シャーロック・ホームズとはどんな人?生涯・年表まとめ【名言や小説も紹介】

女嫌いで有名だったホームズ

短編小説『ぶな屋敷』で依頼人の女性と対面するホームズたち
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当時のイギリスは現在よりも階級社会の影響が色濃く残っていましたが、ホームズは依頼人の階級で仕事を選り好みすることはありませんでした。しかし、女性に対してだけは紳士的に振る舞いつつもどこか冷ややかな態度を貫きます。

ホームズは作中で次のような女性蔑視とも取れる発言をしており、女嫌いではないかと読者に思わせていました。

Women are never to be entirely trustedーnot the best them.
女はとかく安心ができない。よほど立派な女でもねぇ。

And yet the motives of women are so inscrutable.
(Omission)… Their most trivial action may mean volumes, or their most extraordinary conduct may depend upon a hairpin or a curling tongs.
とはいうものの、女の考えることばっかりはわからないものでねぇ。(中略)…女はほんの些末な動きの中に、大きな意味があったり、とんでもないことをやらかすから、調べてみたらヘヤピン一本のためだったり、カール鏝のためだったり、まったくわからないものだよ。

短編小説『覆面の下宿人』の挿絵
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このようにフェミニストとはいえないホームズですが、その一方でヴィクトリア朝の英国紳士らしく弱者を助けるという意味では女性に関しても同じように接しています。

短編小説『覆面の下宿人』では家庭内暴力の末に顔の大半を失った女性を慰めたり、短編小説『赤い輪』では変な下宿人に困っている女主人の話を嫌々ながらも聞き事件解決に導きました。

ホームズは女性という生き物に不信感を抱きながらも、決して見捨てたりはしない紳士的精神を宿していたのですね。

シャーロック・ホームズが世にもたらした功績

功績1「現代推理小説の原型を作る」

ホームズは探偵小説・推理小説の祖
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シャーロック・ホームズが世にもたらした功績としてまず挙げられるのは、推理小説のジャンルを確立させ現代推理小説の原型を築いたことでしょう。

ホームズが登場する以前は小説家エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』をはじめとして、短編から長編作品まで様々な推理小説が発表されていました。しかし、その多くが人間関係や動機に焦点を当てたもので「ただの娯楽小説」という枠を抜け出せずにいたのです。

そんな中で作者コナン・ドイルが探偵シャーロック・ホームズを生み出しました。ずば抜けた推理力や観察眼を駆使して事件を解決するホームズの姿は非常に現実味があり、犯罪が多発していた19世紀当時の人々にとって非常に心強い存在となります。

短編集『シャーロック・ホームズの冒険』の初版本
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また、変人の探偵と平凡な相棒という組み合わせも読者を惹きつける要素となりホームズ作品は階級や年代を問わず人気を得ました。ホームズの人気の高さによって、推理小説は確固たる地位を確立したのです。

アガサ・クリスティーをはじめとする多くの作家たちがホームズの影響を受けて作品を執筆。「常識的な相棒」「主人公探偵のライバル」や「偽装殺人」など、ホームズ作品で用いられたキャラクター構成やトリックは現代における推理小説の原型となりました。

功績2「科学的な犯罪捜査法を広めた」

化学実験を行う学生時代のホームズ:Wikipedia

架空の名探偵であるシャーロック・ホームズですが、実は現代における科学的な犯罪捜査法を広めた第一人者として知られています。

ホームズが登場した19世紀の警察制度はまだまだ不完全なものであり、特別な教育を受けずに警官となった人々であふれていました。当然のことながら犯罪捜査方法も杜撰なものであり、主に自白や目撃証言によって被疑者を逮捕していました。

しかし、ホームズが登場するとそれまでの犯罪捜査が一変したのです。作者ドイルが医者であったためか、ホームズ作品では当時最先端の科学的方法で捜査を行うホームズの姿が描かれました。

ホームズは指紋分析の重要性も熟知していた
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ちなみに、ホームズは作中で下記のような犯罪捜査を行なっています。

  • 犯罪現場の保存
  • 足跡や指紋の分析
  • 筆跡鑑定やタイプライターの文字鑑定
  • 殺人に使われた凶器の実験
  • 犬を使った追跡

19世紀当時はいずれも発展途上の捜査方法であり、ホームズが現在の犯罪学と法科学*の先駆者的存在であることが分かりますね。当時はホームズの捜査方法を学ぶよう学生に教える専門家もいたほどです。

現代でもホームズの犯罪捜査は捜査官ならび専門家たちの高い評価を受けています。シャーロック・ホームズが現代における科学捜査の礎となったことは間違いないでしょう。

*法科学
犯罪捜査において法廷で認められる証拠分析を行う方法。

功績3「シャーロキアンの誕生」

シャーロック・ホームズ博物館の外観
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架空の人物であるにもかかわらず、シャーロック・ホームズには「シャーロキアン」または「ホームジアン」と呼ばれる熱狂的なファンが存在します。彼らはシャーロック・ホームズ関連の団体を次々と結成。その数は400以上にものぼります。

最も有名なシャーロキアン団体は1934年にアメリカで設立された「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」とイギリスで設立された「シャーロック・ホームズ協会」ですね。日本にも「日本シャーロック・ホームズ・クラブ」があり、現在も活動中です。

シャーロック・ホームズ博物館の内観(ホームズの部屋)
出典:Wikipedia

シャーロキアンたちはホームズ作品を「正典」と呼んでシャーロック・ホームズを実在の人物として作品を研究*したり、ホームズ所縁の地を巡ったりしています。

*シャーロキアンの研究
作中にあるホームズの台詞をもじって「グランド・ゲーム」といわれる活動。ホームズの家族構成や下宿先の住所、『最後の事件』から『空き家の冒険』までの「大空白時代」などを考察・研究して発表している。

シャーロック・ホームズの作中名言

I am a brain, Watson. The rest of me is mare appendix.
僕は頭脳そのものだ。ほかの部分はただの付属物にすぎないのさ。

これは短編小説『マザリンの宝石』に登場する台詞です。作中でホームズは「脳に血液を行き渡らせるため」という理由で食事を控えており、自分の「頭脳」をより高めようとしていることが分かります。ホームズのストイックな一面が描かれた場面ですね。

You see, but you do not observe. The distinction is clear.
君はただ眼で見るだけで、観察ということをしない。見るのと観察するのとでは大ちがいなんだぜ。

これは短編小説『ボヘミアの醜聞』でホームズがワトソンに向かって言った台詞です。この場面でホームズは玄関から部屋へ続く階段の数をピタリと言い当てました。これが観察しているか単に見ているだけかの違いであり、探偵にとって観察力は不可欠だとホームズが証明してみせた場面といえるでしょう。

How often have I said to you that when you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth?
すべての条件のうちから、不可能なものだけ切りすててゆけば、あとに残ったものが、たとえどんなに信じがたくても、真実でなくちゃならないと、あれほどたびたびいってあるじゃないか。

これはホームズ作品の中でも特に有名な言葉です。短編小説『四つの署名』をはじめ複数の作品で登場しており、ホームズの推理法に深く関わっています。また、真実がどんなに信じたくない事柄であっても受け入れるべきであると私たちに教えてくれる言葉でもありますね。

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2 COMMENTS

m.A

こちらの記事を参考にしつつ、『シャローック= ホームズの冒険(上)』を読み終えました。1日1〜2話ペースで読むのが個人的には合っていました◎

短い話の中で、毎回読者を飽きさせない不思議な事件からのホームズの鮮やかな推理が魅力的でした。
特にお気に入りは『ボヘミアの醜聞』と『赤毛連盟』です☺︎
また他の話も手に取ってみたいと思います。

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岩野祐里

m.Aさんへ
こちらの記事も読んでいただき、誠にありがとうございます!

『シャーロック・ホームズの冒険』を読み終えたとのこと。記事を参考にしていただけて嬉しいです!私自身も「ボヘミアの醜聞」「赤毛連盟」は内容がすぐに思い出せるほど好きですよ。他の作品も、お好きな時間帯にご自身のペースで読み進めてみてくださいね。

私の記事を参考にシャーロック・ホームズの面白さを知っていただけたならばこんなに光栄なことはありません。これからも、興味惹かれる記事をお届けできるよう精進いたします。コメントいただきまして、本当にありがとうございます!

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