音楽史とは?西洋クラシックから日本まで年表順でざっくり解説!

この時代の有名音楽家

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ:1685年~1750年

日本では「音楽の父」とも呼ばれているバッハ

ヨハン・ゼバスティアン・バッハは生涯に1000曲以上作曲したバロック時代最後の巨匠です。協奏曲や室内楽などはテレマンなどの当時のヨーロッパの最先端の様式を踏襲しながらも、バロック時代初期のようなポリフォニー音楽(多声音楽)的な楽曲も多く制作しています。

当時の人々からすると「バッハという人は、古いやり方で曲を作る人だな」という印象だったかも知れません。しかし初期バロックから後期バロックまでの様式を熟知して曲を作っていたバッハは、後世の私たちからすると「バロック時代を大きく網羅してまとめあげた人」という見方ができます。彼の没年である1750年がバロック音楽の終わりであると一般的に考えられています。

J.S.バッハ「ミサ曲ロ短調」

この頃の日本の音楽

安土桃山時代から江戸時代にかけて

この頃の日本の音楽史も、生き生きとした動きが見られます。室町時代初頭には観阿弥・世阿弥親子によって能が大成されました。能は元々曲芸などから発展した「猿楽」をベースとした総合芸術で、美術、演劇、踊り、音楽の要素が含まれます。

安土桃山時代には出雲阿国という男装の巫女が踊った「かぶき踊り」が全国的に流行し、様々な変遷を経て江戸時代に「歌舞伎」として発展しました。

バッハやヘンデルの時代は日本では江戸時代に当たりますが、この時代は鎖国によって日本独自の文化が強く現れました。また階級制度が強固になるのと同じくして、音楽も次第に「雅楽は公家の音楽」「能は武士の音楽」「三味線や琴は庶民の音楽」などど音楽のジャンルも階級別に分類されました。

加えて音楽家たちにも階級意識が定着し、演奏者の序列や家元制度などが一層厳格に扱われるようになりました。現代でも琴や三味線などは流派によって奏法などが違いますが、このような排他的な意識が多彩な流派を生み出したと言えるようです。

古典派音楽:1730年頃~

知性や理性を重視する啓蒙時代が訪れると、音楽でも楽曲全体のバランスや、無理のない理性的な展開が重視されるようになり、ソナタ形式などの形式的な音楽が発展しました。また「グレゴリオ聖歌」から続く「教会旋法」という調性からはじめて離れ、音楽として機能的な響きを追求するようになりました。

大貴族のお抱え音楽家として活躍し、「交響曲の父」と呼ばれたハイドンや、「神童」として名高いモーツァルト、そして音楽史の大きな分岐点ともいえるベートーヴェンなどが代表的な人物です。

この時代の有名音楽家

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:1756年~1791年

モーツァルト この肖像画はモーツァルトの死後に想像で描かれました。

モーツァルトは当時の「ギャラント様式」や「ロココ様式」の流行を反映した軽やかで愛らしい楽曲を多く作曲しました。またオペラにおいても、現在でも人気のある作品を数多く生み出しています。

当時はグルックという作曲家によって「オペラ改革」が行われていました。それまでは人気歌手による「歌優先・歌手ありき」のオペラが作られることが多かったのですが、グルックは歌手の人気や技量だけに頼らず、作品として総合的に面白い作品を目指して制作しました

クリストフ・ヴィリバルト・グルック(1714年~1787年) ドイツで生まれ、オーストリアやフランスで活躍しました。

モーツァルトもこのような作風に習い、ウィットに富んだ楽しいストーリーと、隅々まで豊かな音楽に満ち溢れたオペラを制作しました。「フィガロの結婚」「ドン=ジョバンニ」「魔笛」など、私たちにも馴染みのあるオペラ作品が多くあります。

Mozart – The Marriage of Figaro Overture (K.492) モーツァルト オペラ「フィガロの結婚」序曲

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:1770年~1827年

「楽聖」などとも称される

ベートーヴェンは西洋音楽史において極めて重要な人物の一人です。それまで音楽家の存在は「依頼された作品を作る雇われ人」でしたが、ベートーヴェンの存在によって、音楽家は「自らの意志で作品を作る、独立した一人のアーティスト」であるという認識が広まりました。

20代の頃のベートーヴェンはハイドンやモーツァルトなどの影響を受けた作風でしたが、フランス革命を経てどんどん変遷していく芸術の価値観や、難聴など自身の苦難を乗り越えようとする精神性の変化によって、ありのままの感情を発露するような独自の作風へと変化していきました。

そのためベートーヴェンは「古典派からロマン派への橋渡しをした存在」などとも言われています。音楽史的に作品や人物を考えるとき、「ベートーヴェンより前か、後か」というのはとても大きな分岐点なのです。

Beethoven – Symphony No. 5 (Proms 2012) 交響曲第5番「運命」

シンプルながら強烈なインパクトを持つ曲です。

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3 COMMENTS

Michie

西洋音楽の歴史を、グレゴリア聖歌から、ルネッサンまで一気に聞かせていただきました。
学生の頃講義で習いましたが、メロディの流れがこのように変化していったのか!と納得。大変勉強になりました。グレゴリア聖歌とお経が似ているというのは全くその通りだと思います。人間の願いは共通なのですね。

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