四大文明をわかりやすく解説!年表や順番、共通点についても紹介

「四大文明って何?」
「四大文明はいつどこで起こったの?」
「四大文明の特徴や共通点について詳しく知りたい!」

本記事を見ているあなたはこのように思っているのではないでしょうか?

四大文明は、人類史において最初に起きたとされる4つの文明です。これらの文明は、国際的には「文明のゆりかご」と呼ばれており、先史時代から歴史時代へ移り変わった時期として知られています。

四大文明から世界史は始まった

そこで、四大文明はいつどこで始まったのか、また、四大文明の特徴や共通点について詳しく紹介していきます。他にも、四大文明の歴史や四大文明以外の文明についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

四大文明とは何か

農業の開始によって文明も始まった

四大文明とは、

  • 中国文明(紀元前14000年から紀元前12000年頃)
  • インダス文明(紀元前7000年頃)
  • メソポタミア文明(紀元前5500年頃)
  • エジプト文明(紀元前5000年頃)

の4つを指します。

温暖な気候で河川が流れる地域において定住生活を始めた人類は、農業の発展によって食糧生産を安定させたことで爆発的に人口を増やしました。その結果、都市や国家が形成されていき、四大文明が誕生することになりました。

この4つの文明は共通した特徴を持っており、その上で独特な文化を保有していました。

また、これらの文明の他に、メソアメリカ文明やアンデス文明、ギリシア文明などの文明も存在しています。

四大文明の場所はどこなのか

四大文明はユーラシア大陸とアフリカ大陸にあった

四大文明は、ユーラシア大陸とアフリカ大陸において始まりました。そして、それぞれの文明の中心には巨大な河川があり、文明の発展を支えていました。

四大文明はそれぞれ下記の場所から始まっています。

  • メソポタミア文明 → ティグリス川とユーフラテス川の流域(現在のイラク)
  • エジプト文明 → ナイル川の流域(現在のエジプト)
  • インダス文明 → インダス川の流域(現在のインド)
  • 中国文明 → 黄河や長江の流域(現在の中華人民共和国)

メソポタミア文明は、現在のイラクが位置する地域を流れるティグリス川とユーフラテス川の流域において誕生しました。そして、同じ頃にメソポタミアの西に位置するエジプトにおいてエジプト文明が始まります。

南アジアでは、インダス川が流れるインド、パキスタン、アフガニスタンの地域においてインダス文明が誕生します。東アジアの中国文明は、広い中国の領土の中でも黄河や長江などの大河が流れる地域で発展していきました。

四大文明はどんな順番で生まれたのか

四大文明で最も古い遺跡は長江文明にあった
出典:Wikipedia

現在、人類最古の文明は「中国文明」であると考えられています。長江文明の遺跡である玉蟾岩遺跡(ぎょくせんがんいせき)では、紀元前14000年から紀元前12000年頃のものと思われる建造物や稲モミが発見されました。

四大文明の多くは紀元前7000年から紀元前5000年の間に始まりました。しかし、前述したように中国文明の長江流域において、紀元前14000年前のものとされる遺跡が発見されています。

その後、紀元前7000年頃にインダス文明が始まり、紀元前5500年頃にメソポタミア文明、紀元前5000年頃にエジプト文明と続いていきます。

四大文明の特徴

メソポタミア文明

メソポタミアを流れるティグリス川
出典:Wikipedia

メソポタミア文明は、ティグリス川とユーフラテス川の間の沖積平野に広がるメソポタミアの地で起こった文明です。この地域は、「肥沃な三日月地帯」と呼ばれる農業に適した地域であり、早い段階から農耕文明が成立していました。

メソポタミア文明を発展させたティグリス川とユーフラテス川は、大洪水を引き起こしやすい暴れ川でした。そのため、メソポタミアの自然環境は様々な大洪水伝説を生み出し、旧約聖書に登場するノアの箱舟の話にも大きな影響を与えたとされています。

そして、メソポタミアの地において文明を築いた民族系統不明のシュメール人によって、言語や天文学、数学などの様々な文化が発展していきました。特に、彼らが使用していた楔形文字は、人類史上最も古い文字であると言われており、後には周辺の異民族が使用する言語にも応用されました。

また、彼らは都市国家を建設し、それまでにはなかった複雑な社会を築き上げていたようです。そして、その中で様々な法律が整備されていき、紀元前1750年頃には有名な「ハンムラビ法典」が制定されました。

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エジプト文明

エジプト文明を象徴するギザのピラミッド
出典:Wikipedia

エジプト文明は、北アフリカを流れるナイル川の流域において栄えた文明です。「エジプトはナイルの賜物」と言われるように、エジプト文明はナイル川の氾濫によって得た肥沃な土壌によって農耕や灌漑が発展したことで、統一国家を形成していきます。

この文明では、ナイル川が氾濫する時期を予測する必要があったことから、天体観測が活発に行われていました。その結果、天文学や測量術、幾何学などの様々な学問が発達し、太陽暦が作られて氾濫時期の予測が可能となったのです。

また、古代エジプト文明ではヒエログリフ、ヒエラティック、デモティックと呼ばれる3種類の象形文字が使用されていました。そのうち、神聖文字と呼ばれるヒエログリフが刻まれた石碑や石板は、エジプトに残された多くの遺跡で見つかっています。

1799年、ヒエログリフとデモティックと共にギリシア文字が併記されたロゼッタ・ストーンが発見されました。その後、ヒエログリフとデモティックはフランスの学者シャンポリオンによって解読され、他の古代エジプト語の翻訳も次々と可能となっていきました。

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インダス文明

インダス文明最大の都市遺跡モヘンジョダロ
出典:Wikipedia

インダス文明は、インダス川とその付近を流れていたガッガル・ハークラー川の周辺において発展しました。現在ではインド、パキスタン、アフガニスタンが存在する広い地域において、インダス文明のものとされる2600箇所もの遺跡が発見されています。

この文明において、最も有名なのが最大級の都市遺跡であるモヘンジョダロ遺跡です。この遺跡は紀元前2500年から紀元前1800年頃にかけて繁栄し、多くの人々が居住していました。しかし、大規模な洪水が原因で衰退してしまったとされています。

そして、モヘンジョダロ遺跡と双璧をなす標式遺跡であるハラッパー遺跡においても、人々が居住していた痕跡が発見されています。この地は、ハラッパー文化としてインダス文明における中心的な性質を持つ文化圏であったようです。

また、この文明において使用されていたインダス文字は、現在においても解読されていません。他の文明と違い、インダス文明の遺跡からは多言語で併記された石碑などが出土していないため、研究を勧めることが困難であるようです。

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中国文明

中国文明を発展させた大河の1つである黄河
出典:Wikipedia

中国文明は、黄河や長江などの流域を中心に発展した、中国大陸における古代文明です。この地域では、漢民族を中心にチベット民族やモンゴル民族、ウイグル民族、満州民族、朝鮮民族などの様々な民族によって独特の文化が形成されました。

現在、実在が確認されている中国最古の王朝は、紀元前17世紀ごろに成立したとされる殷王朝です。この王朝では、古来から伝わる漢字と獣骨を用いる占いが組み合わさって生まれた甲骨文字が使用されていました。

また、最古の王朝である殷王朝は、それ以前に存在していたとされる夏王朝を滅ぼして建国されたと言われています。かつて、夏王朝は伝説上の存在であるとされていました。しかし、近年の研究によると実在していた可能性があるようです。

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四大文明の共通点

共通点1「大河の流域で栄えた」

大河の存在は四大文明の発展には欠かせなかった

四大文明の共通点として、どの文明も大河の流域において繁栄したという点が挙げられます。人類史において、人類は河川の付近に定住して農業を発展させたことにより、爆発的に人口が増えて文明や文化を形成していきました。

かつて、人類は狩猟と採集による獲得経済から、農耕と牧畜による生産経済に転換していきました。この変化は新石器革命や食糧生産革命と呼ばれており、人類が文明を築くための大きなきっかけとなりました。

そして、豊かな土壌をもたらしてくれる大河の付近では灌漑農業を行うことが可能であり、農耕文明が大きく発展していきます。その結果、河川の付近において国家や都市が現れ、四大文明が形成されていきました。

共通点2「文字が発明された」

粘土板に楔形文字で刻まれたメソポタミア文明のギルガメシュ叙事詩
出典:Wikipedia

四大文明が持つ2つ目の共通点として、それぞれの地域において独自の文字が発明されていたことが挙げられます。メソポタミア文明では楔形文字、エジプト文明では象形文字、インダス文明ではインダス文字、中国文明では漢字や甲骨文字が使用されていました。

これらの古代文字は、遺跡などから出土した石碑や粘土板によって発見されました。そして、ギリシア語などの多言語と共に併記されているテキストを元に解読や研究が行われています。

彼らが文字として残した記録によって、現代人は古代文明の存在や歴史、神話を知ることができるようになりました。

四大文明以外の文明

四大文明として挙げたメソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、中国文明の他にも文明が存在していた地域がいくつかあります。それらの地域では、四大文明が持つ共通点には当てはまらない例も含まれており、独特の文化圏を形成していました。

これらの文明は、四大文明と併せて「文明のゆりかご」と呼ばれています。

メソアメリカ文明

メソアメリカ文明で繁栄したマヤ文明の天文台
出典:Wikipedia

メソアメリカ文明とは、中央アメリカ北西部からメキシコに及ぶ地域において繁栄した、高度な農耕文明圏です。この地域はヨーロッパやアジアの文明から孤立した場所に位置していたため、15世紀頃にヨーロッパ人が侵略してくるまで独自の発展を続けていました。

この地では、紀元前13世紀頃からオルメカ文明やテオティワカン文明、マヤ文明など多くの文明が興亡を繰り返し、それぞれの文化圏において独自の文字を使用した文化を形成していました。また、これらの文明は陵墓や天文台、神殿などの様々な意味を持つ巨大なピラミッドを建設しています。

しかし、15世紀から16世紀頃にメキシコ中央高原を中心に栄えたアステカ帝国は、大西洋を渡ってきたスペイン人によって滅ぼされてしまいました。彼らがヨーロッパ人に敗北してしまった原因の1つとして、孤立した環境で発展した文化の中で製鉄技術が誕生しなかったことが挙げられます。

アンデス文明

アンデス文明を代表する遺跡であるマチュピチュ
出典:Wikipedia

アンデス文明とは、ペルーからボリビアにかけて続くアンデス中央高地において発展した文明です。この文明が持つ最大の特徴は、四大文明やメソアメリカ文明には存在していた独自の文字を持っていなかったことにあります。

この文明で発展した国家の中で最も有名なのが、マチュピチュ遺跡で知られるペルーのインカ帝国です。しかし、インカ帝国もメソアメリカ文明のアステカ帝国と同じく、15世紀から16世紀頃にスペイン人によって滅亡に追い込まれてしまいました。

また、アンデス文明を形成した民族は、およそ12000年前にシベリアとアラスカを繋ぐベーリング海峡を渡ってユーラシア大陸からアメリカ大陸へ移動してきたモンゴロイドでした。モンゴロイドとは、元々は東アジアや東南アジアを中心に居住していた人種であり、日本では黄色人種と訳されています。

ギリシア文明

未解読の線文字Aが刻まれた粘土板
出典:Wikipedia

ギリシア文明とは、青銅器時代のギリシアにおいて発展した古代文明です。ギリシア文明の中で最も古い文明であるエーゲ文明は、地中海を通じてメソポタミア文明やエジプト文明と関わりがあり、紀元前20世紀頃から紀元前12世紀ごろにかけて発展しました。

エーゲ文明では、ミノア文明やクレタ文明、トロイア文明などの文明が繁栄し、線文字Aや線文字Bといった文字の文化も発達していました。その中でも、比較的新しい線文字Bは既に解読されていますが、それ以前に使用されていた線文字Aは未だに解読されていません。

しかし、この文明は紀元前12世紀頃に突然滅亡してしまい、ギリシアの古代文明は当時の記録がほとんど残っていない暗黒時代を迎えます。一説によると、彼らが滅亡した原因は海の民の侵略によるものあったとされていますが、真相は不明です。

四大文明の歴史年表を一覧で紹介

メソポタミア文明

年月主な出来事
紀元前5500年頃メソポタミアにおいて
シュメール文明が誕生
紀元前3500年頃シュメール人の
都市国家が誕生
紀元前2000年頃バビロニア時代の開始
紀元前900年頃アッシリアやペルシャ
による征服
紀元前330年頃アレクサンドロス大王
による征服

エジプト文明

年月主な出来事
紀元前5000年頃エジプト文明の誕生
紀元前2686年頃エジプト古王国時代の開始
紀元前2040年頃エジプト中王国時代の開始
紀元前1540年頃エジプト新王国時代の開始
紀元前305年頃古代エジプト最後の王朝で
あるプトレマイオス朝の開始

インダス文明

年月主な出来事
紀元前7000年頃メヘルガル期の開始
紀元前3300年頃ハラッパー文化の繁栄
紀元前2600年頃インダス文明の統合期
紀元前2000年頃インダス文明の滅亡

中国文明

年月主な出来事
紀元前14000年頃長江文明の開始
紀元前7000年頃黄河文明の開始
紀元前6200年頃遼河文明の開始
紀元前1700年頃中国最古の王朝である
殷王朝時代の開始

四大文明の覚え方

河川と文字をセットで覚える

四大文明を覚える際には、河川と文字の名称をセットで覚えるのが有効です。

文明河川と文字
メソポタミア文明ティグリス川、ユーフラテス川・楔形文字
エジプト文明ナイル川・象形文字(ヒエログリフ、ヒエラティック、デモティック)
インダス文明インダス川・インダス文字
中国文明黄河、長江・甲骨文字

語呂合わせで覚える

どうしても覚えられない場合、世界史の用語は語呂合わせで覚えることも可能です。

  • 瞑想中(メソポタミア、ティグリス、ユーフラテス)
  • ええなぁ象さん(エジプト、ナイル、象形文字)など

上記のように、独自の語呂合わせを考えて自分流に覚えるとわかりやすいでしょう。

四大文明に関するまとめ

今回は四大文明について解説しました。

四大文明は、人類史において重要な意味を持つ4つの古代文明であり、その流れは現在にも続いているものもあります。彼らの繁栄によって人類史は先史時代から有史時代へ突入し、歴史が始まりました。

この記事では四大文明について、歴史や特徴、共通点について紹介しましたが、これらの文明をきっかけに始まった民族や国家の歴史についてより詳しく調べてみるのも面白いでしょう。

それでは長い時間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。

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