音楽史とは?西洋クラシックから日本まで年表順でざっくり解説!

現代の音楽:1950年〜

二度の世界大戦は、音楽界にも大きな打撃を与えました。もちろん戦時中に亡くなった音楽家もいれば、戦争の混乱によって楽譜や資料なども多く紛失しました。

第二次世界大戦中には音楽の中心地の一つであるオーストリアがドイツに併合され、ドイツ語圏ではユダヤ人の作曲家の作品が無かったことのようにされたり、ワーグナーの楽曲がナチス・ドイツのプロパガンダに利用されたりと、現代にも根を下ろす深い問題を生み出しました。

戦後のクラシック音楽については、ポピュラー音楽との台頭も相まってまとめることはとても難しいです。愛好家のためにハイカルチャー的、あるいはサブ・カルチャー的に徹する傾向もあれば、ポピュラー音楽に積極的に迎合する傾向もあります。

この時代に活躍した音楽家

ジョン・ケージ:1912年〜1992年

晩年のジョン・ケージ

ジョン・ケージはアメリカで活躍した作曲家です。シェーンベルクに2年間師事し、1940年代にグランドピアノの弦に異物を挟んで打楽器のような音を変化させる「プリペアド・ピアノ」を考案しました。またハーバード大学の「無響室」に入り無音の空間の中で自分の体内の音を聞いた経験から「4分33秒」という楽曲を生み出しました。

この「4分33秒」とは曲の演奏時間である4分33秒の間、演奏者が全く楽器を弾かず最後まで沈黙を通す楽曲です。悪ふざけとも捉えられることが多いこの曲ですが、聴衆が自ら発する音、ホールの内外から聞こえる様々な音を意識させるための意図があり、また、コンサート会場が一種の権力となっている現状に対しての異議申し立てでもあるのです。

ジョン・ケージ「4分33秒」

その頃の日本の音楽

昭和になると日本では戦争が激しくなるにつれて、音楽を奏でたり勉強したりすることは「贅沢なこと」であり、露悪的なことと見なされました。また、政府の政策によって外国文化を見下し、自国の文化を盲目的に尊ぶ風潮がありましたが、一方で音楽教育の教材はほとんど洋楽であるという矛盾を抱えていました。

戦後国内が落ち着気を取り戻すにつれてようやく日本の伝統音楽への再認識の声が高まりました。最近では邦楽・洋楽という観念を打ち破る作品が生み出され、また芸術音楽とポピュラー音楽の融合も積極的にされています。世界的に見ても日本の音楽は独自性の強い歴史を持ち、また独自の発展を遂げているといえるでしょう。

武満徹 ノヴェンバー・ステップス

和楽器とオーケストラを融合させた楽曲。保守的な日本の音楽界では不評でしたが、ストラヴィンスキーに評価され世界的な好評を得るようになりました。

もっと音楽史を知りたいあなたにおすすめの書籍

執筆にあたって、参考とした書籍をご紹介します。

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書) 岡田 暁生

今回通史を執筆するにあたり、沢山参考にさせていただきました。時代ごとに著者が変わる音楽史の本が多い中、こちらは一人の筆者が中世から現代までを全てに渡って執筆されています。

そのため史観にブレがなく、時代ごと分断されている感覚もなく、著者のユーモラスな文体も相まって楽しくあっという間に読み終わる一冊です。

決定版 はじめての音楽史: 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで 片桐 功

こちらは実際に音楽系の高校などでも教科書として使用されており、20年以上に渡って何度も改訂されているロングセラーです。

どうしても「教科書感」は否めませんが、図説が多くわかりやすいことと、日本の音楽史についても西洋音楽史と同じくらいの質量で書かれているため独自性があります。クラシック音楽がお好きな方は、一冊家にあると辞書的に使えてとても便利な一冊です。

音楽史に関するまとめ

私たちがクラシック音楽と呼ぶ「西洋芸術音楽」の歴史について、筆者自身勉強中の身ながらも愛情を込めて執筆させていただきました。こうして歴史を通して振り返ると、その時代の人々の雄叫びが聞こえてくるような、生々しい息吹を感じます。

この記事が皆さんにとって、何かのお役に立てると光栄です。長い長い記事でしたがお付き合いいただき、ありがとうございました。

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3 COMMENTS

Michie

西洋音楽の歴史を、グレゴリア聖歌から、ルネッサンまで一気に聞かせていただきました。
学生の頃講義で習いましたが、メロディの流れがこのように変化していったのか!と納得。大変勉強になりました。グレゴリア聖歌とお経が似ているというのは全くその通りだと思います。人間の願いは共通なのですね。

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