5位:仁保事件-1954年
仁保事件は、1954年10月26日に裕福な農家の家族6人が殺害された事件です。鈍器で顔面を殴られた上、頸部や胸部を刃物で刺されており、布団は血染めの状態になっていました。警察は、物盗りか遺恨説で捜査を進めたものの捜査は難航します。
結果的に消去法で選ばれた男性を、警察は過去の窃盗で全国に指名手配して逮捕。男性は、拷問まがいの取り調べで自白を行い、1962年に死刑判決が下ります。ただ男性の供述は事実誤認が多いと判断され、1972年には無罪判決がくだり、男性は釈放されました。
結果的に、真犯人は捕まる事はなく、事件は迷宮入りとなったのです。
事件の考察、犯人像
事件のあった室内では、3人の足跡が発見されており、鏡台の引き出しが開いていました。また一家の当主の男声は、裕福ゆえに女性関係が派手で有名でした、物盗りも遺恨もどちらの説も信憑性があるものの、犯人の人物像は謎なままです。
警察は、男性を冤罪で逮捕する前に第一発見者の主婦の夫も逮捕しています。ただ、勾留期間中に確たる証拠を挙げられずに夫は保釈。新聞は「警察は無能」と報道する等、世間の目は厳しいものがあったのです。
警察が、冤罪の男性を無理やり逮捕したのは、「何としても事件を終結させる」という焦りがあったと思われます。
関連書籍
仁保事件で、男性が釈放されるまでの期間は実に17年。その過程には、本人だけでなく彼を支援する多くの人達の努力がありました。本書は支援者たちの動向について掘り下げられています。冤罪はあってはならない事だと、私達に伝えてくれる一冊です。
4位:首都圏女性連続殺人事件-1968年~1974年
首都圏女性連続殺人事件は、1968年から1974年にかけて千葉県、埼玉県、東京の関東圏で発生した婦女暴行殺人事件の総称です。この期間中に、11件の類似事件が発生しています。加害者とされる血液型はO型であり、警察は事件の大半が同一犯と判断しました。
1974年に、前科持ちの小野悦男という男が逮捕されます。状況証拠も揃っており、警察は彼に執拗な自白を強要。11件の事件のうち、1件で起訴され、1986年に無期懲役が確定します。ただ自白が問題となり、小野は1991年に釈放され、ヒーローになりました。
ただ事件はこれで終わりではありませんでした。小野は1992年に窃盗で逮捕され、1996年に41歳の女性を殺害(足立区首なし女性焼殺事件)して再逮捕されます。小野はこの事件では犯行を認め、無期懲役の判決が下りました。
事件の考察、犯人像
11件の事件のうち、1件は別人が犯人である事が発覚しましたが、残りの10件は時効が成立しています。小野が再逮捕された時点で、「この中の何件かは小野が行ったのではないか」という疑惑は再浮上しており、おそらくそれは間違いないでしょう。
ただ小野は全ての事件への関与を否定しており、真相は闇の中です。
関連書籍
一度釈放された小野は、「冤罪のヒーロー」と呼ばれるようになり、冤罪被害の会などの講演を開いています。本書は小野が執筆した書籍であり、自らの無実を主張したものです。
ただ彼は、再び事件を起こした人間です。改めて本を読むと、彼の歪んだ人間性が見えてきます。事件を起こす人間が、どのような文章を書くのか。反面教師として読むのが良いかもしれません。
3位:世田谷一家4人殺害事件-2000年
2000年:世田谷一家4人殺害事件
世田谷一家4人殺害事件は、2000年12月30日深夜に発生した殺人事件です。世田谷区上祖師谷の民家に何者かが侵入し、住人である夫婦と2人の子ども計4人が惨殺されました。
幼い子どもさえもメッタ刺しにし、犯人は犯行後に同じ室内でアイスを食べた形跡があったことから、事件の異常性が伺えます。犯人の血液や指紋が採取され、着衣が畳まれた状態で残されていたにも関わらず、逮捕には至っていません。
今事件には懸賞金がかけられ、現在も懸命な捜査が進められています。
事件の考察、犯人像
犯人のDNAから、外国人の可能性があります。また、残された着衣のサイズから、身長は170cm程のやせ型。遺留品から警察が推測した年齢は、15〜20代の男性とされています。
また、犯人は犯行時に右手に怪我を負っており、不審な男が栃木県日光駅で目撃されたという情報も。世田谷一家4人殺害事件は、残忍性や世紀末の年末に起こった事件だったことから、現在でも度々メディアに取り上げられています。
関連書籍
「世田谷一家殺人事件 韓国マフィアの暗殺者 (角川文庫)」は、著者である一橋文哉が事件を追った末に執筆した渾身のノンフィクション作品です。韓国マフィアとの関係性とは?真実に迫ります。
2位:歌舞伎町ビル火災-2001年
歌舞伎町ビル火災は、2001年9月1日に歌舞伎町の雑居ビルで発生した火災です。44人が死亡し、3人が負傷する等、戦後の日本で発生した火災としては5番目の被害です。出火場所は3階の麻雀店であり、ここでは賭博も行われていたようです。
出火原因は放火とされ、出火時刻にビルから立ち去る不審な人物の目撃情報がありました。ただ他に有力な手がかりはなく、出火原因は未だに明らかになっていません。
事件の考察、犯人像
火事が放火の場合、現段階では3つの犯人像が推測されています。1つ目は麻雀賭博に負けた腹いせ説、2つ目は再開発計画の後押し説、3つ目は反社会勢力の縄張り争い説です。歌舞伎町は、様々な勢力が暗躍する場所であり、何があっても不思議ではないのです。
関連書籍
歌舞伎町ビル火災の秘話をまとめた一冊です。実は歌舞伎町では火災の後も、ボヤ騒ぎが10件程起きており、歌舞伎町の店主たちは「逃げた放火魔」に怯えていました。彼らを含めて、犯人を知っている人は多いのかもしれません。
本書を読む事で、事件前後の歌舞伎町の状況や、歌舞伎町に潜む様々な影について学ぶ事が出来るでしょう。
1位:パラコート連続毒殺事件-1985年
パラコート連続毒殺事件は、1985年4月から11月にかけて、全国で発生した無差別殺人事件です。パラコートとは除草剤として使用される農薬であり、自動販売機の受け口に放置されたパラコート入ジュースを飲み、計13人が死亡しています。
当時は飲食の安全に対する意識が現代よりも低く、開封済みを確認する人も少なかったとか。多くの被害者が放置された飲料物を持ち帰り、飲んだ後に倒れています。懸命な捜査も虚しく、すべての事件が未解決のままです。
死亡人数や、日本国民全体に与えた影響を踏まえるなら、この事件は未解決事件の中でもトップクラスに凶悪なのではないでしょうか。
事件の考察、犯人像
パラコート連続毒殺事件は全国で発生し、大勢の死者を出しました。当時は防犯カメラの設置率も低く、犯人が単独か複数なのかもわかっていません。
しかし、当時パラコートは18歳以上かつ身分証提示をすれば、農協で購入が可能でした。そのため、18歳以上で農協に詳しく、埼玉や大阪周辺に住んでいる者と推測されています。住居地については、埼玉や大阪での発生が多かったため。指紋や遺留品なども見つからず、犯人は不明のままとなっています。
関連書籍
タイムスリップした主人公が、父の冤罪をはらす為、宮城県音臼村で起きた事件に迫るドラマとなっています。本ドラマでは、無差別殺人事件が発生しますが、それらは実際の事件を元ネタにしています。その中の一つがパラコート連続毒殺事件でした。
様々な未解決事件を知る事で、こうしたドラマや映画の理解が更に深まります。このドラマ自体は、内容もとても面白い為、機会があれば視聴する事をオススメします。
TV番組「追跡プロジェクト」の影響は?
未解決事件を解決に導くためには、有力な目撃証言が重要になります。そして事件解決が難しい中、TV番組の呼びかけによる、新たな調査も進んでいるのです。
残された遺族が熱望する犯人逮捕。TV番組「追跡プロジェクト」は、遺族の気持ちに答えるよう事件解決に貢献しているのです。下記では、「追跡プロジェクト」について解説します。
追跡プロジェクトとは
「追跡プロジェクト」とは、NHKで過去不定期に放送されているTV番組です。番組では未解決事件の詳細を紹介し、一般からの情報提供を呼びかけながら進められます。
電話による通報、「似た人を知っている」などの目撃証言などが寄せられ、実際に事件解決に繋がった事例もあるのです。直近では、電話の他にもSNSが活用されています。
2015年には元SMAPの草なぎ剛がMCを務め、番組出演者たちと熱い議論を交わしました。
番組を通して解決された事件
「追跡プロジェクト」には、番組中から終了後にかけて、さまざまな情報が寄せられます。そして、平成27年〜30年にかけて、6件の事件が解決しているのです。
解決日 | 事件名 |
---|---|
平成30年 4月17日 | 広島県廿日市市女子高生殺人事件 |
平成28年 12月27日 | 島根女子大生殺人・死体遺棄事件 |
平成28年 3月12日 | 中野区マンション劇団員女性 殺害事件 |
平成28年 3月3日 | 千葉県習志野市女性殺害事件 |
平成27年 8月27日 | 銀座2千万円ダイヤ指輪窃盗事件 |
平成27年 5月19日 | 杉並区コンビニエンス強盗未遂事件 |
今後も、1件でも多い事件解決を祈っています。
未解決事件日本に関するまとめ
日本では、20件に1件が未解決になると言われています。「三億円事件」や「グリコ森永事件」などはあまりに有名ですが、現在でも多くの事件が未解決のままです。
事件を取り上げるメディアは多数存在し、捜査に協力しています。当記事をきっかけに、未解決事件は身近にあるという認知と遺族の心情、捜査への強い思いを知って頂けると幸いです。
今でもたくさんの未解決事件があるのですね.ビックリしました