墾田永年私財法とは?目的や現代語訳、制定された背景もわかりやすく解説

墾田永年私財法にまつわる都市伝説

墾田永年私財法について一通りの理解が深まったでしょうか。続いては墾田永年私財法にまつわる都市伝説について触れていきます。

都市伝説① 「墾田永年私財法は今でも有効?」

明治天皇の東京行幸
出典:Wikipedia

これは墾田永年私財法の効力が今でも生きているという都市伝説です。つまり墾田永年私財法は「正式に中止」されていないので、「今でも有効である」というのが都市伝説の主張するところです。

結論から言えば墾田永年私財法は既に効力を失っています。なぜなら明治時代以降は「何年何月何日制定、法律第何号」と登録されたものだけが有効であると取り決められたからです。つまり明治時代になった時点で墾田永年私財法は失効しました。

今回は1069年の荘園整理令までしか墾田永年私財法の経過を話す事は出来ませんでしたが、それ以降も荘園制度は続いていました。

荘園制度自体は1580年に豊臣秀吉により行われた太閤検地で土地の権利関係が整理され、終わりを迎えたとされます(廃止した法律はないので、一応明治までは制度的に存在はしていました)。

都市伝説② 「渋谷は墾田永年私財法と書かれた看板がある?」

現在は設置されていないものの、2021年2月中に看板が設置されていたのは事実です。この看板は株式会社 明治が「受験生の声を集めた屋外広告」を、渋谷駅前や東京メトロ銀座線の車内などに展開したものでした。

墾田永年私財法の看板が注目を浴びたのは、2月3日に「東京都防災の公式ツイッター」が「外出の自粛」を呼びかけた時に、墾田永年私財法の看板が後方に移っていた事がきっかけでした。瞬く間にそのツイートは話題となったのです。

ちなみに受験生の声の一つが「受験勉強で覚えた『語感の気持ちいい言葉』」であり、その一つが墾田永年私財法でした。その他には「移動する点P」や「すぐ出家する」など、数学や古典の「あるあるな事」が看板化されました。

受験が終わると共に看板は撤去されており、現在は墾田永年私財法の看板を見る事は出来ません。もしかしたらまた次の受験シーズンにお目にかかる事ができるかもしれませんね。

墾田永年私財法の理解を深める関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

藤原氏―権力中枢の一族

朝廷を裏で支配し続けた藤原氏。その繁栄の理由についてついて掘り下げた一冊です。内容的には藤原一族の群像劇であり、墾田永年私財法に大きくページが割かれているわけではありません。

ただ墾田永年私財法や荘園制が藤原氏、ひいては日本史に与えた影響についても学べる書籍です。分かりにくい古代史の理解が深まるかもしれませんね。

律令国家と隋唐文明

墾田永年私財法は律令国家の原則である「公地公民制」を崩壊させるきっかけを作った法律です。律令国家とは何か、ルーツは何かという基本的な部分を学んでおくと、墾田永年私財法が生まれた経緯も理解しやすいかもしれません。

景観からよむ日本の歴史

私達が何気なく目にする景観には、それぞれの歴史があります。古地図を通じて景観を見れば、私達が住んでいる場所も荘園や墾田という事もあるかもしれません。景観の中に存在する歴史をこの本から学んでほしいと思います。

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