1943年 – 71歳「島崎藤村死去」
終の住処である大磯へ
戦陣訓に関わった翌月の1941年2月に、藤村と静子は神奈川県の大磯に移り住みます。藤村はこの地で「東方の門」を執筆。青山半蔵と縁のある人物が主人公の作品ですが、完結する事はありませんでした。
藤村死去
1943年8月21日、藤村は大磯の自宅で脳溢血を発症。藤村は薄れゆく意識の中で静子と庭を眺めつつ、最期の言葉を静子に言いました。
涼しい風だね
その後藤村は深く昏倒し、目覚める事はなく22日0時35分に死去したのです。
島崎藤村の関連作品
おすすめ書籍・本・漫画
藤村が執筆した作品は既に記事内で解説しているので、こちらの項目では藤村にまつわる書籍等について紹介していきますね。
破戒-まんがで読破-
「本は苦手だけど、藤村の作品について知りたい」そう考える人も多いかもしれません。こちらは藤村の代表作「破戒」を漫画版にしたものです。被差別部落問題という大きなテーマを読みやすくしています。
ラストも小説版と異なり、希望が見える形で締められており、新たな解釈として原作を読んだ人にもおススメしたいです。
島崎こま子おぼえがき
こま子の生涯を克明に記した一冊。新生に出てくる節子はこま子をモデルにしていますが、事実と異なる点も多々あります。こま子のその実像に迫ると共に、小説では明かされなかった島崎家の裏側についても探れる一冊です。
文豪春秋
明治〜昭和期の文豪達は型破りで破天荒な人物が多く、時に物議を晒しました。本作は藤村を含めた30人の文豪達の破天荒なエピソードを漫画にしています。この本を通じて、他の文豪達にも興味を持っていただけたら幸いです。
激動の生涯を送った島崎藤村。このサイトでも藤村が執筆した作品を既に紹介しています。こちらも参考にしてみて下さいね。
島崎藤村のおすすめ本・小説9選【代表作品から詩集、写生文や紀行文まで】
おすすめの動画
国語「鳥海浩輔が読む、島崎藤村『初恋』(おまけは大人版)」【朗読】
声優の鳥海浩輔が読み上げる「初恋」です。鳥海の声と共に初恋の詩と現代語訳も流れる為、初恋の意図を知る上でもおススメの動画です。おまけとして大人バージョンの初恋の朗読もあるので、最後まで視聴しましょう。
島崎藤村の「破戒」を巡る、藤村と高野辰之との確執(1998年作品)
高野辰之とは有名な童話「故郷」を作詞した人物です。藤村との間には確執があり、その過程を詳しく記した動画です。藤村の生まれ育った町や、正樹の墓など、資料的にも価値のある動画になります。
馬籠宿 ”島崎藤村の生地”
藤村の生まれ育った中山道の馬籠宿。その現在の姿を紹介した動画です。藤村の生まれた時代と発展状況は違うものの、木曾路はすべて山の中であるという事実は現在でも変わりないと言えるでしょうね。
おすすめの映画
破戒(1968年版)
破戒は過去に何度か映画化やドラマ化がされています。本作は1962年版で、主演は大映の時代劇スターである市川雷蔵です。年月が経っても往年の名作は色褪せず、是非観て欲しい作品です。
夜明け前
夜明け前は1953年に映画化されており、青山吉左衛門を伊達信が、青山半蔵を滝沢修が演じました。毎日映画コンクール撮影賞を受賞した名作ですが、DVD化はされていません。いつかDVDで観る機会があれば良いですね。
この他の作品として、2013年に家が映画化されています。しかしDVDは数量が少なく、レンタルや購入は難しいのが現状です。こちらもいつか観る機会があれば良いと感じています。
関連外部リンク
島崎藤村についてのまとめ
今回な自然主義文学の開拓者である島崎藤村の生涯について解説しました。藤村の作品は藤村の人生そのものであり、藤村の苦悩や葛藤が余す事なく書き綴られています。
確かにこま子との関係やパリへの逃避行等は、当時でも強い批判を浴びています。それでもなお、自分の体験を小説にする事は並大抵の覚悟がなくては出来ません。破戒や夜明け前は現在においても読むに値する作品なので、是非とも一読して欲しいものです。
そして今回の記事を通じて島崎藤村に興味を持っていただけたら幸いです。