寺山修司の関連作品
おすすめ書籍・本・漫画
寺山修司と生きて
寺山修司を秘書として支え続けた田中未知が、寺山修司について語っている作品です。寺山に対する熱い思いが溢れている作品で、特にその晩年についてのエピソードにはかなり衝撃を受けます。
寺山修司という人は、作品を見ても読んでも人となりを理解するのは難しいですが、こうした周囲の人から見る寺山修司の姿を知ることで、寺山修司という人が実際に生きていたことを理解できるようになります。寺山修司の人間としての側面を知りたい人には特におすすめの一冊です。
総特集 寺山修司 増補新版 (文藝別冊)
寺山修司の演劇・映画・エッセイ・詩について紹介されていて、寺山修司初心者にはぜひおすすめしたい本です。九條今日子など身近な人たちが寺山の人間性を語っているページもありますし、野田秀樹など現在第一線で活躍する文化人の寺山に対する思いが書かれた紙面もとても興味深いです。
寺山修司が人生相談にのっていた時の答えもユニークでした。何もすることがなくて困るという高校三年生に、腕立て伏せを100回やって家出しろと回答しています。今聞いても新鮮な、素敵な答えです。
おすすめの映画
あゝ荒野
菅田将暉が第41回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞したことでも知られるこの作品は、寺山修司の唯一の長編小説が原作です。寺山が一時期傾倒していたモダン・ジャズの手法を使って書いたと言われています。
原作では1964年の東京オリンピック頃の話にしていますが、映画では2021年を舞台にしています。それでも熱量のある、寺山らしい色が濃く出ている印象を受けました。前後編合わせて300分以上と長尺の映画ですが、菅田将暉の熱演もあって評価が高い映画です。
あしたはどっちだ、寺山修司
2017年に公開された寺山修司のドキュメンタリーフィルムです。今でも若者を魅了する寺山の魅力に迫ります。寺山の声や、市街劇「ノック」の映像など、貴重なものが多く収録されているので、それだけでも見る価値がある映画です。また、寺山修司と交流があった人々のインタビューも出てくるので、寺山修司をより身近に感じることができると思います。
おすすめの演劇
身毒丸
藤原竜也の初舞台作品となった蜷川幸雄演出によるこの舞台を、筆者が観たのはもう20年ほど前のことです。しかし、真っ赤な照明の中に立つ藤原竜也と白石加代子が、汗まみれになりながら抱きしめ合っているシーンの神々しさを忘れられません。藤原竜也の全裸シーンがあることがマスコミでは話題になっていましたが、それ以上に寺山ワールドの魔力にただただ圧倒されました。
当時の筆者にはまだ話の半分も理解できませんでした。しかし寺山自身が母に対して異常なほどの愛と憎しみを抱えていたのだろうとは感じました。女優として百戦錬磨の白石加代子はそれを見事に消化して見せていましたし、初演時にまだ15歳だった藤原竜也に、蜷川幸雄がどれだけの期待を込めてこんな重い十字架を背負わせたのだろうかと思ってしまうほど、衝撃的な作品でした。
関連外部リンク
- 三沢市寺山修司記念館|Shuji Terayama Museum
- 【青森県近代文学館】青森県近代文学館へようこそ
- 日本現代詩歌文学館
- 早稲田大学
- ミュージカル『はだかの王様』作品紹介
- 『王様の耳はロバの耳』作品紹介|劇団四季
- 美術館・博物館・ミュージアムなら、インターネットミュージアム
寺山修司についてのまとめ
演劇は、舞台上の役者と客席にいる観客という、きちんと境界があるからこそ、エンタメとして楽しめるという側面があります。一方で、客に話しかける役者や、劇場後ろの扉が開いて現実世界が広がる演出にはドキドキしますし、そうした「枠からはみ出る演出」は芝居にスパイスを加えます。
寺山修司の芝居は、この「役者」対「観客」という二元論を打ち破るものです。19世紀後半に盛んになるディコンストラクション(脱構築)の走りだったという気がします。ディコンストラクションは最初に欧米で盛んに唱えられた哲学理論であり、寺山の演劇や映画が国内より外国で評価が高かった理由もそこにあるのかもしれません。
寺山修司の作品は、決して古いものではなく、今もたくさんの気づきを与えてくれるものばかりです。ぜひ多くの人に観て「感じて」欲しいと思います。