滝廉太郎とはどんな人?生涯・解説まとめ【性格や代表作品、死因や都市伝説についても解説】

「荒城の月」を作曲。歌詞は土井晩翠が担当

荒城の月(本動画は山田耕筰がアレンジしたもの)

荒城の月は日本で初めて日本人が西洋音楽の旋律を使用した曲です。そのために歴史的な意義も大きいのです。

滝が「荒城の月」を作曲したのは1901年。中学校唱歌に応募するために作られたものでした。歌詞は土井晩翠という詩人が担当しています。

歌詞の一題目は以下の通りです。

春高楼(こうろう)の花の宴(えん) めぐる盃(さかずき)かげさして

千代(ちよ)の松が枝(え)わけいでし むかしの光いまいずこ

歌詞のテーマは「江戸から明治へ時代が変わりゆく事」です。タイトルになっている「荒城」とは戊辰戦争で旧幕府軍が新政府軍に敗北して、主人を失った城の事を指します。

歌詞は「七音・五音を繰り返す七五調」です。これは古今和歌集にも用いられるリズムです。この曲は従来の日本の旋律である「ヨナ抜き音階(四度と七度の音階がない)」ではなく、「西洋音楽の旋律」で作られています。

ちなみに作詞した土井晩翠は歌詞のイメージを、仙台藩の青葉城址、会津藩の鶴ヶ城址、富山藩の富山城等から引用したとされています。

そして滝は曲のイメージを自分が育った大分の岡城址、富山藩の富山城から引用しています。この曲は、彼らの経験や感情が化学反応を起こして生まれたのですね。

「箱根八里」を作曲!難解な歌詞に込められた思い

箱根八里

滝は1900年に「箱根八里」も作曲しています。作詞は鳥居枕という人物が担当しました。題名の箱根八里は旧東海道にある小田原宿から箱根宿までの四里と、箱根宿から三島宿までの四里を合わせたものです。

この曲には「タンタタンタ」と跳ねるようなリズム、三連符のリズムなど、気分が盛り上がるリズムが使われてきます。滝の曲の中でも特に人気が高く、唱歌に掲載されてから多くの中学生が「箱根八里」を口ずさみました。

歌詞は以下になります。

箱根の山は、天下の嶮(けん)

函谷關(かんこくかん)も ものならず

萬丈(ばんじょう)の山、千仞(せんじん)の谷

前に聳(そび)え、後方(しりへ)にささふ

雲は山を巡り、霧は谷を閉ざす

昼猶闇(ひるなほくら)き杉の並木

羊腸(ようちょう)の小徑(しょうけい)は苔(こけ)滑らか

一夫關に当たるや、萬夫も開くなし

天下に旅する剛氣の武士(もののふ)

大刀腰に足駄がけ

八里の碞根(いはね)踏みならす、

かくこそありしか、往時の武士

歌詞は東海道の難所と、中国の地名や歴史となぞらえているのです。

歌詞に出てくる函谷関は中国の都市・長安に行く時の関所です。函谷関は王朝を守る為に絶対に守らないといけない場所です。つまり箱根の関所を函谷関の難所になぞらえて表現しているのですね。

他にもさまざまな意味が込められています。ぜひ歌詞にも目を通して欲しいですね。

滝廉太郎の功績

功績1「西洋音楽と日本式のメロディの融合!音楽家の革命児となる」

ピアノを演奏する滝廉太郎

滝の功績は西洋音楽と日本語の歌詞をうまく融合させた事です。

明治時代には洋食や鉄道など、さまざまな西洋文化が輸入されています。それは音楽も同様でした。明治時代にはたくさんの西洋の唱歌が日本に伝わりました。

ただ日本語と英語は音節やアクセント、拍の取り方が異なります。西洋唱歌の歌詞を日本語に翻訳して歌うと、ぎこちなさや違和感が目立ったのです。

文部省は1879年に音楽教育の研究機関を立ち上げました。ただ西洋音楽をベースにして日本人が曲を作る事は難しかったようです。そんな時に彗星のように現れたのが滝廉太郎でした。

滝が作曲した「荒城の月」等の楽曲は1901年に発行された「中学唱歌」に収められます。この曲集はベストセラーになりました。滝の曲は旧制高等学校や大学の応援歌の手本になり、唱歌の普及に大きく貢献しました。

滝の作った曲が日本の音楽を変えたのです。

功績2「教会に駅のチャイム!世界各地で楽曲が使われている」

荒城の月をカバーしたスコーピオンズ

滝の楽曲は死後100年以上が経過しても皆に愛されています。そして世界各地で使われているのです。

例えば滝の故郷大分県の豊後竹田駅では、荒城の月が駅の音楽として使われています。世界に目を向ければ、ベルギーのシュヴトーニュ修道院の聖歌としても歌われているのです。

また世界的ロックバンドのスコーピオンズが1978年に来日した事がありました。その時に荒城の月をカバーし、話題を呼んだ事もあったのです。

他にも箱根八里は箱根の防災無線チャイムや、箱根登山電車の発車メロディにも採用されています。そして箱根に観光に来た私たちを出迎えてくれます。滝の曲は世界中に広まり、今日もどこかで歌われているのです。

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