃からは日米交渉に真剣に取り組んでいました。

その交渉先のアメリカから戦犯容疑をかけられる事は近衛にとって耐え難いものだったのです。この遺書は翌日にGHQに没収されるのでした。

近衛文麿の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

近衛文麿 野望と挫折

近衛は一般的には「優柔不断」「弱い人間」という評価が定着していましたが、本書は近衛が内に秘めた野心や思想等、今まで隠された暗部について詳細な資料で考察しています。

本書は登場人物も多く、ある程度歴史についての知識がないと分かりにくいかもしれません。その分近代史を学んでいる人からすれば唸らせる内容になっています。

日米戦争を策謀したのは誰だ! ロックフェラー、ルーズベルト、近衛文麿 そしてフーバーは──

日米開戦に至る経緯を国内の問題だけでなく、アメリカやソ連等、世界規模で考察した書籍です。戦時中の出来事は未だに日米関係に影響を与えています。全てが線で繋がる時、今までの歴史観がひっくり返るかもしれません。

われ巣鴨に出頭せず―近衛文麿と天皇

近衛について好意的に書かれた伝記です。この伝記では近衛家の当主として、総理大臣として苦悩する様子が描かれています。本書を読むと近衛に対して違った印象を受けるかもしれませんね。

おすすめの動画

近衛文麿夫人の千代子と近衛秀麿夫人の泰子 毛利高範子爵の娘

本記事ではあまり取り上げる事が出来なかった千代子夫人との馴れ初めについて紹介されています。家族との知られざるエピソードも紹介されており、総理大臣としての近衛とは違う印象をうけるでしょう。

おすすめの映画

終戦のエンペラー

昭和天皇がいかにして戦争責任を回避したのかを、フィクションを織り交ぜながら描いた作品です。終戦直後の日本をアメリカの時点で描くという点で、非常に珍しいものと言えます。 近衛を演じたのは中村獅童であり、孫の細川護熙にも似ていると言われていました。現地での撮影でも近衛のビジュアルは絶賛されており、是非とも視聴してください。

スパイ・ゾルゲ

ゾルゲ事件をテーマにした作品であり、尾崎秀実を本木雅弘、近衛文麿を榎木孝明が演じています。3時間以上の大作ですが、派手さはなくドキュメンタリーに近い作品です。篠田正浩の引退作品でもありますね。

おすすめドラマ

負けて、勝つ〜戦後を創った男・吉田茂〜

2012年に放送されたドラマであり、吉田茂を主人公にしています。近衛は作品の序盤から登場。演じているのは能楽師の野村萬斎です。1話目は憲法作成から自殺までの一連の流れが描かれ、準主役級の活躍をしています。

白洲次郎

2009年に放送されたドラマであり、戦前は近衛の秘書でもあった白洲次郎を主人公にした作品です。近衛を演じたのは岸部一徳でたり、感情を表に出さない演技が印象的でした。こちらでは戦前の様子として軍部に屈し、和平交渉に奔走する近衛の姿が見られます。

経世救民の男

日本の経済を作った高橋是清、小林一三、松永安左エ門〜に焦点を当てたドラマです。近衛が登場するのは三作目の松永安左エ門〜であり、演じているのは利重剛です。物語は戦後の復興をテーマにしている為、出番は少ないものの、近衛との関わりは松永に大きな影響を与えた事が分かるのです。

関連外部リンク

近衛文麿についてのまとめ

今回は近衛文麿の生涯について紹介しました。近衛は優柔不断な政治家だったのか、大衆の支持のもとに動くポピュリストだったのか、はたまた共産主義者だったのか、未だに評価は定まっていません。

ただ言えるのは近衛は日本が戦争に至る原因を作った人物であり、その責任は大きいという事です。仮に近衛が哲学者になっていれば、その後の歴史が大きく変わっていた事は間違いありません。

その点では近衛もまた運命に翻弄された1人という事でしょう。今回の記事を通じて近衛文麿に興味を持っていただけたら幸いです。

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