寺山修司とはどんな人?生涯・年表まとめ【短歌や名言、死因も紹介】

寺山修司の生涯年表

1935(昭和10)〜1948(昭和23)年 – 1〜12歳「両親との別離」

寺山修司の故郷・青森県三沢市にある寺山修司記念館

父の死

1935年12月10日、寺山修司は八郎・はつの長男として青森県弘前市紺屋町に生まれました。しかし戸籍上では1936年1月10日出生となっています。この理由を寺山は母から「おまえは走っている汽車のなかで生まれたから」と聞かされました。

もちろんこれは母の冗談で、実際は警察官だった父の仕事が忙しく、産後の保養で母が外出できなかったため、届出が遅くなったのが理由でした。しかし寺山は、このエピソードに執着していたようで、ことあるごとに話をしています。

1941年、父・八郎は南方へ出征します。寺山は母と共に青森市へ転居しました。聖マリア幼稚園に通います。1942年には青森市橋本小学校に入学しました。この年の12月には太平洋戦争が勃発しました。

1945年7月28日夜に起きた青森空襲

1945年の青森大空襲で焼け出され、三沢の親戚を頼って引越し、学校も古間木小学校へ転校します。この年、父・八郎が9月2日に戦病死したという知らせが届きます。母・はつは働きに出るようになり留守が増え、寺山は自炊をする日が増えていきます。

母との別居

1947年ごろから寺山はボクシングジムに通い出し、また草野球にも熱中し始めます。

寺山は親戚の坂本勇三・きえ夫妻と生活をしていました。

1948年、古間木中学校へ入学します。しかし母・はつは九州の福岡に働きにでるため、寺山とは別居することになりました。そのため寺山は、青森市にあった大叔父夫婦の家に引き取られました。大叔父・坂本勇三は映画館・歌舞伎座を経営していました。寺山は青森市野脇中学校に転校します。

この頃の寺山は、夏目漱石芥川龍之介の作品を読破するだけではなく、江戸川乱歩や吉川英治の少年冒険小説にも夢中になりました。

1949(昭和24)〜1953(昭和28)年 – 13〜17歳「俳句・短歌に目覚めた中高生時代」

寺山修司(右)と京武久美(左)
出典:Twitter

京武久美との出会い

寺山は転校した青森市野脇中学校で京武久美(きょうぶ ひさよし)と出会います。京武と共に文芸部に所属し、彼の影響で俳句や短歌を作るようになりました。この頃、寺山は夏目漱石芥川龍之介、島崎藤村、志賀直哉、田山花袋、谷崎潤一郎、森鴎外など多くの文豪の作品を濫読しています。

句作に熱中した高校3年間

現在の青森県立青森高等学校

1951年、寺山は青森県立青森高校に入学します。新聞部・文芸部に所属しました。親友となっていた京武の俳句が東奥日報(青森県紙)に掲載されると、寺山も句作に本格的に取り組むようになり、吹田孤蓬(青森俳句会代表)主宰の「暖鳥句会」に出席し投句もしています。

1952年には青森高校文学部会議を組織し、京武らと全国詩誌「魚類の薔薇」を編集・発行するようになります。また学生サークルとして「山彦俳句会」を創立しました。

俳句雑誌「牧羊神」
出典:総合文学ウェブ情報誌 文学金魚

1953年、全国学生俳句会議を作り、学生俳句大会を主催します。高校卒業前には全国の高校生に呼びかけて十代の俳句雑誌「牧羊神」を創刊しました。この雑誌を通じて中村草田男や西東三鬼、山口誓子などと知り合います。この頃の寺山は中村草田男やラディゲを愛読していました。

1954(昭和29)〜1956(昭和31)年 – 18〜20歳「早稲田大学時代」

早稲田大学教育学部校舎

早稲田大学に入学

1954年、寺山は早稲田大学教育学部国語国文学科に入学します。後に脚本家として名を成す山田太一とは同級生でした。短歌研究第一回五十首詠で特選とされた中城ふみ子の「乳房喪失」に衝撃を受け、大学では早稲田大学短歌会に所属します。

中城ふみ子は短歌研究で特選に選ばれた1954年に乳癌でこの世を去りました。

寺山の「チェホフ祭(原題:父、還せ)」は、短歌研究第二回五十首詠で特選に選ばれ、新人賞を受賞しました。二人を見出したのは編集者の中井英夫で、中城ふみ子と寺山は、後に現代短歌の出発点と言われるようになります。

ネフローゼ発症

寺山は生涯で何度も病に悩まされますが、その最初となったのが混合性腎臓炎でした。1955年にはネフローゼで長期入院することになります。

谷川俊太郎

一方、寺山の処女戯曲「忘れた領分」が早稲田大学で詩劇グループにより上演され、それをきっかけにすでに詩人としてデビューしていた谷川俊太郎との交流が始まりました。

1956年は病状が悪化し、絶対安静の日々が続きます。大学は中退しました。この頃、寺山はスペイン市民戦争の文献やバタイユ、カフカ、泉鏡花などの作品を好んで読んでいたようです。

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